FOMC 政策金利 |
発表時間 |
6/17(水)27:00(日本時間) |
直近の状況と今回の焦点をチェック!
前回のFOMC(4月28日〜29日)振り返り
前回4/28〜29の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、一時的な要因(悪天候や港湾スト)を反映した労働市場の弱含みや成長鈍化を考慮して、声明での景気判断を下方修正しました。FOMCの声明の数時間前に発表された1-3月期GDP速報値が、設備投資の低下や住宅市場の回復の遅れ、さらにはドル高による輸出の減少などを背景に、前年比年率0.2%と前期の2.2%から大幅に減速したことも反映されたようです。4月のFOMCは、利上げ開始決定があるとの事前予想もほとんどなく、市場の関心は5/20の議事要旨と合わせて、もっぱら利上げ時期を探るヒントを得ることに重点が置かれていました。前回のFOMCから得られたコンセンサスは、次回6月の会合での利上げ決定の可能性が極めて低く、複数の委員からも利上げ開始の判断は、指標の改善次第との発言が繰り返されていたこともあって、結果的に利上げは9月の会合以降に先送りされるとの見方が優勢となりました。
前回発表時(4/29)の振返り(米ドル/円 15分足)
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
今回会合での焦点
大幅減速した1-3月期GDPに加え、5月に入ってからの指標も、ISM製造業景況指数、貿易収支、ADP雇用統計など、月はじめに発表された指標が揃って予想を下回るような弱い結果となりました。さらに5/8に発表された雇用統計では、非農業部門雇用者数が20万人増を回復した一方で、3月の数字が8万6千人増へ下方修正されたことから、利上げ時期の先送り観測が強まることになりました。こうした予想を下回る弱い指標は、その後も小売売上高、生産者物価指数、ミシガン大学消費者信頼感など月半ばまで続きました。しかしながら、住宅着工や消費者物価指数が予想を上振れする結果となった頃を境にして、この利上げ時期の後ずれ観測も徐々に弱まり始めました。その後、5/22にイエレンFRB議長は講演で「年内のある時点」での利上げの可能性に言及、それまでの「年後半には利上げが正当化されよう」との発言に変化があったことも利上げ時期の後ずれ観測を弱める大きな要因になったようです。
5/20に発表された前回4月の議事要旨では、委員の多くが6月の利上げは時期尚早と考えていたことが明らかになっています。その後、フィッシャーFRB副議長やサンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁が「年内の利上げ開始の公算が高い」と述べていることに加え、6/1のISM製造業景況指数や6/5の雇用統計がいずれも予想を上回ったことで、改めて16〜17日のFOMCで9月もしくは12月の利上げ開始の判断があるとの期待も戻ったようです。
最後に市場の一部が話題にしている注意点として、毎年の恒例行事となっているジャクソンホールでの年次シンポジウムにイエレン議長が参加を見送る決定をしたことを挙げておきます。今年のテーマが“インフレの力学と金融政策”のため、無用な混乱を避ける意図が推測されますが、バーナンキ前議長も9月の量的緩和終了を織り込みつつあった任期最終年となった2013年のシンポジウム参加を見送った経緯があります。この年の5月に量的緩和の終了を示唆したことで市場が混乱したこともあり、9月の量的緩和終了は見送られています。イエレン議長が前議長の手法を踏襲する訳ではないにしても、こうした事例からすると9月の利上げも見送られる可能性も選択肢に入るため、今回のFOMCでは声明を含めた細かい部分まで注意深い検証が必要になりそうです。
FOMCとは
日本でいう日銀の金融政策決定会合に相当する委員会のことで、現在の景況判断と公開市場操作(政策金利の上げ下げや為替レートの誘導目標)の方針が発表され、アメリカの株式市場や為替レート、世界の金融マーケットに大きな影響を与えます。基本的に6週間ごとの火曜日、年に8回開催されます。