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【中国株が急落、買いチャンスか?!】 ウクライナ危機下の米中対立、中国ADRの上場廃止リスクを点検

2022/3/16
投資情報部 李 燕

中国株が急落し、注目を集めています。主な急落要因として、ウクライナ危機下の米中対立や中国ADRの上場廃止リスクが挙げられます。今回の急落は買いチャンスとなるかどうか、それを確認するために、それぞれの調整要因や投資家の動向(需給要因)を確認してみたいと思います。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(3/15) 52週高値 52週安値
iS MSCIチャイナ(02801) 18.36香港ドル 36.60香港ドル 18.36香港ドル
ハンセンH株指数(02828) 61.90香港ドル 117.10香港ドル 61.32香港ドル
Tracker Fund香港(02800) 18.65香港ドル 29.84香港ドル 18.44香港ドル
iS FTSE A50(02823) 14.54香港ドル 21.60香港ドル 14.54香港ドル
iS CSI300(02846) 31.62香港ドル 43.00香港ドル 31.50香港ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 ウクライナ危機下の米中対立

ロシアとウクライナの停戦交渉が難航しているなか、ウクライナ危機の長期化懸念が広がっています。欧米はロシアへ圧力をかけるため、対ロ制裁を強化しています。その対ロ制裁が中国の行動次第で効果が薄れる可能性があると指摘されています。こうしたなか、米国は中国の対ロ支援を警戒し、中国に対して圧力を強めています。

一方、中国はウクライナ問題をめぐっては、武力でなく外交努力、制裁ではなく協議によって解決すべきだと主張しており、対ロ制裁の自制を呼び掛けています。しかしながら、だからといって欧米の対ロ制裁に対抗し、対ロ支援を実施しているわけではありません。確かに、中国はロシア産小麦の輸入を解禁し、ロシアと天然ガス・原油の契約を結びましたが、これはいずれもロシアがウクライナに侵攻する前の出来事です。また、天然ガス・原油をめぐる契約は今後10年に及ぶ長期契約で、今欧米(除くドイツ)が購入ボイコットを実施しようとしている分の購入を意味するものではありません。

むしろ中国は、ロシアによるウクライナ侵攻後は”一歩引いて”情勢を見守っている印象です。欧米の対ロ制裁が強まっていくタイミングでの出来事を確認してみると、中国は欧米の対ロ制裁にある程度従って行動しているようにもみえます。中国最大の国有銀行がロシア産商品向けドル建て信用状の発行を停止することや、中国がロシアの航空機に対する部品の供給を拒否したことなどがそれに当たります。

中国にしてみれば、米国はウクライナ情勢を利用して米中対立を激化させようとしていると考えられます。中国の外交トップ楊潔篪氏が「中国の立場をおとしめるいかなる言動にも断固反対する」と米国を批判したのも、そのような中国側の懸念が背景にあります。こうしたなか、楊氏と米サリバン米大統領補佐官が3/14に対面会談を行いました。会談の結果に注目が集まりましたが、会談について米国は「実質的」、中国は「建設的」とそれぞれ評価していると報じられています。中国の王毅外相は3/14にスペインの外相との電話会談で、「中国はロシアのウクライナ侵攻に関連した制裁の影響を受けないことを望んでいる」と述べたと報じられています。

以上からすると、米中は「平行線のまま」と解釈できそうです。一方、中国の動きからすると、2018年の米中対立時と同様に、米国を批判しつつもうまくかわそうとしている戦略を採っているようです。2018年と同様に、米中対立は時間の経過とともに一旦落ち着く局面がくるかどうかに注目したいです。

2 中国ADRの上場廃止リスク

ウクライナ危機によるインフレ圧力の増大でスタグフレーション(景気後退とインフレの同時進行)に対する懸念が強まっているなか、米中対立は投資家にとって”リスクの上乗せ”となりました。リスク回避志向の強まりを背景に、香港市場のハンセン指数やハンセンテック指数、米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数など中国株の主要指数はいずれも大幅に下落しました。中国株の主要指数のうち、下落が特に顕著なのは、米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数です。主な原因は、中国ADRの上場廃止リスクの再燃です。

図表2 中国ADRの上場廃止リスクをめぐる最近の動向

日付 出来事
3/8 米証券取引委員会(SEC)は外国企業説明責任法に基づき、中国ADR5社を上場廃止リスクのある企業リストに掲載。
3/11 中国当局は、上記の措置は米国が外国企業説明責任法に基づいて実施した通常の手順だとの認識を示した。同時に問題解決に向けて米国の規制当局と協議を続けており、一部進展もあると表明。
3/15 米規制当局は、越境監査をめぐる問題を解決するために、中国当局と協議を続けており、中国との協力協定を積極的に模索していると表明。

※Bloombergおよび各種資料をもとにSBI証券が作成

きっかけは、米証券取引委員会(SEC)が3/8に外国企業説明責任法に基づき、中国ADR5社を上場廃止リスクのある企業リストに掲載したからです。リスト入りとなった5社は、ベイジーンADR(BGNE)、ヤムチャイナ(YUMC)、ザイラボADR(ZLAB)、ACMリサーチ(ACMR)、和黄医薬(中国)(HCM)です。

上記の5社が「上場廃止リスクのある企業リスト」入りした理由はいたって単純です。中国ADRのうち上記5社は、SECに最初に2021年度通期の決算報告書を提出したからです。したがって今後、より多くの企業がSECに通期決算報告書を提出することで、“リスト入り”する企業が増える可能性もあります。

リスト入りした企業は、外国企業説明責任法の会計監査要件を3年連続で順守できなかった場合、米国市場から上場廃止となる可能性があります。現在の規定に従うと、上場廃止は早くて2024年になる可能性があります。2024年となると、時間的に余裕があると解釈できそうですが、ウクライナ危機の長期化懸念で投資家のリスクセンチメントが弱い状況下では「後2-3年もない」との解釈が優位となり、パニック売りを誘いました。

なお、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は3/15は反発しました。米国市場全体が持ち直したことが背景です。加えて、SEC傘下で監査法人の監督を担う米公開会社会計監督委員会(PCAOB)が中国当局との協力協定を積極的に模索していると表明したこともポジティブ材料となりました。中国ADRの上場廃止リスクは、米中両国の交渉次第で何らかの解決策を見出す可能性もありそうです。

他方、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数の構成銘柄の騰落率(3/15)を確認してみると、中国ADRの代表格であるアリババ(BABA)は続落しており、中国ADR全般的に買い戻しが入ったわけではありませんでした。現状のような極端に不確実性を嫌う相場環境下では、より具体的な進展が確認されない限り、中国ADRに対する売り圧力は続く可能性もありそうです。

一方、中国ADRの売りは中国株投資からの完全撤退とはイコールではないようです。ブルームバーグ報道によると、米国の一部機関投資家は中国ADRを売る一方で、香港に上場している同一企業の銘柄を買っています。つまり、中国企業への投資は続くものの、ADRではなく香港上場株へ乗り換えたことになります。株価の動きからすると、この流れは今のところ少数のようです。しかし、現在の状況と比較的近い2018年の経験からすると、米中対立が少し落ち着くと、中国株への投資も復活する可能性がありそうです。

なお、中国ADRの上場廃止リスクを受け、香港上場株も大幅に調整した局面では、中国本土投資家による押し目買いがみられました(図表3)。中国本土投資家にとってみれば、ADRの上場廃止リスクはその企業のファンダメンタルズとは関係ないもので、香港市場に上場している企業は香港市場で資金調達を行うことができます。したがって、今回の大幅調整はむしろ中国本土投資家にとって買いチャンスとなったようです。

図表3 中国本土・香港のストックコネクトを通じた売買動向とハンセン指数の推移(年初来)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

ただ、中国本土投資家のよる買いで「今が香港市場の底」だと判断するのは時期尚早といえそうです。なぜならば、海外投資家の中国ADR売りは中国ADRの上場廃止リスクだけに起因するものではないからです。他の要因として、深センのロックダウン(都市封鎖)が挙げられます。ウクライナ危機の長期化による世界的なスタグフレーション懸念が強まっているなか、ロックダウンによる中国経済への影響が警戒されています。一方、新型コロナ感染急拡大を受け、中国が最初に武漢のロックダウンを実施した時期を振り返ってみると、経済への懸念が強まれば中国当局は金融緩和や景気支援策に乗り出す可能性があります。

また、上記以外の調整要因としては、1)アリババとテンセントの大規模リストラ報道や、2)テンセントの反マネロン規則違反で過去最大の罰金報道も挙げられます。1)については、ネットニュースによるもので事実関係は不明です。同報道について業界関係者は、不採算部門の整理の可能性はあるが、内容が誇張されていると指摘しています。

2)については、ウォールストリートジャーナルが報じたものです。同記事によると、「中国人民銀行は、2021年後半に完了した(テンセントが運営する)ウィーチャットペイの定期検査で違反行為を発見したと関係者らは指摘。罰金額はまだ決定しておらず、一部の関係者は少なくとも数億元に上ると見ている」とされています。ここで注目したいのは、罰金額の「少なくとも数億元」の部分です。というのは、この規模はアリババの罰金額182億元と美団の34億元に比較すると”かなり少額“といえます。したがって、1)と2)は今回の調整の主因ではなく、投資家センチメントに影響を与えたものといえそうです。

総合的に考えると、中国ADRの上場廃止リスクが今回の大幅調整のトリガーとなったとみられます。上記で確認したように、たとえ中国ADRが上場廃止になったとしても、早くて2024年となることからすると、足元の“投げ売り”は行き過ぎと考えられます。一方、中国ADRへの売り圧力はまだ残っている可能性もあり、今が香港市場の底だと判断するのは時期尚早かもしれません。

他方、中国当局は3/16の金融安定発展委員会で、「関連部門は市場に有利な政策を積極的に打ち出さなければならない」と発表しました。株式の急落を意識したものと思われ、今後は何らかの政策面での支援を打ち出す可能性が出てきました。また、ハンセン指数の予想PER水準を確認してみると、既に過去の底値水準にあり、中長期的にみると買い場と言えそうです。ただ、ウクライナ情勢をめぐる不透明感も濃いことから、香港上場株への押し目買いは時間分散の手法を採用したほうが良さそうです。

図表4 ハンセン指数の終値と予想PERの推移

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3中国株関連ETF

図表5 中国株関連ETF

ティッカー 市場 名称 連動指標 備考
02800 香港 Tracker Fund香港ETF ハンセン指数 香港のハンセン指数と連動する投資成果を目指す。
02801 香港 iS MSCIチャイナETF MSCI中国指数 MSCI中国指数と同等水準の投資成果を目指す。
02823 香港 iS FTSE A50ETF FTSE中国A50指数 FTSE中国A50指数により測定される中国市場のA株の実績に概ね対応する投資成果をあげることを目指す。
02828 香港 ハンセンH株指数ETF ハンセンH株指数 ハンセンH株指数を構成する全銘柄に投資し、同指数に連動する。
02838 香港 ハンセン FTSEチャイナ50 ETF FTSE中国50指数 FTSE中国50指数を構成する全銘柄に投資し、同指数に連動する。
02846 香港 iS CSI300ETF CSI300指数 CSI300指数の実績に概ね対応する投資成果をあげることを目指す
03040 香港 Global X MSCI 中国ETF MSCI中国指数 MSCI中国指数の運用成績に概ね連動する投資成果を目指す。
03110 香港 Global X 高配当利回りETF ハンセン高配当利回り指数 ハンセン高配当利回り指数の運用成績に概ね連動する投資成果を目指す。
ティッカー 市場 名称 連動指標 備考
CHAD NYSE Arca Direxion デイリー CSI 300 中国A株 ベア ETF CSI300指数 CSI300指数のパフォーマンスの-1倍(マイナス1倍)となる投資成果を目指す。
CHAU NYSE Arca Direxion デイリー CSI 300 中国A株 ブル2倍 ETF CSI300指数 CSI300指数の200%のパフォーマンスに連動した投資成果を目指す。
CNXT NYSE Arca ヴァンエック ベクトル 中国AMC中小企業・創業板ETF 中国の中小・創業企業100指数 中国の中小・創業企業100指数に連動した投資成果を目指す。
CXSE NASDAQ ウィズダムツリー 中国株ニューエコノミーファンド ウィズダムツリー・チャイナ・エックスステートオウンド・エンタープライズ・インデックス 国有企業を除く中国企業へ投資することを目的とし、ウィズダムツリー・チャイナ・エックスステートオウンド・エンタープライズ・インデックスの価格及び利回りのパフォーマンスに連動する投資成果を追及する。
FXI NYSE Arca iシェアーズ 中国大型株 ETF FTSE中国50指数 FTSE中国50指数によって測定される証券の価格および利回り実績と同等水準の投資成果を目指す。
YANG NYSE Arca Direxion デイリー FTSE中国株 ベア 3倍 ETF FTSE中国50指数 FTSE中国50指数の運用実績の逆数の3倍(300%)に連動する日次投資成果を目指す。
YINN NYSE Arca Direxion デイリー FTSE中国株 ブル 3倍 ETF FTSE中国50指数 FTSE中国50指数の運用実績の3倍(300%)の日次投資成果を目指す。

(注)投資成果は手数料・報酬および経費控除前です。
※当社WEBサイトのETF一覧表を通じてSBI証券が作成

注意

注:レバレッジ型・インバース型 ETF等(ETN含む)は、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品です。レバレッジ指標の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率のレバレッジ倍(又はマイナスのレバレッジ倍)とは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。

上記の理由から、一般的に長期間の投資には向かず、比較的短期間の市況の値動きを捉えるための投資に向いている金融商品といえます。

投資経験があまりない個人投資家の方が資産形成のためにこうしたETF等を投資対象とする際には、取引の仕組みや内容を十分理解し、取引に伴うリスク・コストを十分に認識することが重要です。レバレッジ型・インバース型 ETF等に係る商品の特性とリスクについてはこちらのリーフレットをあわせてご確認ください。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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