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2024-11-11 14:29:56

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相場の調整局面で仕込みたい!?決算を受けて業績上方修正が大きい銘柄

2023/8/9
投資情報部 榮 聡

米国企業の4-6月期決算発表は8割以上まで進み、終盤を迎えています。そこで今回は4-6月期決算発表を受けて通期業績見通しの上方修正が大きい銘柄を主要銘柄からご紹介いたします。

図表1 注目銘柄

銘柄 株価(8/8) 52週高値 52週安値
アマゾン ドットコム(AMZN) 139.94米ドル 146.57米ドル 81.43米ドル
メタ プラットフォームズ A(META) 312.64米ドル 326.20米ドル 88.09米ドル
ネットフリックス(NFLX) 438.30米ドル 485.00米ドル 211.73米ドル
ゼネラル エレクトリック(GE) 113.55米ドル 117.96米ドル 48.29米ドル
キャタピラー(CAT) 282.89米ドル 293.88米ドル 160.60米ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 4-6月期決算は好調、2024年予想EPSは水準を維持

今回は米国企業の4-6月期決算をとりあげます。第1節では4-6月期の決算概況と相場へのインパクト、第2節では決算好調企業のスクリーニングと注目銘柄をご紹介いたします。

〇4-6月期決算は好調?

米国企業の4-6月期決算発表は、テクノロジー大手の決算発表も終わり、8/4(金)時点で社数的にもS&P500指数採用銘柄の84%が発表済みとなって大勢は判明しつつあります。

市況コメントでは「4-6月期決算は好調」との論調が一般的ですが、FactSet社が集計するS&P500指数採用銘柄のEPS(既に発表された決算と今後発表される決算の混合)は図表2のとおり前年同期比5.2%減の予想です。1-3月期よりも減益率が大きくなっており、意外な感じがするかもしれません。

しかし、これにはカラクリがあって、減益寄与が大きいのは、前年同期比で原油価格が下落しているエネルギー、商品価格が下落している素材、新型コロナ関連薬売上の反動減が出ているヘルスケアなどで、足もとの景況悪化を示しているわけではありません。

一方、業種で増益寄与が大きいのは、アマゾンドットコムの増益が貢献する一般消費財・サービス、通信サービスやネットメディアの貢献が大きいコミュニケーションサービスなどです。これらは、これまでの低迷から回復してきたものや個人消費の堅調を背景にしているケースが多く、「4-6月期決算は好調」との判断は間違いないと考えられます。

S&P500指数採用銘柄の四半期予想EPSは、7-9月期は前年同期比トントン程度、10-12月期は前年同期の水準が低かったベース効果もあって同7.6%増と業績回復軌道が予想されています。足もとの経済指標が堅調に推移していることも考えると、このような予想の蓋然性は高まっているとみられます。

〇通期予想EPSの挙動も微妙ですが・・・

2023年の通期予想EPSも、図表3のとおり決算発表前の7月に入って比較的大きく下方修正されるなど、微妙な動向にみえます。しかし、2024年の予想EPSは横ばい圏からやや上方修正されています。

足もとの業績(2023年の予想)が下方修正されても、一時要因による下方修正の場合や、今後の業況改善が見込まれている場合は、先行きの業績(2024年の予想)が下方修正されないこともあり、そういう意味ではさほどネガティブに捉える必要はないでしょう。

2023年予想から2024年予想にかけて12%の増益予想が維持されています。今年4月辺りまで市場で懸念されていた景気減速がこれまでのところ実現せず、米国経済は急激な政策金利引き上げでもソフトランディングできるとの見方が台頭しつつあり、あるいは、「ノーランディング」、つまり、景気減速もないとの見方もでてきているようです。

このようなEPSの修正動向は米国株式相場にどのような影響を与えるでしょうか?

8/8(火)時点で2023年予想EPSは216.7ポイント、2024年予想EPSは242.4ポイント、S&P500指数終値は4,499.38ポイントです。予想PERは2023年予想基準で20.8倍、2024年予想基準で18.6倍です。

2023年予想基準では20倍を超えていますので割高感がありますが、2024年予想基準では19倍を割り込んで、許容範囲と言えそうです。市場の想定通り、米国経済のソフトランディングが実現し、来年後半にかけて景気回復に向かうなら、妥当な範囲と考えられます。

図表2 S&P500指数の四半期EPS推移

注:2023年2Q(4-6月期)は、8/4(金)時点の値です。
※FactSet社公表資料をもとにSBI証券が作成

図表3 S&P500指数の予想EPS推移

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 決算発表を受けて通期EPSが上方修正された銘柄

4-6月期決算を受けて注目できる銘柄をご紹介いたします。

S&P100指数採用銘柄を対象に、決算発表を挟む過去4週間の通期予想EPSの修正率が2%以上の銘柄を図表4にリストアップしています。

ここから、現在値(8月4日の終値)とアナリスト目標株価の乖離率、来期の業績見通しなども勘案して、アマゾン ドットコム(AMZN)、メタ プラットフォームズ A(META)、ネットフリックス(NFLX)、ゼネラル エレクトリック(GE)、キャタピラー(CAT)を選んでご紹介いたします。

〇アマゾン ドットコム(AMZN)

【売上モメンタム改善に加えコスト削減が効く】

4-6月期は、売上の前年同期比伸び率が1-3月期の9%増から11%増に加速、コスト削減によって北米部門の営業利益が1-3月期の9億ドルから32億ドルに大きく改善して、市場予想を上回る決算となりました。7-9月期の売上ガイダンスも、前年同期比9〜13%増相当の1,380〜1,430億ドルで、市場予想の1,383億ドルを上回りました。クラウドサービスのAWSの売上の伸びは前年同期比12%増で、1-3月期の同16%増から鈍化しましたが、会社ガイダンスの同11%増を上回りました。

ネット通販ではスピード、利便性、バリューに磨きをかけるとともに、広告ビジネスの成長とAWSの成長率安定などを背景に、下半期に景気減速とインフレによる外部環境の圧力が高まったとしても堅調な業績拡大を実現できると期待されます。

〇メタ プラットフォームズ A(META)

【ネット広告の回復が続く見通し】

4-6月期決算は、売上が前年同期比11%増、EPSが同21%増で、それぞれ市場予想を3%、2%上回りました。売上はネット広告の回復により、1-3月期の同3%増から同11%増に加速しています。7-9月期の売上高見通し(320-345億ドル)は市場予想を上回り、中間値の売上高見通しは前年比で20%増となり売上高成長率が改善する見通しです。

ザッカーバーグCEOは「ラマ2(大規模言語モデル)、スレッズ(テキスト共有アプリ)、リール(短編動画サービス)等は非常にエキサイティングなロードマップであり、今年の秋にはMeta Quest3(VR・MRヘッドセット)が発売予定」とコメントしました。7-9月期業績に関する市場コンセンサスは、売上は前年同期比20%増、EPSは同101%増と1-3月期からモメンタムが改善する予想です。

〇ネットフリックス(NFLX)

【アカウント共有対策の導入が成功】

4-6月期はドル高の影響を受けて売上は前年同期比3%増、EPSは同3%増でした。契約者純増はアカウント共有対策の効果で589万人と予想の206万人を大きく上回りました。7-9月期は売上が前年同期比8%増、EPSが同14%増と、アカウント共有対策や広告付きプランの成長などで伸びが高まるガイダンスです。

アカウント共有対策は今年5月に同社の売上ベースで80%超に相当する100ヵ国以上で導入されました。契約状況や売上状況から同施策は成功と言え、今後数年にわたる成長要因を得たと考えられます。なお、ハリウッドの俳優ストの影響でコンテンツへの支出が予定よりも減る見通しです。

〇ゼネラル エレクトリック(GE)

【航空機エンジンが好調】

4-6月期決算は売上が前年同期比18%増、調整後EPSは同89%増で、それぞれ市場予想を8%、47%上回りました。旅行市場の回復を受けて航空機エンジンを供給するGEエアロスペースが好調です。受注はGEエアロスペースが同37%増、再生エネルギーが同2.7倍、電力が同7%増で、合計で同59%増でした。通期ガイダンスは、調整後EPSを従来の1.70〜2.00ドルから2.10〜2.30ドルへ、フリーキャッシュフローは従来の36〜42億ドルからから41〜46億ドルへ引き上げました。

同社は従来のコングロマリット体制から事業ごとの会社分離を進めており、コングロマリットディスカウント(コングロマリットであることにより株価評価が割り引かれる現象)が解消しつつあり、これを受けて株価が上昇基調を辿っています。今年初めにGEエルスケアを分離、2024年1-3月期にGEエアロスペースとGEベルノバ(現在の発電事業と再生エネルギー事業)も分離する見通しです。

〇キャタピラー(CAT)

【北米市場が好調】

4-6月期決算は売上が前年同期比22%増、調整後EPSは同78%増で、それぞれ市場予想を6%、25%上回って好調でした。売上は数量、価格ともプラスに寄与して前年同期比22%増でした。増収効果によって営業利益率が前年同期の13.6%から21.1%に大幅改善、EPSの大幅増につながりました。

売上が市場予想比で好調だったのは、北米市場です。建設、資源、エネルギー&トランスポーテーションの3部門とも予想を上回りました。バイデン政権下で成立した米国の製造業投資拡大策から恩恵を受けているとみられます。欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋も予想を上回りました。部門別では、建設とエネルギー&トランスポーテーションが予想を上回り、資源は予想並みでした。

図表4 直近の決算発表を挟む過去4週のEPS上方修正が大きい銘柄

コード 銘柄名 株価
(8/4)
(ドル)
予想
PER
(倍)
通期EPS
修正率
(4週)
(%)
目標株価
乖離率
(%)
来期
増収率
(%)
来期
増益率
(%)
INTC インテル 35.14 29.7 63.7 5.8 11.9 222.9
AMZN アマゾン・ドット・コム 139.57 36.5 24.2 21.5 11.9 23.5
GE ゼネラル・エレクトリック 113.06 35.0 13.8 12.7 8.6 85.7
F フォード・モーター 12.89 7.7 11.3 16.0 2.4 -11.4
META メタ・プラットフォームズ 310.73 19.7 10.4 18.3 12.7 27.9
CAT キャタピラー 276.44 14.1 8.1 4.3 3.8 4.4
JPM JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 156.02 10.7 7.6 8.9 -2.3 -7.4
NFLX ネットフリックス 431.60 31.3 6.7 6.7 13.0 28.8
GM ゼネラル・モーターズ 36.57 5.3 6.3 37.8 1.6 -7.4
BKNG ブッキング・ホールディングス 3063.16 21.0 4.1 7.1 10.8 17.6
EMR エマソン・エレクトリック 95.55 20.1 3.9 12.0 6.1 10.9
MCD マクドナルド 287.02 24.4 3.8 14.2 6.8 8.0
WFC ウェルズ・ファーゴ 44.85 9.8 2.8 14.5 -2.3 0.0
CMCSA コムキャスト 44.84 11.5 2.8 12.0 2.4 11.6
TMUS TモバイルUS 134.60 15.6 2.7 30.5 3.7 36.7
PEP ペプシコ 184.60 23.6 2.2 8.1 5.0 8.2

注:8/4(金)までに4-6月期決算を発表したS&P100指数採用銘柄が対象。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

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