2017/10/17
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」10月16日号より抜粋
■日経平均は欧米主要株価指標をアウトパフォーム
先週の主要国株式市場では、日経平均が米欧株をアウトパフォーム、22日衆院選では連立与党が安定多数を獲得し波乱なしとの見方が外国人中心に日本株買い意欲を高めました。一方、欧州はスペインカタルーニャ州独立問題、米国は予想下回る9月小売、コアCPI等を背景に株価じり高も上値重く、ドルは小幅安となりました。
■株式市場で続く好循環、遮断要因は米減税策とん挫、米FRB人事と26日ECBか
景気敏感株主導で高値刻む欧米株式市場(5頁図1)、先週IMF(国際通貨基金)が示したように世界経済への楽観的見通し(世界経済2017年見通しは3.6%と前回7月予測比+0.1%)や難航が予想されるも実現へ期待が募る米税制改革が、緩和的な金融環境も相まって企業業績の上ぶれ期待を醸成しています。米株式市場では、将来の価格下落で利益を得る先物売りやプットオプション(売る権利)取引が膨らみ高値警戒感は強まるも、現物株はこれらの期待を背に高値更新、当該取引の手仕舞いが現物株を再び高値へ導く展開が続いています。世界経済の急減速を生むようなショックが当面想定しずらい中、この株式市場の好循環が遮断されるとすれば、その条件は北朝鮮情勢の緊迫や米減税案の頓挫に加え、金融環境が金融政策により引き締めに転換すること、この点では目先、①次期米FRB(連邦準備理事会)議長人事(ウォルシュ・ショック)、②26日ECB(欧州中銀)理事会に警戒が必要でしょう。
■次期米FRB議長指名による市場の反応、パウエル氏でハッピー、ウォルシュ氏でショックか
①:報道によれば米大統領の次期FRB議長指名は11月になる模様です。政権目標の3%成長を援護し、かつ金融政策に精通し柔軟性を有する事が指名の要件と思料します。パウエルFRB理事、イエレン同議長は3%成長に懐疑的も政策の柔軟性が高く市場も好感、一方ウォルシュ元同理事は3%成長を実現可能とするも厳格で透明度の高い政策運営を志向、指名となれば金利上昇、株安となりそうです。
②:インフレ加速への自信が深まらぬ中、ECBが来年以降の金融緩和策の解除を示唆すれば、一時的にせよ世界的にリスク資産調整は避けられないとみています。
そして、今週大詰めを迎える最大1.5兆ドル規模の減税を盛り込む米上院予算案の本決議も注目です。その先の税制改革案を共和党主導で実現するには上院本会議可決は必須ですが、目下民間による10月20日までの上院可決予想はほぼ五分五分、今週の米株はこの決議に関する報道で一喜一憂する展開を見込んでいます。
◆欧州:19-20日のEU(欧州連合)首脳会談、英国のEU離脱協議を通商交渉へ進めるか判断します。英国のEU離脱費用が依然決まらず、移行は難しい模様です。
◆中国:18日から第19回共産党大会が開幕し前評判通り習近平体制が強化、市場の関心は寧ろ7-9月期実質GDP(予想:前年比+6.8%)に向かいましょう。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
10/16(月) |
---|
(米)10月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 |
10/17(火) |
(米)9月 鉱工業生産(前月比) |
10/18(水) |
(米)ダドリー・ニューヨーク連銀総裁 講演 |
10/19(木) |
(日)9月 貿易収支(通関ベース、季調値) |
10/20(金) |
(日)黒田日銀総裁 あいさつ |
10/22(日) |
(日)衆議院選挙 投開票 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
当資料に関してご留意頂きたい事項
- 当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の三菱UFJ国際投信経済調査部の見解です。また、三菱UFJ国際投信が設定・運用するファンドにおける投資判断がこれらの見解に基づくものとは限りません。
- 当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。