FOMC 政策金利 |
発表時間 |
3/18(水)27:00(日本時間) |
前回1月27〜28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、注目されていた声明中の“利上げ決定に『辛抱強く』臨む”との表現が外されることはありませんでしたが、経済成長が勢いを増しているとの認識では一致し、景気判断は上方修正されました。2月18日に公表された議事要旨には、『辛抱強く』との文言を削除した場合・・・
前回発表時(1月28日)の振返り(米ドル/円 15分足)
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
直近の状況と今回の焦点をチェック!
利上げ時期を特定することに神経質になっている米連邦公開市場委員会(FOMC)
前回1月27〜28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、注目されていた声明中の“利上げ決定に『辛抱強く』臨む”との表現が外されることはありませんでしたが、経済成長が勢いを増しているとの認識では一致し、景気判断は上方修正されました。2月18日に公表された議事要旨には、『辛抱強く』との文言を削除した場合、利上げ時期の市場予想が「適度に狭い範囲」に絞り込まれる恐れがあるとの指摘があったことが記されていました。同じ18日、ニューヨーク大学で講演したパウエル理事も質疑応答の際に、その理由として「投資家を驚かせないよう配慮する」との考えがあったことを明らかにしました。イエレン議長を始め過半数を占めるハト派の委員会メンバーは、労働市場の改善や経済の緩やかな拡大を認識しながらも市場が利上げ時期を特定することに想像以上に神経質になっているようです。
米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを急いでいないと判断しているのは、足許の米経済に利上げによる副作用が生じないようにとの配慮が前提になっていると思われます。また、文言の削除や年央の利上げに前向きなメンバーに限って今年の投票権がないといった事情も最終的な決定に影響しているのかも知れません。前回1月の会合以降、これまでの間にドルが大きく下落したのは、小売売上高の2ヵ月連続のマイナス発表時のほか、イエレン議長による上院議会証言で利上げを急がない姿勢を表明した時などに限られています。一方ドル買いが優勢となったのは、1月、2月の雇用統計がいずれも予想を大きく上回る改善を見せ、早期の利上げ観測が高まったことによって米長期金利も上昇するといった場面が中心でした。
今回会合での焦点
12月のFOMCから少し時間が経過しましたが、会見でイエレン議長が『辛抱強く』とは次回(1月)や次々回(3月)の会合での利上げはなし、との説明があったことを記憶されている方も多いと思います。それだけに3月17〜18日の会合での焦点は、1月同様『辛抱強く』文言の削除もしくは具体的な利上げ時期への言及のいずれかになっているようです。前回の会合で利上げに際して「国際金融情勢」にも留意するとの文言が追加されたことを考えると、先の中国全人代で成長率見通しを7%前後にまで低下させたことを例に、グローバルでの景気落ち込みが進む中で、はたして米国の独り勝ち的な成長が本当に長続きするのかとの懸念も出始めていることにも注意しておく必要があると思われます。
3月6日の雇用統計は好結果でしたが、雇用者数は伸びているものの、“大事なのは「労働の質」”とまで言及しているイエレン議長だけに、民間部門の時間給賃金が前月比0.03ドル程度の上昇に留まる状況では、6月の利上げを織り込むには少し無理があるように思われます。『辛抱強く』との文言削除の決定はともかく、利上げ時期の特定に至るまでの決定力には欠けているのではないでしょうか。労働市場の底堅さが相当の期間確認されているにも関わらず、前回までのFOMCは、利上げ時期への言及に慎重な姿勢を取り続けています。この点を踏まえると、仮に『辛抱強く』との文言が削除された場合でも、期待インフレ率が2%に向けて上昇していないことなどを理由に、実質的には1月の会合とほとんど変化のない決定になる可能性が一番高いのかも知れません。
FOMCとは
日本でいう日銀の金融政策決定会合に相当する委員会のことで、現在の景況判断と公開市場操作(政策金利の上げ下げや為替レートの誘導目標)の方針が発表され、アメリカの株式市場や為替レート、世界の金融マーケットに大きな影響を与えます。基本的に6週間ごとの火曜日、年に8回開催されます。