FOMC 政策金利
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発表時間 |
12/16(水) 28:00(日本時間) |
波乱の展開も!?油断禁物の理由とは!?
今回会合での焦点は?
先週末の米11月雇用統計では非農業部門就業者数が21.1万人と予想を上回り、過去2ヵ月分の就業者数も上方修正され、加えて失業率も5.0%とほぼ完全雇用の状態が継続していることから、もはや利上げを躊躇する理由がない状況となりました。
しかし、週が明けた12/7に原油価格が2009/2/18以来の安値となる37.65ドルで取引を終了したことや、12/8に発表された中国11月の貿易収支で輸出が落ち込んだことにより、一部から利上げ観測に対し、懸念の声が出始めているようです。来週のFOMC開催時に原油価格がどの水準にあるのか?FRBが原油価格について、従来の「下落は一時的」との考えを変更、警戒を示すのか注目する必要がありそうです。
仮に来週のFOMCで利上げ開始となれば、2008年のリーマンショック以降の緩和政策に終止符が打たれ、2004年6月から2006年6月までの前回利上げ局面から9年半ぶりの金融引締め局面を迎えることになります。しかし、金融引締めというよりは金融正常化の色彩が強く、利上げペースは極めて緩やかになるとの見方が大勢です。
前回の利上げ局面では、政策金利を1.0%から5.25%へ引き上げましたが、FRBの掲げるインフレ目標(2.0%)に未達の現状では、当時のような金利上昇は見込めず、来年末までに3回もしくは4回の利上げが実施され、来年末時点の政策金利は0.75%から1.0%に落ち着く見通しとなっています。すなわち前回2004年6月の金融引締め開始前の水準に戻すといった想定が現実的という状況です。さらに9月時点のFOMCメンバーによる2018年末の政策金利予想も3.375%に留まっており、そうした予想値さえも「強気過ぎる」との指摘もあるようです。とはいえ、9年半ぶりの利上げが、緩和政策に慣れ過ぎてしまった金融市場や新興市場経済へ与える影響など、懸念材料がないわけではありません。イエレン議長はこうした懸念材料を踏まえ、来週のFOMC後の会見で「金融政策の正常化であり金融引締めではない」点を強調しながら、金融市場に配慮する発言を示してくるものと思われます。
今後は利上げ後のNY株式市場の行方、中国や新興国経済の減速懸念、新興国からの資本流出懸念による新興国の株式市場の影響などを注視する必要がありそうです。失業率が2カ月連続で5.0%とほぼ完全雇用の状況下、今後の利上げに備えて住宅ローン引上げ前の駆け込み需要が高まるようであれば、住宅市場が予想以上に好況となり、インフレ期待も高まるかもしれません。そうなれば、FRBの「緩やかな利上げペース」のシナリオに修正を迫られる可能性がゼロではない点にも注意が必要でしょう。
前回発表時(10/28)の振返り(米ドル/円 15分足)
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
FOMCとは
日本でいう日銀の金融政策決定会合に相当する委員会のことで、現在の景況判断と公開市場操作(政策金利の上げ下げや為替レートの誘導目標)の方針が発表され、アメリカの株式市場や為替レート、世界の金融マーケットに大きな影響を与えます。基本的に6週間ごとの火曜日、年に8回開催されます。