米4月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
5/8(金)21:30(日本時間) |
前回値 |
+12.6万人 / 5.5% |
事前予想 |
+23.0万人 / 5.4% |
4月3日に発表された3月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が、前月から+12.6万人となり、市場予想の+24.5万人を大きく下回った。そして、雇用者数の伸びは2013年12月以来の低水準となり・・・
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前回発表時(4/3)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円

- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円

※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル

※出所:FX総合分析チャート 15分足
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雇用統計直前予想レポート
4月3日に発表された3月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が、前月から+12.6万人となり、市場予想の+24.5万人を大きく下回った。そして、雇用者数の伸びは2013年12月以来の低水準となり、13ヵ月ぶりに+20万人台の大台を下回った。一方、失業率は、前月から横ばいの5.5%となった。また、非農業部門雇用者数は、1月、2月の結果がともに下方修正されたことや、賃金の伸び悩み、求職者を含む働き手の割合を示す労働参加率も低下するなど、雇用指標全体で回復基調に足踏みが見られた。
雇用の継続的な改善を前提に、米FRBは利上げ開始を模索しているが、この結果を受けてマーケットでは、FRBが利上げに慎重になるとの見方が強まり、ドルが主要通貨に対して下落となり、ドル/円は119.81から118.72まで下げる動きとなった。
図:米ドル/円 5分足

※出所:FX総合分析チャート
民間部門の雇用者数は+12.9万人(前月修正後+26.4万人)、サービス部門は+14.2万人(+24.4万人)。業種別でも、一時雇用を含む企業向け専門職が引き続き大きく伸び、教育・健康や小売りも好調だったものの、前月の伸びからは低下している。一方、観光・娯楽は伸び悩み、建設、製造業、政府雇用はいずれも雇用者数が減少した。
非農業部門雇用者数は、1月の結果が+23.9万人から+20.1万人に、2月が+29.5万人から+26.4万人にそれぞれ下方修正され、2ヵ月合計で-6.9万人となった。また、民間部門(2ヵ月合計-5.9万人)や、製造業部門(2ヵ月合計-1.0万人)も下方修正されている。
職に就けない期間が半年以上に及ぶ長期失業者は、-14.6万人の256.3万人となり、失業者全体の29.8%(前月は31.1%)となった。また、仕事を探しても見つからないと職探しを諦めている人なども含めた広義の失業率(U6)は、10.9%と前月から0.1ポイント低下となった。そして、時間当たり賃金は、前月比+0.07ドルの24.86ドル、前年比では2.1%と前月から伸びたものの、いずれも期待以上の結果には及ばなかった。
表:統計結果と今回の市場予想
|
4月市場予想 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
11月 |
10月 |
9月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.4 |
5.5 |
5.5 |
5.7 |
5.6 |
5.8 |
5.7 |
5.9 |
非農業部門雇用者数(万人) |
+23.0 |
12.6 |
26.4 |
20.1 |
32.9 |
42.3 |
22.1 |
25.0 |
民間部門雇用者数(万人) |
+22.5 |
12.6 |
26.4 |
20.2 |
31.9 |
41.4 |
21.8 |
23.5 |
製造業部門雇用者数(万人) |
+0.5 |
-0.1 |
0.2 |
1.7 |
1.9 |
4.5 |
2.3 |
0.9 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は5月7日現在の予想平均値
昨年末からの天候悪化などを受けて、たびたび雇用者数の伸びに影響が出るとの懸念もあった。そして、昨年末から雇用者数の伸び幅が大きく増減していたが、安定的な雇用の伸びを示す+20万人以上は維持されていた。しかし、3月は全体的に前月から大きく落ち込む結果となり、ここにきて影響が出ているとの見方も広がっている。実際に、米国の主要な経済指標の結果は、年始から予想を下回るケースが目立っており、このことが雇用市場にも影響が出始めたとも考えられる。
前回の結果が一時的であるのか、それとも米経済の鈍化傾向が表れ始めていて、労働市場に影響が出始めているのかを判断するには、今回の結果が重要となるだろう。再び雇用の安定的な伸びとされる+20万人を上回る結果となれば、前回の悪化は一時的だったとの楽観的な見方が広がるだろう。しかし、雇用者数の伸びなど、注目される指標の結果が市場予想を下回る場合には、米経済に対する懸念が広がる可能性もあるだろう。また、雇用統計の結果は、FRBが利上げ時期を判断するための重要な指針の一つであり、雇用統計の結果を受けて、利上げ時期に関する思惑も左右され、それが相場に反映されるだろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)

- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成