日銀金融政策 決定会合 |
発表日程 |
10/7(水)昼頃 時間未定 |
日銀の追加緩和観測は徐々に高まる傾向か?
直近の状況 |
中国の景気減速の影響もあってか、9/24に米建設機械大手のキャタピラーが今年3度目の業績の下方修正を発表し、同時に2018年までに全従業員の8%にあたる1万人の人員削減も発表しました。8/11の中国人民元切下げを契機とした世界同時株安以来、9月以降に発表されている中国景況感指数の低下が続いているほか、FOMC声明文も中国や新興国の景気減速懸念に言及するなど霧の晴れない状態が続いています。新たに独フォルクスワーゲンの排ガス不正問題の影響も懸念されるなど、ネガティブな材料ばかりが目についた7月-9月だったように思います。
黒田日銀総裁も中国経済について「幾分減速感が強まっているのは事実」、さらに新興国についても「中国の調整やIT関連需要の弱さにより減速」との認識を示しました。しかしながら「物価の基調は改善、エネルギー関連を除けば値上げが広がっており、(追加緩和を実施した)昨年10月の状況と異なり、予想物価上昇率は概ね維持されている」と物価基調の強さを強調する発言が続いています。
日銀短観(大企業製造業DI)
物価全般の見通し(前年比)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
前回発表時(9/15)の米ドル/円の値動き
- 出所:FX総合分析チャート 15分足
早期追加金融緩和の材料 |
10/1に発表された日銀短観では、大企業製造業DIが前回の15から12に低下した一方、大企業全産業設備投資は前年比+10.9%から予想(+8.7%)を上回る+10.9%に改善したほか、経常利益、当期利益計画も共に上方修正されました。8月の家計消費支出は、追加緩和が実施された昨年10月時点と比べ堅調な結果となっており、早期追加緩和の必要性を否定する材料になるかもしれません。
家計消費支出
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
一方で先行き指数は現状指数より弱含む結果となりました。10/2に発表された3年後、5年後の物価見通しも前回から下方修正されており、10/6-10/7の日銀金融政策決定会合で追加緩和が実施されなかった場合でも黒田総裁のこれまでの強気一辺倒だった物価見通しに影響を及ぼすかもしれません。
また、9/30に発表された8月鉱工業生産・速報値は前月(-0.8%)に続き、予想(+1.0%)を下回る-0.5%と2ヵ月連続のマイナスとなるなど、中国経済の減速懸念や株価下落を背景に7-9月期の成長率の下振れ懸念を払拭できない数値が目についており、依然として追加緩和観測は燻り続け、ドル円の下支え要因になるかもしれません。
今後の注目点 |
来年夏の参院選に加え、来春には2017年4月からの消費税増税(8%⇒10%)引上げまで1年の猶予に迫る時期となるだけに、政府・日銀はアベノミクスによるデフレ脱却を強く印象づける必要があるかもしれません。それだけに、安保法案成立後、2日連続で会見に臨んだ安倍首相は『新3本の矢』としてGDPの押上げに言及したほか、NYでも海外からの対日投資推進を強くアピールしました。
しかしながら、中国ショックを契機にして8月(1,694円安)、9月(1,502円安)の月間の日経平均は大きく下落し、日銀短観や最近の国内経済指標からは先行き下振れ懸念が徐々に高まっている状況が確認されています。こうした点を踏まえ、10/6-10/7の日銀政策会合で、少なくとも物価見通しを下方修正、10/30の会合で追加緩和実施というシナリオが現実味を帯びつつあるようです。
仮に日銀の追加緩和観測が高まった場合の想定施策
【1】 国債買入れ額の増額(年間80兆円⇒年間100兆円)
【2】 国債買入れ平均残存期間延長(7〜10年⇒9〜12年)
【3】 ETF買入れ増加(年間3兆円⇒年間5兆円)
【4】 日銀預入付利の引下げ(年0.1%⇒年0.05%)
【5】 買入れ債券の対象拡大(国債⇒国債、地方債、財投機関債)など
「日銀金融政策決定会合」とは
日銀金融政策決定会合とは、日本銀行の最高意思決定機関である「政策委員会」が、「金融政策」に関する事項を審議・決定する会合のことです。原則として毎月1〜2回開催されます。大きな変更があった場合には、マーケットに与える影響が大きいので注目されています。