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2024-04-23 18:26:09

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ロシアのウクライナ侵攻で注目高まる防衛関連銘柄

2022/3/9
投資情報部 榮 聡

ロシアのウクライナ侵攻が長期化する可能性が高まり、投資環境はスタグフレーション的となって、全般相場は上値が重い展開が想定されます。その中で紛争が長引いても物色されやすい防衛関連銘柄が注目されています。ドイツが防衛支出の大幅増を表明するなど、ファンダメンタルズの裏付けもあると言えるでしょう。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(3/8) 52週高値 52週安値
ロッキード マーチン(LMT) 448.99ドル 479.99ドル 324.23ドル
ノースロップ グラマン(NOC) 449.21ドル 490.82ドル 295.87ドル
ゼネラル ダイナミックス(GD) 235.31ドル 254.99ドル 168.38ドル
レイセオン テクノロジーズ(RTX) 94.85ドル 104.34ドル 74.63ドル
ボーイング(BA) 173.80ドル 278.57ドル 167.58ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 ウクライナ侵攻を受けて欧州の軍備拡張意欲が高まる

今回は防衛関連銘柄を取り上げます。

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化、ドロ沼化する可能性が出てきています。ロシアに対する経済制裁で原油価格が急上昇してインフレを高進させる可能性がある一方、欧州経済への悪影響も懸念されて「スタグフレーション」気味となり、株式には良くない投資環境と言えます。

そのような中で紛争が長期化しても物色されやすい防衛関連が消去法的に注目されやすいと考えられます。

防衛関連銘柄への物色続く

防衛関連銘柄のパフォーマンスは、ボーイングを除いて良好です(図表2)。年初からのS&P500指数は、FRBによる金融引き締めペースの引き上げが主因となって調整しましたが、市場ではウクライナ周辺での軍事的緊張が“秘かに”気にされていたとみえ、防衛関連銘柄は概ね横ばいを維持していたことが確認できます。

さらに、ロシアがウクライナ東部地域への派兵を決めて、実質的な侵攻開始となった2/24(木)以降は、防衛関連銘柄に対する物色が強まり、ボーイングを除いて上昇となっています。

ボーイングも防衛関連では恩恵が期待されるものの、主力の民間航空機事業が紛争長期化で悪影響を受けることが懸念されているとみられます。また、レイセオンテクノロジーズも2月末から反落していますが、民間航空機のエンジンを扱っていることが要因とみられます

これまでと印象が異なる軍事衝突?

今回の軍事衝突は、1990年の湾岸戦争、2001年のアフガニスタン紛争、2003年のイラク戦争など過去の大規模な軍事衝突とは異なる印象を世界に与えているようです。

これまでの軍事衝突は、世界の公益に対して害を及ぼす可能性がある国を、世界の警察官を自認する米国を中心として取り締まるというパターンが多かったわけですが、今回は性格が異なっていると言えるでしょう。

(1)独立国家として何ら落ち度のなかった国(ウクライナ)が、自国の安全保障の向上を目指す国(ロシア)に侵攻された点、(2)先進国の生活・文化水準をもつ国が戦場となっている点、がこれまでと異なる印象を与えている要因とみられ、世界の多くの人々が防衛の重要性を再認識したようです。

特にロシアに近い欧州諸国の危機感が高まりました。ドイツはGDPの2%以上を防衛費に割いて(2021年の実績は1.53%)、1,000億ユーロを防衛装備に支出する方針を発表しました。他のNATO加盟国も同様に防衛費を引き上げると想定されることから、防衛産業への恩恵が期待されています。

世界の防衛支出は増加基調

世界の防衛支出は、図表3の通りリーマンショック後から2014年辺りまで停滞する時期がありましたが、その後は増加基調となっています。2013年からはアジア・オセアニア地域が増加基調に転じ、2018年からは米州、2019年からは欧州も増加に転じているようにみえます。

今回の事態を受けて世界の防衛支出の増加ペースは加速する可能性が高いと考えられます。

図表2 防衛関連銘柄への物色が強まる

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 世界の防衛支出は増加基調

※SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)の公表データをもとにSBI証券が作成

2 世界の軍需売上の上位は米国企業が占める

前節で世界の防衛支出は増加基調にあって防衛関連企業の経営環境は悪くないことを確認しました。防衛関連の投資対象としてどのような企業があるかみていきましょう。

軍需売上のトップ5は米国企業

世界の防衛関連企業の売上をSIPRI(ストックホルム国際平和研究所)のデータから抜粋したのが図表4ですが、上位の5社はいずれも米国企業です。

今回の案件を受けて軍備増強の確度が最も高いのは、西ヨーロッパ諸国であるため、欧州の防衛企業である、エアバス、レオナルド、タレスといった企業への恩恵が大きいと考えられますが、米国企業にも恩恵はまわってくるだろうと想定されます。

防衛支出をGDPの2%以上に引き上げるとしたドイツは、老朽化が進んでいるトーネード戦闘機(イギリス、ドイツ、イタリアが共同開発した戦闘機)に替えて、ロッキードマーチンのF-35戦闘機を購入する可能性が高いとみられています。

各社の代表的な防衛関連製品は、以下の通りです。

・ロッキードマーチン・・・ F-35 ライトニングIIステルス戦闘機、F-22ラプター戦闘機、THAAD弾道弾迎撃ミサイル

・ノースロップ グラマン・・・ RQ-4グローバルホーク無人偵察機、B-21レイダー長距離爆撃機、B-2スピリット爆撃機

・ゼネラル ダイナミックス・・・ エイブラムス戦車、ストライカー装甲車、原子力潜水艦

・レイセオン テクノロジーズ・・・ トマホーク巡航ミサイル、パトリオット地対空ミサイル、F-35戦闘機のエンジン

・ボーイング・・・ AH-64 アパッチ攻撃ヘリコプター 、V-22 オスプレイ垂直離陸機、CH-47チヌーク大型輸送用ヘリコプター

防衛関連のバリュエーションは高くない

米国の主要防衛関連銘柄の投資指標は図表5の通りです。ボーイングを例外として、過去3ヵ月の株価は上昇していますが、市場の注目が高まっているセクターの銘柄としては、予想PERはさほど高くないと言えるでしょう。

今後業界の事業環境が改善して、業績の上方修正が期待されるとするならば、まだ買い余地が残っているのではないでしょうか。

図表4 防衛関連企業の売上ランキング(2020年)

順位 企業名(国籍) 防衛関連売上高
(億ドル)
防衛関連売上
比率
1 ロッキード・マーチン(米国) 449 89%
2 レイセオン(米国) 269 65%
3 ボーイング(米国) 238 55%
4 ノースロップ・グラマン(米国) 229 83%
5 ゼネラル・ダイナミクス(米国) 223 68%
6 BAEシステムズ(英国) 194 97%
7 NORINCO(中国) 112 25%
8 AVIC(中国) 90 25%
9 CETC(中国) 88 43%
10 L3テクノロジーズ(米国) 85 78%
11 エアバス(欧州連合) 77 21%
12 BAEシステムズInc.(米国) 77 100%
13 CASIC(中国) 68 32%
14 レオナルド(イタリア) 64 73%
15 タレス(フランス) 49 47%
  • ※SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)の公表データをともにSBI証券が作成

図表5 防衛関連銘柄の投資指標

銘柄(コード) 株価
(3/7)
(ドル)
予想
PER
(倍)
株価騰落
(3ヵ月)
(%)
予想EPS
修正率
(3ヵ月)
(%)
予想配当
利回り
(%)
時価総額
(3/7)
(億ドル)
米国売上
比率(%)
海外売上
比率(%)
ロッキード マーチン(LMT) 466.15 17.4 36.7 1.7 2.5 1,269 72.5 27.5
ノースロップ グラマン(NOC) 477.95 19.3 31.3 -0.7 1.4 746 85.9 14.1
ゼネラル ダイナミックス(GD) 247.29 20.4 23.1 -2.6 2.1 687 82.3 17.7
レイセオン テクノロジーズ(RTX) 98.19 20.5 13.5 -4.2 2.1 1,465 100.0 0.0
ボーイング(BA) 169.17 45.2 -19.8 -23.9 0.0 986 62.8 37.2
  • 注:米国および海外の売上比率は、直近年度です。
  • ※Bloombergおよび各種報道をもとにSBI証券が作成

3米国の防衛大手のご紹介

ロッキード マーチン(LMT)  時価総額: 1,269億ドル
決算期 売上高(億ドル)  (前年比) 純利益(億ドル)  (前年比) EPS(ドル)
22.12予 661 -1% 71.3 -4% 26.79
23.12予 675 2% 73.0 2% 28.17
株価(3/7): 466.15ドル 予想PER(22.12期): 17.4倍
【米国最大の軍用機メーカー】

・軍事機・宇宙関連機器の大手メーカーです。2021年の売上構成比は、航空機部門(F-35、F-16などの戦闘機)が40%、ロータリー・ミッションシステム部門(ヘリコプターなど)が25%、宇宙システム部門が18%、ミサイル・火器制御部門が17%です。米国政府を中心に約30ヵ国と取引があり、海外売上は27.5%を占めます(2021年)。

・軍需関連の売上が世界最大であり、また、同売上構成比も89%に達することから、米国および世界の軍事費が増加する場合にその恩恵を受ける確度が高く、代表的な軍需銘柄です。2021年12月期の業績は、F-35戦闘機や軍用ヘリコプターの需要増で売上・営業利益とも前年比3%増と堅調です。2022年12月期の業績ガイダンスは、売上が約660億ドル(前年比2%減)、調整後EPSが26.7ドル(前年比10%増)です。
ノースロップ グラマン(NOC)  時価総額: 746億ドル
決算期 売上高(億ドル)  (前年比) 純利益(億ドル)  (前年比) EPS(ドル)
22.12予 366 3% 38.5 9% 24.83
23.12予 378 3% 40.8 6% 26.99
株価(3/7): 477.95ドル 予想PER(22.12期): 19.3倍
【無人偵察機などの国防大手】

・米国政府向け売上が8割以上の国防大手です。2021年の売上構成比(部門間売上控除前)は、航空宇宙システム(無人偵察機やステルス爆撃機など)30%、防衛システム(ミサイル防空システムなど)15%、ミッションシステム(早期警戒システムやサイバーセキュリティなど)27%、スペースシステム(ロケットエンジンなど)28%からなります。

・2021年12月の売上は前年比3%減ながら、売却事業を調整した場合同3%増でした。2022年12月期の業績ガイダンスは、売上が362〜366億ドル、調整後EPS24.5〜25.1ドルとしています。大陸弾道ミサイルのミニットマンIIIを更新するための地上配備戦略抑止力(GBSD)プログラムを米政府と契約しており、今後数年の売上をけん引する見込みです。
ゼネラル ダイナミックス(GD)  時価総額: 687億ドル
決算期 売上高(億ドル)  (前年比) 純利益(億ドル)  (前年比) EPS(ドル)
22.12予 394 2% 33.6 3% 12.11
23.12予 423 7% 38.3 14% 14.00
株価(3/7): 247.29ドル 予想PER(22.12期): 20.4倍
【国防大手、ビジネスジェットも】

・潜水艦、戦車のほか、ビジネスジェットも手掛けます。2021年12月期の売上構成比は、テクノロジー(ITシステムなど)が32%、マリンシステム(原子力潜水艦など)が27%、コンバットシステム(戦車など)が19%、エアロスペース(ビジネスジェットのガルフストリーム)が18%を占めます。

・2021年12月期業績は、売上が前年比1%増、EPSが同5%増と堅調です。同期の受注・売上比率は、防衛関連が1.0の一方、ビジネスジェットは1.6とパンデミックの影響を受けて好調です。2022年12月期は売上が392〜394.5億ドル(前年比1.8〜2.5%増)、EPSは12.00〜12.15ドル(前年比3.9〜5.2%増)のガイダンスです。
レイセオン テクノロジーズ(RTX)  時価総額: 1,465億ドル
決算期 売上高(億ドル)  (前年比) 純利益(億ドル)  (前年比) EPS(ドル)
22.12予 691 7% 70.8 7% 4.79
23.12予 745 8% 83.0 17% 5.80
株価(3/7): 98.19ドル 予想PER(22.12期): 20.5倍
【ミサイル、航空システムに強み】

・2020年4月にレイセオンとユナイテッドテクノロジーズの航空宇宙部門が合併して誕生、ミサイルシステムや航空システムなどに強みをもつ軍需関連企業です。2021年の売上構成比は、プラット&ホイットニー(旅客機、軍用機のエンジン)28%、コリンズエアロスペースシステム(統合航空システムなど)26%、レイセオンミサイル&ディフェンス(ミサイルシステムなど)24%、レイセオンインテリジェンス&スペース(諜報・情報システムなど)22%からなります。

・2021年10-12月期は、民間航空機向け市場の回復がけん引して、売上が前年同期比4%増、調整後EPSが同46%増と堅調でした。2022年12月期のガイダンスは、売上が685〜695億ドル、調整後EPSが4.60〜4.80ドル、オーガニック売上成長率は前年比7〜9%と見込んでいます。防衛関連の事業は堅調で、民間航空機向けエンジン市場の回復継続が想定されています。
ボーイング(BA)  時価総額: 986億ドル
決算期 売上高(億ドル)  (前年比) 純利益(億ドル)  (前年比) EPS(ドル)
22.12予 821 32% 25.7 黒字転換 3.74
23.12予 935 14% 48.0 87% 7.59
株価(3/7): 169.17ドル 予想PER(22.12期): 45.2倍
【民間航空機市場をエアバスと2分】

・世界最大の航空機メーカーです。民間航空機市場を欧州エアバスと2分し、4,200機超の受注残を有します。軍用機では2位です。2021年12月期の売上構成比は、防衛・宇宙&セキュリティが42%、民間航空機が31%、グローバルサービス(民間航空機のアフターサービスなど)が26%、ボーイングキャピタルが1%を占めます。

・2021年12月期は売上が前年比7%増えましたが、純利益は43億ドルの赤字(前年は119億ドルの赤字)が残りました。2022年12月期はパンデミックで打撃を受けた旅行需要の回復を受けて民間航空機の売上が拡大、防衛関連は安定的、グローバルサービスは堅調な増加が見込まれています。遅れている中国での737MAXの運航再開が近いと見込まれています。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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