欧州 政策金利 |
発表時間 |
7/16(木)20:45(日本時間) |
前回値 |
0.050% |
事前予想 |
0.050% |
7/13ユーロ圏首脳が財政緊縮策を条件にギリシャへの支援(約860億ユーロ=約11兆7,500億円相当)を行うことに合意したことを受け、一度はユーロが買われましたが、その後1.10ドル前後まで反落しました。この市場の反応は順当で、合意して終わりではないことを示しています。
今後の流れとしては、ギリシャ議会が財政改革の重要項目を法制化する必要があります。またギリシャとユーロ圏首脳は自国に戻り、今回の合意の承認を得る必要があります。基本合意して一歩進んだようにも見えますが、ユーロ圏にとってはこれからがいばらの道の始まりなのかもしれません。ギリシャをめぐる混乱はまだ続きそうです。
そんな混乱の中、ギリシャへ独自の支援を行っているECBはどう動くのか注目が集まっています。
前回のポイントをチェック!
前回6/3に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、主要政策金利のリファイナンス金利0.050%、上限金利の限界貸出金利0.30%、下限金利の中銀預金金利▲0.20%のすべてが予想通り据え置かれました。もっとも前回の会合で注目されていたのは政策金利の変更ではなく、会合後のドラギ総裁の記者会見で、実際、記者からの質問もギリシャへの対応、今後の量的緩和、ユーロ圏主要国の長期国債を中心とした金利上昇への対応に集中しました。会見の中でドラギ総裁は、「ボラティリティの高止まりに慣れなければならない」と発言。前日に発表されたユーロ圏消費者物価指数がプラスになっていた直後のこの発言に債券市場は大きく反応、ドイツ10年債利回りは昨年9月以来となる1%手前の水準まで上昇、ユーロ圏の債券だけでなく米国や日本の債券市場にも同様の動きが波及しました。為替市場では債券利回りの上昇にともなって、ユーロは1.09ドル台から1.12ドル台まで大きく上昇しました。今(7/13)現在も金融市場を揺るがしているギリシャ問題ですが、ECBにとって少なくとも前回の会合時点までは、一番のリスク要因との認識ではありませんでした。今回のギリシャ問題を契機に再確認されたユーロの弱点が、今後何らかの影響を及ぼす可能性もありそうです。
前回発表時(6/3)のユーロ/円の動き
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
今回のポイントを事前チェック!
6月に発表されたユーロ圏経済指標は、ほぼ市場予想通りの堅調な発表が続いたことから、5月後半に一旦売りに傾いていたユーロ相場も、3月や4月に付けた1.05ドル前後の安値には当面戻ることはないだろうとの見方が強まっていました。ところが、ギリシャが国際通貨基金(IMF)への融資返済期日を目前にした6/27に突然、欧州連合から求められている財政再建案受け入れの是非を問う国民投票を実施することを表明したことで事態が一変しました。以前から「ギリシャのユーロ圏からの離脱」というテーマは、可能性のひとつとして遡上には上っていましたが、危機感を持って議論されるレベルにはなかったと言うのが事実かも知れません。
先月末(6/30)に発表されたユーロ圏消費者物価指数は前年比0.2%の上昇となり、エネルギーやサービス価格などの上昇が鈍化し、先月の上昇率を下回りました。ドイツの消費者物価指数も前年比0.2%の上昇となり、同指標の伸び率が2ヵ月続くことはありませんでした。ドイツ10年債利回りがようやく低下し始めたのも、この緩やかな伸びとなったインフレ指標も影響したようです。ギリシャ問題が喫緊の課題になっていなければ、7/16のECB理事会もそれほど注目されることもなかったはずですが、足元のECBはギリシャの銀行向け緊急流動性支援(ELA)を維持して、ギリシャ市民の日々の生活の命綱の役割を果たしていることから、ユーロ圏中央銀行の立場によるギリシャに対する言及が注目されることになりそうです。本来、ユーロ圏経済の回復とインフレ率達成を目標にした政策運営を司るための理事会ですが、正直今は中央銀行としてのギリシャ問題への対応に忙殺されており、金融政策の方向性を定める暇もないのが実態かも知れません。7/16を前にしてギリシャ関連で動きがある可能性もありますが、いずれにしろECBにとってはギリシャ問題の善後策を巡って毎日が理事会となるような日々が待ち構える夏になりそうです。
ユーロ/円 直近の値動き(日足)
出所:FX総合分析チャート日足
ユーロ/ドル 直近の値動き(日足)
出所:FX総合分析チャート日足
「欧州中央銀行(ECB)金融政策発表」とは
「欧州中央銀行(ECB)金融政策発表」とは、ユーロ圏の中央銀行である欧州中央銀行(ECB)が、原則として6週間に1回(2015年〜)の理事会で、そのときの経済状況から政策金利をはじめとする「金融政策」を決定し、発表することです。下旬に開催される2回目の理事会では金利を変更しない、と決めています。大きな変更があった場合にはマーケットに与える影響が大きいので、とても注目されています。