FOMC 政策金利 |
発表時間 |
4/29(水)27:00(日本時間) |
前回3月17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、注目されていた声明文の政策指針(フォワードガイダンス)での利上げ開始のタイミングについて、市場予想通り『辛抱強く』との文言を削除しました。ただし、文言の修正が利上げ開始時期を特定させるわけではなく・・・
前回発表時発表時(3月18日)の振返り(米ドル/円 15分足)
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
直近の状況と今回の焦点をチェック!
前回のFOMC(3月17日〜18日)振り返り
前回3月17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、注目されていた声明文の政策指針(フォワードガイダンス)での利上げ開始のタイミングについて、市場予想通り『辛抱強く』との文言を削除しました。ただし、文言の修正が利上げ開始時期を特定させるわけではなく、さらに4月の会合での政策変更の可能性が低いことも示されました。また、2015年の成長率および物価見通しがエネルギー価格の低下の影響から前回よりも下方修正された一方で、好調な労働市場を反映して失業率見通しは上方修正(改善)されました。
4月8日に公表された議事要旨では、6月の利上げ開始を巡って委員の間で意見が分かれていたことが分かりました。複数の委員が今後の経済指標次第で6月の利上げが正当化されると主張、その他の多数委員はエネルギー価格の下落やドル高がインフレを抑制していることから年後半の利上げ開始を主張したようです。また、来年以降の利上げ開始を主張した委員も何人かいたようです。
今回会合での焦点
声明文の『辛抱強く』との文言の削除の有無ばかりが注目されていた前回、前々回の会合に対し、4月の会合では『利上げ開始時期』の決定についてのヒントが得られるのかが焦点となりそうです。今年に入って以降、低調な内容が目立つ経済指標が続いている中で、4月3日の雇用統計での雇用者数が予想以上の減少したことで、市場は6月の利上げ開始を見込むには少し無理があるとの見方になりつつあります。経済指標の低調さが悪天候や港湾ストによる一時的な要因との解釈もあったのですが、小売売上高や住宅・消費関連の指標結果も低調だったことで基本的に強い経済が持続されていたとの見方が裏付けされるには至りませんでした。第1・四半期のGDP速報値を確認した上でFOMCに臨めればより正確な評価に繋がったはずですが、GDP発表が会合の直前ということもあって、残念ながら1-3月期経済の全体像を把握することは出来ません。
しかし、弱い指標結果の発表が続いてきているからと言って29日の「現状維持」が100%と決めつけてしまうのは早計でもあり、これまでのイエレン議長を始めとした複数の委員による発言を検証しておくのも大切かも知れません。少し時間が経過していますが、イエレン議長は3月27日の講演で「ゼロ金利政策を解除する時期には、まだ到達していない」と発言、経済成長の継続を前提に「今年後半の利上げが妥当になるだろう」と表明しました。また、比較的最近の4月16日には複数の連銀総裁による講演があり、そのうち投票権を持つアトランタ連銀のロックハート総裁は「6月よりもそれ以降の利上げが望ましい、6月の利上げの可能性は排除しないが、私自信はそれを望んでいない」と発言。さらに同じく投票権を持つリッチモンド連銀のラッカー総裁は、6月の利上げについて「経済データがエコノミストの予想に合理的に近い結果であれば、根拠は引き続き強いと見られる」と発言しました。特に興味深かったのが、同じ日に講演したフィッシャー副総裁の「インフレ率が目標の2%に向かう兆候が強まっている。年内利上げする公算が高いが、今後入手する経済指標次第」とした発言です。
要人発言の検証
3月27日 |
FRBイエレン議長 |
ゼロ金利政策を解除する時期には、まだ到達していない |
---|---|---|
(経済成長の継続を前提に)今年後半の利上げが妥当になるだろう |
||
4月16日 |
アトランタ連銀ロックハート総裁 |
6月よりもそれ以降の利上げが望ましい |
6月の利上げの可能性は排除しないが、私自信はそれを望んでいない |
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リッチモンド連銀ラッカー総裁 |
(6月の利上げについて)経済データがエコノミストの予想に合理的に近い結果であれば、根拠は引き続き強いと見られる |
|
FRBフィッシャー副総裁 |
インフレ率が目標の2%に向かう兆候が強まっている。年内利上げする公算が高いが、今後入手する経済指標次第 |
いずれの委員も経済データを重んじた上での判断をすることになりそうですが、今月これまでに発表された指標結果を考えれば、29日のFOMC以降に発表される指標も確認した上で、6月17日の会合以降に決定が持ち越される公算が高いように思われます。
FOMCとは
日本でいう日銀の金融政策決定会合に相当する委員会のことで、現在の景況判断と公開市場操作(政策金利の上げ下げや為替レートの誘導目標)の方針が発表され、アメリカの株式市場や為替レート、世界の金融マーケットに大きな影響を与えます。基本的に6週間ごとの火曜日、年に8回開催されます。