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2024-03-29 11:30:10

マーケット > レポート > 特集レポート > 【ウクライナ危機】 ロシア制裁、中国の動き、エネルギー・EV関連銘柄

【ウクライナ危機】 ロシア制裁、中国の動き、エネルギー・EV関連銘柄

2022/3/2
投資情報部 李 燕

ウクライナ危機が深刻化するなか、ロシアに対する制裁の内容やそれがもたらし得る経済・金融市場への影響が注目を集めています。また、今後の情勢を占ううえで、中国の動きも注目ポイントとなっています。

ウクライナ情勢を受けた欧米の対ロ制裁や中国の動きを確認したうえで、エネルギーやEV関連銘柄をご紹介します。

図表1 主な言及銘柄

銘柄 株価(3/1) 52週高値 52週安値
CNOOC(00883) 10.02香港ドル 10.46香港ドル 7.55香港ドル
ペトロチャイナ(00857) 4.13香港ドル 4.29香港ドル 2.68香港ドル
中国アルミ(02600) 5.33香港ドル 7.49香港ドル 3.03香港ドル
ツージンマイニン(02899) 11.36香港ドル 13.30香港ドル 8.36香港ドル
ガンフォン・リチウム(01772) 129.30香港ドル 185.00香港ドル 81.00香港ドル
BYD(01211) 240.40香港ドル 324.60香港ドル 138.40香港ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 対ロ制裁

ウクライナ危機が深刻化するなか、ロシアに対する制裁内容やそれがもたらし得る経済・金融市場への影響が注目を集めています。また、今後の情勢を占ううえで、中国の動きも注目ポイントとなっています。なぜならば、ロシアに対する制裁の効果は、制裁の内容もさることながら、中国がロシアに対してどこまで支援するかによっても変わってくる可能性があるからです。

中国の動きを確認する前に、まず、欧米の対ロ制裁を確認してみたいと思います。

図表2 欧米が発表した主な対ロ制裁

主要関係国 制裁内容
ドイツ ドイツはロシアからドイツへ天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」の承認手続きを停止すると発表。
米国 ・米国はロシアの主要銀行や政府関係者を特別指定国民(SDN)に指定。SDNに指定された場合、米国内の資産が凍結されるほか、米国人との取引が事実上禁止されることになる。
・米財務省は米国に拠点を置く金融機関に対し、ロシア最大の銀行であるズベルバンク(海外子会社を含む)との「コルレス業務」(ドル決済や外国送金を仲介する業務)の停止を指示。
・米国はロシアへのハイテク製品の輸出規制を発表。半導体やセンサー、航空機部品などが対象。
EU EUはロシアの政府関係者および金融機関に対し、EU域内に保有する資産を凍結すると発表。
英国 英国はロシアの全ての金融機関が英国内に保有する資産を凍結し、指定銀行による英国を介した決済手続きや英国金融市場へのアクセスを禁止すると発表。
欧米 ・欧米はロシアの一部の銀行を国際的な金融決済システムであるSWIFTから排除することで合意。
・欧米はロシア中央銀行による外貨準備の利用を制限すると発表。
  • ※Bloombergおよび各種報道をもとにSBI証券が作成

上記を確認してみると、欧米はロシアに対し、段階的に厳しい制裁措置を導入しています。そのうち、特に“効力が強い”のは、「ロシアの一部の銀行をSWIFTから排除する」ことだとされています。それにより、ロシアのエネルギー取引に影響を及ぼす可能性があるからです。一方、対ロ制裁で“最も強力な措置”となるロシア産の原油や天然ガスの禁輸措置については、今のところ導入されていません。ドイツなど欧州諸国はロシアへのエネルギー依存度が高く、米国もインフレ懸念を抱えており、“劇薬”による「返り血」も意識しなければならない状況にあるからです。

他方、“劇薬”ほどでなくても“効力が強い”とされているロシアの「SWIFT排除」を受け、商品市場では既に混乱が生じているようです。ブルームバーグ報道によると、「液化天然ガス(LNG)の注文や、原材料取引向けの融資が停止されているほか、黒海地域からの小麦の出荷が停滞しています。」「さらに金属に関しては西側の買い手が制裁の不確実さやリスクの高まりを考慮して購入をためらっているため、既にロシアからの供給は減少している」と報じられています。

株式市場に目を向けると、香港市場では年初から石油・天然ガスを筆頭に資源関連銘柄の上昇が目立ちました。ただ、原油先物価格が下落に転じた場面では、利益確定売りもみられました。足元では、ロシアとウクライナの停戦交渉(1回目)が成果なく終了し、現地で戦闘が続いていると報じられると、再び上昇を試す展開となっています。ウクライナ危機が今すぐ収まる気配はなく、供給混乱の懸念を背景とした資源高はしばらく続く可能性がありそうです。当面、原油・天然ガスなど資源関連銘柄は引き続き、物色の対象として意識されそうです。

一方、原油先物価格の調整で資源関連銘柄が利益確定売りに押された局面では、電気自動車(EV)関連銘柄が買われました。EV関連銘柄は主要先進国の利上げ見通しを背景に、昨年末から高バリュエーション懸念で売られ、調整が続いていました。大幅に調整したことで押し目買いが入ったとみられますが、対ロ制裁を受けた脱炭素加速への期待も背景にあると考えられます。

「脱炭素加速への期待」はドイツの動きから読み取れます。エネルギー政策をめぐるドイツの直近の動き(図表3)を確認してみると、ドイツは「ノルドストリーム2」(ロシアからドイツへ天然ガスを輸送するパイプライン)の承認停止を発表してから、エネルギー政策を大きく転換しています。3/1には風力や太陽光発電の施設建設を拡大し、「100%再生可能エネルギー」目標を15年前倒しで実現する計画の草案をまとめました。ウクライナ危機を受けたものと考えられ、ドイツは「エネルギーのロシア依存脱却」を加速させようとしています。

今後、ドイツに限らず、欧州全体で「エネルギーのロシア依存脱却」や「脱炭素」の動きは加速する可能性がありそうです。したがって、短期的には資源関連銘柄に目を配りつつも、EVなど脱炭素関連銘柄に関しては引き続き、中長期的な投資テーマとして注目していく必要がありそうです。ただし、ウクライナ危機をめぐる不透明感はしばらく続くことが想定されることから、押し目買いは時間分散(投資するタイミングを分散)の手法を取り入れた方が良いかもしれません。

図表3 エネルギー政策をめぐるドイツの直近の動き

出来事 備考
2月22日 ドイツはロシアからドイツへ天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」の承認手続きを停止すると発表。 「ノルドストリーム2」はまだ稼働していないため、天然ガス価格への直接的な影響は限定的とみられる。
2月27日 ドイツ首相は、ロシア産ガスへの依存度を引き下げるためにエネルギー政策を大きく転換する方針を示した。 短期的には石炭火力や原子力発電所の運用期限の延長や、天然ガスの備蓄拡大が可能性として指摘されている。中長期的には、再生可能エネルギーの利用拡大が加速すると予想される。
3月1日 ドイツ政府の経済部は、風力や太陽光発電の施設建設を拡大し、「100%再生可能エネルギー」(*)目標を15年前倒しで実現する計画の草案をまとめた。
(*電力消費に占める再生可能エネルギーの割合を100%にする)
従来の計画では2050までに「100%再生可能エネルギー」の達成を目指していたが、ウクライナ危機を受け、「エネルギーのロシア依存脱却」を加速させようとしていることが伺える。
  • ※Bloombergおよび各種報道をもとにSBI証券が作成

2 中国の動き

欧米の対ロ制裁による影響を考える際、“中国のロシア支援”も一つの注目ポイントとなっています。それを探るため、まず、ウクライナ危機を受けた中国の動きを確認してみたいと思います。

図表4 ウクライナ危機を受けた中国のこれまでの動き

日付 出来事
2月4日 中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は北京で会談。その後、共同声明を発表した。なお、ウクライナ問題についての言及は一切なかった。
2月23日 中国税関総署は一部禁止していたロシア産小麦の輸入を解禁すると発表。
2月23日 中国外務省の華春瑩報道局長は米国の対ロ制裁について、「問題解決の有効な道ではない」と批判した。
2月24日 中国の王毅外相はロシアの外相との電話会談で、「安全保障に対する合理的な懸念を理解する」と述べた。
2月25日 中国の習近平国家主席はロシアのプーチン大統領との電話会談で、「問題解決に向けて交渉するよう強く求めた。」
2月25日 中国の王毅外相はウクライナ問題に関する中国の基本的立場を表明。主に以下の内容が含まれている。「各国の主権・領土の保全を尊重・保障する立場は一貫して明確で、ウクライナ問題についても同様に適用される。」「ウクライナ危機の平和的解決に資するすべての外交努力を支持する。」
2月26日 中国の王毅外相はイギリスやフランス、EUの外交高官との電話会談で、「中国はウクライナ情勢を注視している。現在の情勢は望ましくない」と述べた。
2月26日 中国工商銀行の海外部門はロシア産商品向けドル建て信用状の発行を停止。中国銀行は自社のリスク査定に基づき、ロシア産商品向け融資を制限している。
3月1日 中国の王文濤商務相はロシアとウクライナ両国との通常の貿易維持を期待していると述べた。
3月1日 中国の王毅外相はウクライナの外相との電話会談で、「ウクライナの民間人に危害が及んでいる事態を極めて憂慮している」と伝えた。
  • ※Bloombergおよび各種報道をもとにSBI証券が作成

これまでの中国の動きを確認してみると、ウクライナ危機が深刻化するにつれ、中国は“ロシア寄り”から“中立”の姿勢をより鮮明に出しています。ロシアのウクライナ侵攻が転換点になったと考えられます。実際、中国はそもそも2014年のロシアのクリミア併合を容認していません。今回のウクライナ情勢をめぐっても、中国はロシアに対して「安全保障に対する合理的な懸念を理解する」と示しつつも、武力でなく外交努力や交渉による問題解決を呼び掛けています。

一方、中国は米国の対ロ制裁については、「問題解決の有効な道ではない」と批判しています。ただし、制裁が行われた際の“ロシア支援”に関しては必ずも明確な態度や方針は示していません。ウクライナ危機が表面化してから、中国はロシア産小麦の輸入を解禁している一方で、国有銀行は足元でロシア産商品購入のための融資を制限しています。

このようにみると、「中国がロシアを全面支援して欧米に対抗する」という構図は浮かびにくいと考えられます。足元では、“ロシア支援”に関し、慎重姿勢を取っているようにも見えます。しかし一方で、中国が“ロシア寄り”よりも“米国に肩を持つ姿勢”に傾く可能性もないとみられます。総合的にみると、中国はあくまでも「中立」スタンスを示しつつ、ロシアに対しては慎重姿勢を維持しながら“ある程度の支援”を行うこととなりそうです。

ロシアへの支援に関しては、主に以下のものが想定されます。
1)経済面での支援:ロシア産の資源や穀物を購入し、自国の備蓄を増やす。
2)金融面での支援:ロシアの一部の銀行がSWIFTから排除されたことを受け、人民元の国際銀行間決済システム(CIPS)の使用を促す。

なお、今回のウクライナ危機で「台湾問題」が再び意識されています。一部では「台湾有事」に対する懸念も生じています。しかし、中国の現状を考えると、そのような懸念は「行き過ぎ」だと思われます。実際、2022年は中国にとって政治的にも経済的にも重要な年であり、中国当局は2022年の最優先課題に「安定」を掲げています。

1)政治的に節目の年:2022年は中国にとって10年に1度のトップ人事が決まる節目に当たる年であり、秋には5年に1度の中国共産党大会が開催される予定です。
2)経済的にも節目の年:2021年の不動産市場やネット大手に対する締め付け強化に加え、新型コロナの影響も相まって、中国では景気鈍化が鮮明になっています。中国当局にとって2022年は、景気の底割れ回避や安定成長の確保が急務となっています。

上記の政治面と経済面の必要性もあり、中国人民銀行は昨年末から金融緩和へかじを切りました。足元のウクライナ危機や米国の利上げ懸念を受け、中国人民銀行は一段の金融緩和の可能性も示唆しています。また、戦略的に考えても、中国は今回のウクライナ危機をめぐる“米国の出方”を観察・分析し、今後の参考にする方が“得”と考えられます。いずれにしても今年は、中国当局が折に触れて強調したように「安定」が最優先されることとなりそうです。

図表5 エネルギーやEV関連銘柄

銘柄 主な関連分野 株価(3/1) 52週高値 52週安値
CNOOC(00883) 石油・天然ガス 10.02香港ドル 10.46香港ドル 7.55香港ドル
ペトロチャイナ(00857) 石油・天然ガス 4.13香港ドル 4.29香港ドル 2.68香港ドル
中海油田服務(02883) 油田サービス 8.72香港ドル 9.28香港ドル 5.47香港ドル
中国アルミ(02600) アルミニウム 5.33香港ドル 7.49香港ドル 3.03香港ドル
中国宏橋(01378) アルミニウム 10.58香港ドル 14.40香港ドル 6.88香港ドル
ツージンマイニン(02899) 金・銅 11.36香港ドル 13.30香港ドル 8.36香港ドル
コウセイコパー(00358) 13.90香港ドル 22.80香港ドル 12.04香港ドル
コスコシッピング(01919) 海運 15.96香港ドル 17.48香港ドル 5.42香港ドル
ガンフォン・リチウム(01772) リチウム・EV 129.30香港ドル 185.00香港ドル 81.00香港ドル
BYD(01211) EV 240.40香港ドル 324.60香港ドル 138.40香港ドル
リーオート ADR(LI) EV 30.45米ドル 37.45米ドル 15.98米ドル
シャオペン ADR(XPEV) EV 36.37米ドル 56.45米ドル 22.73米ドル
ニオ ADR(NIO) EV 22.84米ドル 55.13米ドル 18.47米ドル
  • ※Bloombergおよび各種報道をもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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