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【中長期を見据えたハイテク株投資】中国版GAFAMの動向〜百度、アリババ、テンセント、JDドットコム、小米〜

2021/5/26
投資情報部 李 燕

米国株式市場では決算発表直後に売りが目立ったGAFAMが足元では持ち直しの気配を示しています。
百度アリババテンセントJDドットコム小米からなる中国版GAFAM「BATJX」の一部でも決算発表直後は株価が下落したものの、反転を伺う状況となっています。
なお、BATJXの決算発表日はGAFAMより1〜2週間ほど遅れており、5銘柄の全ての決算が出揃うのは5月26日引け後を予定しています。 そこで、今回はBATJXについて、決算動向と各社が今後強化していく分野についてご紹介します。

図表1:主な言及銘柄

銘柄 株価(5/25) 52週高値 52週安値
テンセント(00700) 610.00香港ドル 775.50香港ドル 404.00香港ドル
シャオミ(01810) 27.75香港ドル 35.90香港ドル 11.56香港ドル
JDドットコム(09618) 285.00香港ドル 422.80香港ドル 226.00香港ドル
バイドゥ(09888) 187.40香港ドル 256.60香港ドル 170.60香港ドル
アリババ(09988) 206.00香港ドル 309.40香港ドル 191.50香港ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1中国版GAFAMの「BATJX」を取り巻く相場環境と株価動向

中国版GAFAMの「BATJX」

中国版GAFAMに正式な定義はなく、それに相当するものとして「BAT」や「BATH」があります。「BAT」は百度(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)の3社を指し、「BATH」はそれにファーウェイ(Huawei)を加えた4社を指します。ここでは「BAT」に、アリババと並んでeコマース2強の一角を占めるJDドットコム(JD.com)と、ファーウェイに取って代わって中国国内でスマホ販売の首位に躍り出た小米(Xiaomi)を加えて、「BATJX」(バットジェイエクス)を中国版GAFAMとしてご紹介したいと思います。「BATJX」と「GAFAM」の比較や主な事業内容は以下(図表2)の通りです。

図表2:「GAFAM」と「BATJX」

米国企業:「GAFAM」 主力分野 中国企業:「BATJX」 その他の事業
G Google(Alphabet) 検索エンジン B Baidu 百度 自動運転システム、クラウド
A Amazon eコマース A Alibaba アリババ リアル店舗、物流サービス、クラウド
F Facebook ソーシャルメディア T Tencet テンセント ゲーム、フィンテック、クラウド
eコマース J JD.com JDドットコム 物流サービス
A Apple スマートフォン X Xiaomi 小米 IoT家電・生活用品
M Microsoft ソフトウェア
  • ※各種資料をもとにSBI証券が作成

株価動向と相場環境

「BATJX」を筆頭とする中国のIT大手は、2020年はCOVID-19禍の金融緩和による潤沢な流動性や事業拡大期待を背景に株価が上昇しましたが、2021年2月中旬以降は調整しています。2月中旬の米国長期金利の上昇を背景としたリスク回避による売りが香港市場に波及した形です。また、中国が金融緩和の出口を模索していることやネット大手に対し規制を強めていることも重しとなっています。

香港市場に上場しているハイテク株で構成されているハンセンテック指数の動きを確認してみると、2月17日に1万945ポイントの史上最高値を付けた後、金利上昇懸念やネット大手に対する規制強化リスクを織り込む形で下落し、5月14日には年初来安値の7,565ポイントとなりました。高値から4割下落していることもあり、5月中旬以降は持ち直しの気配を示しています。リバウンド狙いのほか長期資金による打診買いが背景にあるようです。

図表3:ハンセンテック指数の推移

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

「BATJX」の株価も、それぞれ52週高値から2-3割下落しました(図表4)。足元ではハンセンテック指数の回復を背景に、「BATJX」の株価も下げ止まりあるいは持ち直しの動きを示しています。金利上昇懸念やネット大手に対する規制強化リスクが完全に払しょくされたわけではなく、値幅調整と日柄調整がともに済んだと判断するのはまだ早いかもしれません。ただ、長期投資の観点から投資妙味を探るには良い時期と言えるかもしれないです。そこで、各社の業績動向や事業戦略について確認したいと思います。

図表4:「BATJX」の株価・業績予想データ

銘柄 株価
5/25
(香港ドル)
52週高値からの
騰落率
(%)
52週高値
(香港ドル)
52週安値
(香港ドル)
予想
PER
(倍)
過去5年
平均PER
(倍)
来期
予想
増収率
(%)
来期
予想
増益率
(%)
テンセント(00700) 610.00 -21.3% 775.50 404.00 33.61 35.72 20.29% 23.92%
シャオミ(01810) 27.75 -22.7% 35.90 11.56 32.50 - 21.21% 24.29%
JDドットコム(09618) 285.00 -32.6% 422.80 226.00 39.01 - 21.76% 46.36%
バイドゥ(09888) 187.40 -27.0% 256.60 170.60 19.49 - 14.86% 15.64%
アリババ(09988) 206.00 -33.4% 309.40 191.50 20.88 - 21.24% 23.66%
  • (注)「業績予想」はBloombergが集計した市場コンセンサスで、EPSベースです。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2「BATJX」の事業内容と決算動向

まず、全般的にみて「BATJX」は、それぞれの主力分野で業界上位のシェアを維持しつつ、近年は多角化経営を進めています。図表2の「そのほかの事業」をみると、各社が模索している成長分野が見えてきます。決算報告書による各社のセグメント別売上高構成比は、以下の通りです。

図表5:「BATJX」各社のセグメント別売上高構成比

銘柄名
(コード)
百度
(09888)
アリババ
(09988)
JDドットコム
(09618)
テンセント
(00700)
小米
(01810)
事業基盤 検索エンジン eコマース eコマース ソーシャルネットワーク スマートフォン
セグメント別売上高構成比
(注)
広告収入
68%
コア・コマース
87%
小売
88%
ゲーム
32%
スマートフォン
59%
非広告収入
32%
クラウド
コンピューティング
8%
マーケットプレイス・
広告サービス
7%
フィンテック&
法人向けサービス
27%
IoT・生活家電
30%
  デジタルメディア&
エンタテインメント
4%
物流・
その他サービス
5%
ソーシャル
ネットワーク
23%
インターネット・
サービス
10%
  イノベーション・
イニシアチブほか
1%
  オンライン広告
17%
その他
1%
    その他
1%
 
  • (注)アリババ(09988)は21.3期、それ以外は20.12期です。
  • ※各社資料をもとにSBI証券が作成

なお、COVID-19の影響により、「BATJX」を取り巻く事業環境はここ1-2年で急変しています。インターネットや携帯の普及を背景に事業を拡大してきた「BATJX」にとって、COVID-19をきっかけとしたDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速は新たなビジネスチャンスとなっています。一方、競争激化に加え、規制強化リスクも強まっており、各社はシェア獲得と規制対応に向け、投資を拡大していくことが求められています。

今回の1-3月期の決算発表では予想外の設備投資が注目を集めました。特にアリババテンセントはその規模が予想を上回ったことで、決算発表直後は株価が下落しました。投資拡大は短期的に利益を圧迫すると予想されマイナス材料ですが、今後の成長に向けた投資であることを考えると、中長期的にはプラスと言えましょう。

以下では「BATJX」の順に、各社の事業内容や業績動向、重点投資分野について確認してみたいと思います。アリババについては傘下のアント・グループをめぐる規制リスクについても触れたいと思います。

百度(09888)

  • 事業内容:中国最大の検索エンジン「百度」を運営。広告収入が売上高の7割(20.12期)を占めます。近年はAIを活用したクラウドや自動運転分野に力を入れています。自動運転システムの開発では業界をリードしており、2020年10月にロボットタクシー・サービスを北京市で開始しました。2021年1月には自動車製造への進出も発表しました。動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQiyi)」の筆頭株主で、中国最大手のオンライン旅行会社「携程(Trip.com)」に出資しています。
  • 業績動向:21.12期1-3月期は売上高が前年同期比25%増、純利益は前年同期の4,100万元から256億元に大幅に増加しました。主力の広告収入が同27%増、非広告収入は同70%増となり、業績拡大に寄与しました。非広告収入ではAIクラウドが同55%増収となったほか、Apollo自動運転は前年同期のベースが低かったこともあり、売上高が前年同期の5倍になりました。4-6月期の売上高ガイダンスは同14%-25%増です。これまで10年あまりAIに投資し続けてきましたが、今後も検索エンジンからAI企業へのシフトを強化していく方針です。決算発表会で経営陣は、3年後は非広告収入が広告収入を超える可能性があると示しました。

アリババ(09988)

  • 事業内容:中国のeコマース最大手。CtoCの「タオバオ」やBtoCの「Tモール」が主力サイトです。近年は「ニューリテール」をコンセプトとしたリアル店舗や物流・食事宅配サービス、コミュニティーコマースに力を入れています。これらとeコマースを合わせたコア・コマース事業の売上高は全体の9割(21.3期)を占めます。クラウド事業も強化しており、アリババクラウドは中国でシェア1位です。2016年に東南アジア最大のECサイト「Lazada」を買収しました。中国フィンテック大手のアント・グループを傘下に持ち、多数のユニコーン企業に出資しています。
  • 業績動向:21.3期1-3月期は売上高が前年同期比64%増となりましたが、純損益は赤字に転落しました。独占禁止法違反の罰金によるもので、その影響を除けば同18%の増益です。22.3期通期の売上高ガイダンスは前年比30%増で、伸び率は前期(サンアート・リテール買収の影響を除く)と同程度です。設備投資については、22.3期のすべての増分利益と追加資本をテクノロジーや出店企業の運用コストを削減するためのプログラム、ユーザーの獲得・ユーザーエクスペリエンスの向上、新規事業イニシアティブといったコア戦略分野に投資していくと発表しました。
  • 規制強化リスク:アリババ傘下のアント・グループの上場延期後、中国当局はネット大手に対する規制を強めており、アリババに独占禁止法の違反で182億元の罰金を科しました。これに対してアリババは制裁に服従するとの声明を発表しました。もっとも、182億元はアリババの2019年の中国国内売上高の4%に相当し、法律で決められている罰金の上限(年間売上高の10%)を下回ります。
  • なお、一部の報道によると、アリババのクラウド事業は中国政府機関や国有企業から新規契約の獲得が難しくなっているようです。事実だとすれば、アント・グループをめぐるアリババと当局との関係悪化は、まだ最悪期を脱したとは言いきれず、引き続き注意が必要です。アント・グループは今、金融持ち株会社への移行に向け、組織再編を進めています。
  • 他方、アリババのクラウド事業に関するニュースが出た5月24日、アリババ(09988)の株価は1.4%下落しましたが、下げ幅は限定的でした。5月21日に発表されたハンセン指数の見直しで構成比率が上昇する見込み(※)となり、株価を下支えしたもようです。またアント・グループの上場延期後、アリババ(09988)の株価は高値から3割下落しており、当局との関係悪化や規制リスクはある程度株価に織り込まれているのかもしれません。
  • ※ハンセン指数を算出する恒生(ハンセン)指数有限公司は、同指数に対する改革案を今年3月に発表しました。金融株の比重を落としてより市場の実態を反映させるためです。改革案に沿って恒生指数有限公司は5月21日に四半期ごとの見直し結果を発表しました。信義光能(00968)やBYD(01211)が新たに追加されるほか、AIA(01299)やテンセント(00700)は構成比率が低下する一方、アリババ(09988)や美団(03690)は構成比率が上昇する予定です。6月7日から有効です。詳細は下記のリリース資料でご確認頂けます。
  • https://www.hsi.com.hk/static/uploads/contents/en/news/pressRelease/20210521T000000.pdf  PDFです。新しいウィンドウで開きます。

テンセント(00700)

  • 事業内容:中国最大のソーシャルネットワークサービス(SNS)の「微信(WeChat)」を運営。WeChatをベースにスマホ決済の「WeChat Pay」など各種サービスを提供するほか、ゲームの開発・運営を手掛けます。スマホゲームは中国でシェア1位で、代表作の「王者栄耀」は2年連続で世界で最も売れているスマホゲームとなっています。2018年に法人向けサービスを重要な成長分野に位置づけ、クラウドなどに力を入れています。クラウドの市場シェアはアリババに次ぐ2位です。アリババ同様、多数のユニコーン企業に出資しています。
  • 業績動向:21.12期1-3月期は売上高が前年同期比25%増、純利益は同65%増となりました。フィンテック&法人向けサービスが47%増収となり、業績をけん引しました。主にスマホ決済や企業向けITサービスが好調でした。主力のゲームは17%増収、オンライン広告は23%増収でした。決算発表会で経営陣は、1-3月の利益増加分を全部再投資する意向を示しました。具体的には法人向けサービス、ゲーム、動画配信サービスへの投資を強化していく方針です。

JDドットコム(09618)

  • 事業内容:中国2位のeコマース企業で、BtoCの「京東商城(JD.com)」を運営しています。テンセントが筆頭株主(2月末時点の持ち分は16.9%)です。アリババがモール型通販を採っているのに対し、JDドットコムは「Amazon型」(直販型)を採用しています。小売部門の売上高は全体の9割(20.12期)を占めます。うち家電・電子機器が54%、日用品が34%です。小売を支える物流部門(JDロジスティクス)は対外的にもサービス提供しており、物流・その他サービスは売上高の5%を占めます。
  • なお、JDロジスティクス(02618)は5月28日に香港市場にスピンオフ上場する予定です。現地報道によると、オーバーアロットメントを含む資金調達額は約260億香港ドルと、香港市場では今年2番目の大規模なIPOとなる見込みです。
  • 業績動向:21.12期1-3月期は売上高が前年同期比39%増、純利益は前年同期の3倍になりました。小売が同35%増収(うち家電・電子機器が同34%増収、日用品が同36%増)、マーケットプレイス・広告サービスが同48%増収、物流・その他サービスが同109%増収と、いずれも好調でした。今後も、1)サプライチェーンテクノロジー、2)オムニチャネル、3)オンラインマーケットプレイスのエコシステムの強化を主要戦略として強化していく方針です。

小米(01810)

  • 事業内容:中国のスマートフォン大手。ファーウェイが2020年に米国の制裁による影響でスマートフォン市場でシェアを落としていくなか、小米は販売台数を伸ばしており、今はファーウェイに取って代わって中国首位、世界3位となっています。スマートフォン販売は売上高の6割(20.12期)を占めます。「スマホ×AIoT(AIとIoT)」を中核戦略に据え、スマートフォンのほか、IoT家電も製造・販売しています。IoT家電分野で中国の先駆者で、スマートテレビ「小米電視」は中国でシェア1位です。2021年3月にスマートEV(電気自動車)への参入を発表。雷軍CEOがEV部門の責任者を兼任し、今後10年で100億元を投資する計画です。2021年1月に米国の中国軍関連企業リストに追加されましたが、5月12日に米国政府とリストからの除外で合意しました。
  • 業績動向:21.12期1-3期決算は本レポート作成時点で未発表のため、20.12期通期の業績について確認したいと思います。20.12期は売上高が前年比19%増、純利益は前期の2倍となりました。スマートフォンの出荷台数が同18%増の1億4,640万台となり、業績拡大に寄与しました。市場シェアは世界3位で、伸び率は世界首位です。スマートフォン販売は同2020年12月に打ち出したハイスペックスマホの「小米11」は1カ月弱で販売台数100万台を突破しました。スマートテレビの出荷台数は1,200万台と、前期の1,280台より減少しました。COVID-19の感染拡大による主要部品の供給ひっ迫が響きました。一方、掃除ロボットやTWSイヤホンの販売は拡大し、IoT・生活家電部門は同8%増収となりました。売上高の約5割を占める海外市場は同34%増収でした。インド市場では13四半期連続でシェア1位を維持しました。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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