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金利のピークアウトに加え、ハリス関連でも注目の住宅関連銘柄

2024/10/2
投資情報部 榮 聡

住宅ローン金利がピークアウトしていることから、住宅建設市場の回復が期待されます。また、ハリス大統領候補は就任後4年間で300万戸の新規住宅建設を進める方針として、大統領選挙の動向からも注目されます。住宅建設市場の回復で恩恵を受ける銘柄群をご紹介いたします。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(10/1) 52週高値 52週安値
DR ホートン(DHI) 192.72ドル 199.85ドル 100.08ドル
レナー A(LEN) 188.30ドル 193.80ドル 102.90ドル
パルト グループ(PHM) 144.61ドル 145.84ドル 68.80ドル
ホーム デポ(HD) 409.05ドル 410.56ドル 274.26ドル
シャーウィン ウィリアムズ(SHW) 380.58ドル 385.25ドル 232.06ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 住宅ローン金利のピークアウトで注目の住宅関連銘柄

今回は米国の住宅ローン金利がピークアウトしていることを勘案して住宅関連銘柄を取り上げます。

住宅関連銘柄は、大統領選挙の動向によって物色が強まる可能性があることでも注目できます。大統領選挙を闘っているハリス氏が目玉政策の一つとして、就任後4年間で300万戸の新規住宅建設を進め、初めての住宅購入者向けに物件を建設する企業を対象に新たな税制優遇措置を設ける方針を掲げているためです。

〇住宅ローン金利がピークアウト

インフレの沈静、FRBによる政策金利の利下げへの転換を受けて米10年国債利回りがピークアウト、これに連動するように30年の住宅ローン金利が低下基調となっており、住宅建設市場を刺激すると期待されます(図表2)。

住宅ローン金利は2022年9月より6%以上で推移しており、これは過去10年の推移からするとかなり高い水準です。6%を割り込むと住宅建設市場へのインパクトは大きくなると考えられます。

〇NAHB住宅市場指数も底入れへ

また、米国の住宅市場の状況を敏感に反映する指標として、NAHB住宅市場指数があります(図表3)。これは全米住宅建設業者協会(NAHB:National Association of Home Builders)が毎月公表する米国の住宅建設業者の景況感を示す経済指標です。

主に住宅ローン金利の動向を受けて変動しているとみられますが、4月〜8月にかけて4ヵ月連続での悪化から、9月は改善に転じており、住宅建設業者も事業環境の底入れを感じているようです。

〇新築住宅販売件数は増加基調

住宅建設市場に関係の深い新築住宅販売件数は、2022年半ばを底に緩やかな増加基調です。足もとで米国経済は減速しつつありますが、リセッションに陥ることはないというのが中心的な見方となっていますので、新築住宅販売件数の回復は継続が期待できそうです。

一方、中古住宅販売件数は低調な推移となっていますが、これは住宅への需要が低迷しているというよりは、供給サイドに要因があると言われています。物件の絶対数が不足していることに加え、ここ数年の住宅ローン金利上昇で買い替えが抑制されているとされます。ただ、これは住宅建設市場にとっては必ずしも悪いことではないでしょう。

以上を総合すると、住宅ローン金利のピークアウトを受けて、住宅市場の悪化度合いが徐々に小さくなりつつあり、市場が底入れする兆しがみられます。住宅関連銘柄は投資対象として注目できる局面にあると考えられます。

図表2 米国の住宅ローン金利と米10年国債利回り

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 全米住宅建設業者協会(NAHB)の住宅市場指数

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 新築住宅販売件数と中古住宅販売件数

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 米国住宅関連銘柄の業績と株価の動き

前節では住宅関連銘柄が注目できる背景をご説明しましたが、今節では米国の住宅関連銘柄にどのようなものがあるか、その業績動向と株価動向について検討します。

〇米国の住宅関連銘柄

米国の住宅関連銘柄にどのようなものがあるかについて、iシェアーズ米国住宅建設ETF(ITB)(注:同ETFの当社での取り扱いはありません)の組入上位銘柄を確認してみましょう(図表5)。

組入上位4銘柄は、いずれも戸建てを主力とする住宅メーカーです。このほか、住宅メーカーが一部の建設資材や作業道具類を調達するホームセンター、塗料メーカーや建設資材メーカーなどがあります。

ホームセンターの2社は時価総額が大きいものの、それ以外の関連銘柄はいずれも1,000億ドル以下で、米国市場の基準では中小型になります。大手の機関投資家などは、住宅市場の動きを理由に投資する場合には、時価総額が大きいホームセンターの銘柄に投資しているとみられます。

〇大手住宅メーカーの業績推移

米住宅市場の動向を最も敏感に反映する、大手住宅メーカー4社の売上と純利益を集計したものが図表6になります。新型コロナのパンデミックを受けた金利低下で2021年度、2022年度と業績が押し上げられましたが、その反動で2023年度に比較的大きな落ち込みとなり、2024年度は底入れして2025年度、2026年度にかけて回復すると見込まれています。

このような業績見通しのリスクになるのは、米国経済がリセッションに陥ることですが、現在のところその可能性は低いとみられます。米国の家計は、株価および住宅価格の上昇を受けて豊富な純資産を保有していることから、足もとで鈍化しつつある雇用市場に対する耐性が高いと考えられるためです。

〇住宅関連の株価の動き

住宅関連銘柄の株価の動きをみるために、iシェアーズ米国住宅建設ETF(ITB)とS&P500指数の比較したものが図表7になります。
実は住宅メーカーの株価は過去2年間に大幅な上昇となっています。S&P500指数の57%上昇に対して同ETFは2.5倍です。

住宅ローン金利が2022年に一旦ピークアウトして、その後再び上昇しましたが、大きく水準を変えなかったため、住宅メーカーの業績回復は継続するとの見方が背景にあるとみられます。

株価が上昇する前のPERは一桁台の後半で割安感が目立っていましたが、株価が上昇した結果10倍台を超えるものもでてきています。ただ、市場平均が20倍を超える中では、引き続き相対的な低さが目立っていると言えるでしょう。

住宅ローン金利が抑制される中では、業績は堅調に推移して、株価も過去2年ほどではないにしても、上昇余地があると考えられるでしょう。

なお、筆者は2022年12月28日に「住宅ローン金利のピークアウトで注目の住宅関連銘柄」を掲載しており、今回のレポートはそのアップデートになります。

図表5 iシェアーズ米国住宅建設ETF(ITB)の組入上位10銘柄

注:組入比率のデータは、9/27(金)時点です。
※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

図表6 住宅メーカー4社の業績の動き

注:住宅メーカー大手4社DRホートン、レナー 集計です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表7 iシェアーズ米国住宅建設ETF(ITB)とS&P500指数

※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

3 住宅関連の銘柄をご紹介

DR ホートン(DHI)

【米国最大の住宅メーカー】

・米国最大の住宅メーカーで、本社はテキサス州アーリントン。米国南部を中心に33州121市場に展開します。1次取得向けから高級住宅まで幅広く取り扱い、戸建て住宅の市場シェアは13%超です。販売価格が35万ドル以下の住宅の売上が48%を占めます(2024年6月までの12ヵ月)。会社規模の大きさや比較的買いやすい住宅にフォーカスしていることから、厳しい事業環境下でも相対的に堅調な業績を達成できるとみられます。

・4-6月期決算は売上は同2%増、調整後EPSは同5%増と堅調ですが、受注戸数は前年同期比1%増、受注金額は同横ばいとやや低調でした。アセットライトの経営モデルを採用しているためキャッシュフローの創出は順調で、40億ドルの自社株買いを決めています。通期の業績見通しは、販売戸数、売上とも従来レンジを狭め、上限の引き下げがやや大きい印象です。

レナー A(LEN)

【DRホートンに肉薄する大手】

・1954年に創業した米国の大手住宅メーカーで、本社はフロリダ州マイアミ。米国南部、中西部、西部、西海岸などの26州、75市場で事業展開しています。同業の買収を重ねてDRホートンと2強を構成するまでに拡大してきました。金融サービスやマルチファミリーなどの事業も併営しています。

・6-8月期決算は、売上が前年同期比8%増、EPSは同10%増、受注戸数が同5%増、受注金額は同9%増と堅調です。9-11月期の受注ガイダンスは前年同期比10〜12%増相当の19,000〜19,300戸と好調の見込みです。販売戸数の好調は、インセンティブの利用も含め市場の価格動向に合わせて販売戸数の増加を重視する戦略が効いているとみられます。

パルト グループ(PHM)

【業界3位の住宅メーカー】

・1950年に創業した米国の大手住宅メーカーで、本社はジョージア州アトランタ。Pulte、Centex,、Del Webbなどのブランドを擁し、米国南部、南東部、中西部、西部など24州、40以上の主要都市圏で事業展開しています。DRホートン、レナーに次ぐ業界3位の地位を占めます。

・4-6月期の決算は、売上が前年同期比10%増、EPSが同19%増と好調でした。一方、新規受注戸数は同4%減、新規受注額は同2%増とやや低調でした。同社CEOは、「短期的な住宅需要は金利動向に影響を受けるが、長期的な市場ダイナミクスは、数年にわたる建設不足を要因とした構造的な住宅不足によって支えられる見込みだ。」とコメントしています。

ホーム デポ(HD)

【世界最大のホームセンター】

・ホームセンターで世界首位。建築資材、インテリア、家電、園芸用品などを扱います。米国中心にカナダ、メキシコに2,340店を展開しています。顧客別の売上構成比は、プロ向けが55%、個人のDIYが45%を占めると推定されており、プロ向け比率が高いのが特徴です。25年以上連続増配の「配当貴族指数」の構成銘柄です。

・5-7月期決算は売上が前年同期比0.6%増、調整後EPSが同1.1%減、既存店売上が同3.3%減と低調で、2025年1月期は、既存店売上が前年比3〜4%減、買収効果により、売上は2.5〜3.5%増の見込みです。下半期の事業環境は上半期と同程度と想定されています。期待される住宅市場の改善によって、2025年に向けて業績モメンタムは改善していくと期待されます。

シャーウィン ウィリアムズ(SHW)

【塗料店の店舗網に特徴】

・1866年創業の老舗塗料メーカーで、塗料・コーティング剤で全米首位級です。建築・船舶・自動車・航空機向けなどに広く展開し、海外売上比率が19%(2023年12月期)と今回取り上げた銘柄の中では高くなっています。多数のブランドで事業展開していますが、5,300以上ある北米の自社店舗ではシャーウィンウイリアムズブランドの製品を独占的に扱っています。25年以上連続増配を行っている「配当貴族指数」の構成銘柄です。

・4-6月期の決算は事業環境が厳しい中、売上が前年同期比0.5%増、調整後EPSが同12.5%増と堅調でした。ペイントストア部門が前年同期比2.4%の増収となったことが利益増につながっています。同部門は、住宅の塗り直し市場でシェア拡大が続いています。期待される住宅市場の改善によって、2025年に向けて業績モメンタムは改善していくと期待されています。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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