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ロシア制裁で農産物価格が高騰!!【農業関連】、なかでも【肥料関連】に注目高まる!?

2022/4/6
投資情報部 榮 聡

ウクライナ危機に伴うロシアへの経済制裁を受けて農産物価格が高騰、農業関連銘柄への恩恵が期待されています。なかでもロシアの生産、輸出寄与が高い肥料関連銘柄の恩恵が大きくなる可能性が注目されます。そこで大手肥料メーカーを中心にご紹介いたします。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(4/5) 52週高値 52週安値
ニュートリエン(NTR) 101.20ドル 108.84ドル 52.28ドル
モザイク(MOS) 67.75ドル 71.50ドル 28.26ドル
CFインダストリーズ ホールディングス(CF) 102.77ドル 109.80ドル 43.19ドル
ソシエダードキミカイミネラデチリ ADR(SQM) 85.88ドル 90.87ドル 39.43ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 ロシアの経済制裁では農業関連にも大きな影響

今回はウクライナ侵攻を受けたロシアへの経済制裁によって市場の混乱が大きくなると言われている肥料業界を取り上げます。

ロシアへの経済制裁を受けて農産物価格が上昇

ウクライナ侵攻を受けてロシアへの厳しい経済制裁が課されており、ロシアの主要な輸出品である原油・天然ガス、ニッケルなどの価格上昇が目立っています。鉱物資源だけでなく、ロシアやウクライナは小麦、大麦など農産物の輸出国であることから、農産物の価格上昇も目立っています。

主要農産物の価格上昇は、パンデミックをきっかけとして2020年後半から顕著となった一方、2021年後半には反落しつつありました。しかし、足もとではロシアへの経済制裁を受けて再び騰勢が強まり、図示した3品目とも2021年の高値を超える水準に上昇しています(図表2)。

今後についても、上昇しやすい状況が続きそうです。USDA(米国農務省)による2022年2月24日時点の予想では、農家の平均販売価格は小麦、とうもろこし、大豆とも、2020/2021年シーズン、2021/2022年シーズンと2期連続で上昇した後、2022/2023年シーズンは若干下落する見通しとなっていました。

しかし、これはウクライナ侵攻によるロシアへの経済制裁が始まる前の予想ですので、かなり上方修正される見込みです。USDAの次回レポートは5/14(土)に発表予定です。

なお、2020年後半からの農産物価格上昇の要因については、2021年4月14日付外国株式特集レポート「穀物市況高騰で潤う!?農業関連銘柄をご紹介」をご参照ください。

農業関連銘柄への恩恵が期待される

過去2年近くにわたる農産物価格の上昇によって、農業関連銘柄への恩恵が期待されます。農産物価格の上昇は農家の増産意欲を刺激するため、肥料や農薬など農業投入物への需要拡大が見込まれます。また、農家の経済状況は大きく改善したことで農機への投資も拡大しやすくなっていると考えられます。

農業関連の主要分野は以下の通りで、関連銘柄を図表3にリストアップしています。

【肥料】
作物価格の上昇で農家の経済状態が改善すると恩恵を受けやすい業界と考えられます。肥料の三要素には、窒素、リン酸、カリがありますが、リン酸とカリは鉱石から生産されるため、資源産業的な側面もあります。ニュートリエンは肥料の三要素をいずれも扱い、世界最大手です。ソシエダードキミカイミネラデチリは肥料事業が主力ですが、株式市場では蓄電池に使用されるリチウムを生産していることが注目されています。

【農業化学】
農業化学は、農家が使用する種苗や農薬を提供するもので、農産物価格上昇の恩恵が早く表面化しやすい業界と考えられます。コルテバは種苗と農薬の両方の事業を運営する一方、FMCは農薬事業が100%です。FMCは2017年にデュポンの作物保護事業を取得する一方、リチウム事業をライベント コーポレーションとして分離しています。

【穀物商社】
穀物商社は、主要穀物の買い付けから集荷、輸送、保管までを手がける専門商社です。穀物価格の上昇は業績にプラスに効くことが多いとみられます。業界トップのカーギル(未公開企業)が群を抜いて大きく、アーチャー ダニエルズ ミッドランドは2位です。

【農機】
農機は「耐久消費財」であり、農産物価格の低迷で2015年から2019年にかけて農家の経済状態が冴えなかったことを考えると、農機に対するペントアップ需要がたまっている可能性があります。米国の大型トラクター(100馬力以上)の売上は、農家の経済状況が良かった2013年ピークの半分以下に低下していることから、複数年にわたり更新需要が出る可能性があると言われています。

図表2 主要穀物価格の推移(月足)

注:最後のデータは3/31(木)です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 農業関連銘柄

事業内容 銘柄(コード) 時価総額
(4/5)
(億ドル)
売上
(今期予想)
(億ドル)
純利益
(今期予想)
(億ドル)
関連売上
の比率
(%)
肥料 ニュートリエン(NTR) 559 359.2 75.9 100
モザイク(MOS) 250 191.6 41.7 100
ソシエダードキミカイミネラデチリ ADR(SQM) 242 56.3 17.4 60
CFインダストリーズ ホールディングス(CF) 215 101.9 34.5 75
農業化学 コルテバ(CTVA) 424 168.1 17.9 100
FMC(FMC) 168 54.0 9.7 100
穀物商社 アーチャー ダニエルズ ミッドランド(ADM) 511 883.2 29.5 77
ブンゲ(BG) 160 614.5 15.9 71
農機 ディアー(DE) 1,269 479.2 69.9 64
CNHインダストリアル(CNHI) 206 206.6 18.0 39
アグコ(AGCO) 104 123.0 8.7 90

※Bloombergおよび中国の公式発表をもとにSBI証券が作成

2 ロシア制裁の影響がとくに大きいと予想される肥料業界

前節では農産物価格の上昇によって恩恵を受ける農業関連銘柄をご紹介しました。当節では、その中でもロシアに対する経済制裁の影響が大きい肥料分野について、詳しくみていきます。

主要な肥料でロシアの存在感が大きい

肥料の3大要素と言えば「窒素・リン酸・カリ」ですが、これらの生産上位国は以下の通りです。いずれの肥料でも上位5カ国にロシアがランクインしています。

・窒素肥料の生産国: 1位 中国  2位 インド  3位 米国  4位 ロシア  5位 カナダ

・リン酸肥料の生産国: 1位 中国  2位 米国  3位 インド  4位 ロシア  5位 モロッコ

・カリ肥料の生産国: 1位 カナダ 2位 ロシア  3位 ベラルーシ  4位 中国  5位 イスラエル

貿易量ではさらに存在感が高まります。米調査機関のOECによると2019年の肥料の世界貿易量は666億ドルで、ロシアは輸出全体の13.3%を占めて首位となっています。原油の世界貿易量に占めるロシアの比率は2020年に11.4%です。ロシアからの輸出が滞ると、肥料では原油並みに影響が大きくなる可能性があります。

影響がとくに大きいカリ肥料

とくに影響が大きくなると見込まれるのが、カリ肥料です。図表4の通り、経済制裁を受けているロシアとベラルーシ合わせて世界の生産量の38%を占めます。

カナダ政府のWEBサイトによると、世界の輸出量ではベラルーシが21%、ロシアが19%を占め、世界の埋蔵量でもベラルーシが最大21%、ロシアが最大17%を占めるとされます。

同肥料で世界トップのカナダ企業ニュートリエンは、世界的な肥料の供給不足懸念に対応して、3/16(水)にカリ肥料の増産を発表しています。2022年の生産量は2020年比20%増となる見込みですが、ロシア、ベラルーシからの供給減少を全部カバーできるかは不透明です。

肥料価格は2年連続の大幅上昇へ

上記のような状況を反映して、農産物価格同様に肥料価格も上昇しています(図表5)。2020年から2021年にかけて大幅に上昇した後、2021年末には反落となっていましたが、ロシア、ベラルーシへの経済制裁を受けて、2019年からの高値を更新する動きとなっています。

肥料の中でもリン酸とカリは鉱石から生産されます。これが何を意味するかと言えば、(1)資源の無い国では代替生産が難しい、(2)鉱山開発には時間がかかるため、需給がタイトになると、価格が大きく上昇しやすい、と考えられます。
このため、ロシア、ベラルーシからの供給減少が続くと意外な高値をつける可能性があると考えられます。

肥料メーカー各社の決算リリースをみると、2021年に続いて2022年も農業の生産活動は活況が見込まれており、肥料に対する需要も旺盛と考えられています。肥料大手各社の業績は2年連続で大幅な増収・増益が見込まれています。

世界の肥料生産企業上位10社は図表6の通りです。米国市場の上場企業が3社ランクインしていますので、次節でご紹介いたします。

図表4 カリ肥料(炭酸カリウム)の生産国シェア(2020年)

※カナダ政府WEBサイトのデータをもとにSBI証券が作成

図表5 北米での肥料(原料)価格

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表6 上場肥料メーカーの売上上位10社

順位 企業名 国籍 主力事業 2020年売上
(億ドル)
1 ニュートリエン カナダ カリ肥料、窒素肥料 209.1
2 ヤラ ノルウェー 窒素肥料 117.3
3 モザイク 米国 リン酸肥料 86.8
4 ユーロケム スイス(ロシア) 窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料 61.7
5 OCP モロッコ リン酸肥料 59.1
6 イスラエルケミカルズ イスラエル カリ肥料 50.4
7 CFインダストリーズ 米国 窒素肥料 41.2
8 フォスアグロ ロシア リン酸肥料 35.2
9 OCI オランダ 窒素肥料 34.7
10 ウラルカリ ウクライナ カリ肥料 29.7

注:OCPは1ドル当たり9.50モロッコ・ディルハム、フォスアグロは1ドル当たり72.11ロシア・ルーブルで米ドルに換算しています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3肥料業界の代表的企業をご紹介

米国市場に上場する肥料メーカーをご紹介いたします。図表6にリストアップされている3社に加え、ADRで上場するチリの肥料メーカーです。

ニュートリエン(NTR)  時価総額: 569億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 27,712 33% 3,376.3 250% 5.91
22.12予 35,923 30% 7,588.1 125% 13.62
23.12予 31,867 -11% 5,620.7 -26% 10.40
株価(4/5): 101.20ドル 予想PER(22.12期): 7.4倍
【カナダ本拠の肥料世界最大手】

・2018年にポタシュとアグリウムが合併してできた肥料の世界最大手で、本拠地はカナダです。売上の6割超を占めるリテール部門では、7ヵ国に2,000以上の販売拠点を展開して、50万超の農家に販売しています。肥料が同部門売上の約4割を占めるほか、農薬、種苗も手掛けます。肥料の三要素をいずれも扱い、カリ肥料で世界トップ、窒素肥料で世界3位の地位を占めます。売上全体では肥料が62%を占めます。世界的な肥料の供給不足懸念に対して、3/16(水)にカリ肥料の増産を発表、2022年の生産量は2020年比20%増、この間の世界の供給増の約70%を占める見込みとしています。

・肥料価格の上昇を受けて2021年12月期は大幅な増収・増益となりました。部門別の売上は、リテール部門が前年同期比33%増、カリ肥料部門が同88%増、窒素肥料部門が同79%増、リン酸肥料部門が同51%増となっています。2022年12月期についてCEOは、「世界の農業および農業投入物(種子、肥料、農薬など)の市場見通しは非常に強く、当社は2022年に大きな利益およびキャッシュフローの増加を達成できるポジションにある。」とコメントしています。2022年12月期の調整後EBITDA(利払い、税金、償却前利益)は100〜112億ドル(前年比40〜57%増)、調整後EPSは10.2〜11.8ドル(同64〜89%増)を見込んでいます。
モザイク(MOS)  時価総額: 250億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 12,357 42% 1,843.6 1010% 4.83
22.12予 19,158 55% 4,174.9 126% 11.43
23.12予 15,992 -17% 2,935.7 -30% 8.68
株価(4/5): 67.75ドル 予想PER(22.12期): 5.9倍
【リン酸肥料の世界的大手】

・米国最大の肥料メーカー。リン酸肥料とカリ肥料に特化して、採掘から製品生産までを手掛けます。2021年12月期の売上は、リン酸肥料34%、カリ肥料22%、モザイクファーティライゼーション(リン酸肥料、カリ肥料、飼料などをブラジルで生産・販売する事業)44%からなります。リン酸肥料で世界2位、カリ肥料でも大手の一角を占めます。

・業績は好調です。農産物価格が上昇基調にあり、肥料価格も大きく上昇していることから、2021年12月期の売上は前年比42%増、EPSは同2.4倍に拡大しています。2022年についても、農産物価格の上昇基調が維持されると見込まれており、肥料に対する需要は堅調が予想されています。業績改善を受けて、フリーキャッシュフローの75%を配当または自社株買いで還元する計画です。
CFインダストリーズ ホールディングス(CF)  時価総額: 215億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 6,538 59% 1,377.7 429% 6.37
22.12予 10,194 56% 3,453.3 151% 15.69
23.12予 7,957 -22% 2,148.9 -38% 10.73
株価(4/5): 102.77ドル 予想PER(22.12期): 6.6倍
【窒素肥料の世界的大手】

・窒素肥料で世界的大手です。2021年12月期の売上は、粒状尿素が29%、尿素アンモニア硝酸溶液27%、アンモニア27%、硝酸アンモニウム8%、その他9%となっています。82%の窒素と18%の水素からなるアンモニアがコア製品で、他の製品はアンモニアから導出されます。アンモニアは水素の効率的な輸送手段であるだけでなく、アンモニア自体が燃料となるため、ローカーボンなアンモニアの生産によってクリーンエネルギー企業としても注目を集めつつあります。

・工場の稼働が順調かつ製品価格が上昇していることに加え、米国の安い天然ガスを利用していることから、2021年の売上・利益とも大幅に拡大しました。2022年についても、現在の世界の穀物在庫、窒素肥料の在庫とも過去に比べて低い水準にあることから、窒素肥料に対する需要は良好な環境が続くと見込まれています。さらに、ロシアからの輸出規制が加わることで、一層需給はタイト化すると見込まれています。
ソシエダードキミカイミネラデチリ ADR(SQM)  時価総額: 242億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 2,862 58% 620.0 193% 2.17
22.12予 5,629 97% 1,743.6 181% 6.48
23.12予 6,258 11% 1,799.1 3% 6.35
株価(4/5): 85.88ドル 予想PER(22.12期): 13.3倍
【チリの鉱業化学会社】

・社名を直訳するとチリ鉱業化学会社で、同社製品の原料の多くがチリのアタカマ砂漠から産出されています。2021年12月期の売上構成比は、リチウムおよび関連製品が33%、スペシャルティ肥料32%、ヨウ素および関連製品15%、塩化カリウム肥料15%、その他5%で、肥料関連が47%を占めます。肥料の中身は、カリ肥料が主力です。EV向け電池の製造に使われる、リチウムの生産でも注目されている会社です。

・主要製品の価格上昇が続いていることから、2021年12月期に続いて2022年12月期も大幅増収、増益が見込まれています。2021年10−12月期の製品平均価格は、リチウムが前年同期比約2.7倍、ヨウ素が同約13%増、スペシャルティ肥料が同約39%増、塩化カリウム肥料が同約2.5倍などとなっています。粗利額は2020年10-12月期の133百万ドルから2021年10-12月期の543百万ドルに増加、うちリチウムが234百万ドル、肥料関連が164百万ドルの増加に貢献しており、利益拡大をけん引しています。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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