2017/02/28
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」2月27日号より抜粋
昨年11月の米大統領選でトランプ候補が勝利し、新政権による米国景気の拡大期待が高まり、米国市場では11-12月に「株高・金利高・ドル高」が進みました。しかしその後、NYダウは11営業日連続で最高値更新が続く一方、米国10年国債利回りとドル円相場は昨年12月15日の2.598%と1ドル118.66円を直近ピークに、先週24日は各々2.313%と1ドル112.12円まで金利低下とドル安円高が進みました。
背景には、消費中心の良好な米国景気にトランプ政権の景気刺激策が加わり、企業業績への拡大期待が株高を支えていると考えられます。S&P500企業の営業利益(前年比)は、2015年7-9月▲14.0%を大底に、同年10-12月▲13.7%→2016年1-3月▲7.1%→4-6月▲1.6%→7-9月+12.7%→10-12月(全体の86.6%集計)+23.5%と急拡大、2017年上期も+24.0%となる見通しです(出所:S&P社による集計)。
他方、債券と為替が「金利高・ドル高」とはならず、リスク回避的な動きにあるのは、3月の英国EU離脱通告・3月15日のオランダ総選挙・4月23日の仏大統領選・3月14-15日の米国FOMC(連邦公開市場委員会)・3月15日の米国連邦債務上限引き上げ期限・米国トランプ政権の財政政策・4月の米財務省による為替操作国中国特定の可能性など、不透明な重要イベントが目白押しであるためでしょう。足元、最高値更新を続ける米国株式も、目先は短期調整を迎える可能性もあると思われますが、年間では「株高・金利高・ドル高」基調が予想されます。
今週の焦点は、トランプ米大統領の施政方針演説とイエレンFRB議長講演です。
◆米国:2月28日の米大統領施政方針演説では、税制改革の全体像に言及する可能性はあるものの、市場が期待するような具体策は公表されない恐れがあります。予算教書発表が早くとも3月半ばにずれ込み、議会審議はオバマケア修正が優先され、中間所得層減税・法人減税・国境調整税等は8月休会前の議会承認を目指しています。それでも減税施行は来年1月とみられ、またインフラ投資など13本の歳出法案は秋口以降の審議となるので、景気刺激効果は来年と予想されます。
そのため、FRBは3月・5月に利上げを急ぐ必要性は低く、6月13-14日会合と予想されます。ただ、3月1日の個人消費支出デフレーター前年比は12月+1.6%→1月+2.0%と物価目標に達する見通しで、3月3日のFRB議長と副議長講演に注目です。
◆日本:2月28日の鉱工業生産と3月3日の消費者物価が焦点です。在庫減少するなかで出荷は増加し、昨夏からの生産拡大が確認されましょう。全国コア消費者物価は12月前年比▲0.2%→1月0.0と昨年2月以来のマイナス脱却が見込まれます。
◆中国:3月1日の製造業PMI 2月分は、国家統計局PMI・マークイットPMIともに前月より悪化が見込まれます。しかし、中立水準である50は両方とも上回り、底割れは回避しながら、緩やかな景気拡大が維持される見通しです。 (荒武)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
2/27(月) |
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(米)カプラン・ダラス連銀総裁 講演 |
2/28(火) |
(日)1月 鉱工業生産(速報、前月比) |
3/1(水) |
(米)カプラン・ダラス連銀総裁 講演 |
3/2(木) |
(米)メスター・クリーブランド連銀総裁 講演 |
3/3(金) |
(日)1月 完全失業率 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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