日銀金融政策 決定会合 |
発表日程 |
12/18(金)昼頃 時間未定 |
日銀追加緩和の可能性
12/3に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会は、市場が予想した緩和規模には届かなかったものの、期待通り追加の金融緩和に踏み切りました。12/15-16の米連邦準備制度理事会(FRB)では、過去7年間続いた実質ゼロ金利政策に幕が下ろされる可能性が高くなっています。
そこで次に気になるのが日銀の追加金融緩和です。年内最後の金融政策決定会合は、米FRBの市場公開委員会(米FOMC)の直後となる12/17-18に開催されます。今年の春以降、多くの市場関係者が年内の日銀の追加緩和実施を予想していましたが、結果的に今週の日銀政策決定会合が年内最後となりました。
安倍政権誕生(2012年12月)以降の日銀の金融緩和
第1弾 | 2013/4/4 | 『異次元緩和』 |
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第2弾 | 2014/10/31 | 『黒田バズーカ』 |
第3弾 | 年内?2016年前半? | ? |
- 出所:SBIリクイディティ・マーケット
後に『黒田バズーカ』と名付けられ、市場の意表をついて追加金融緩和が実施されたのが昨年10月でした。その1年後のタイミングで再び追加緩和が実施されるのではと盛り上がったのが今年10月末の会合でした。昨年10月の追加緩和は、市場のほとんどが現状維持を予想する中での決定だっただけに、効果は絶大でした。第3弾となる追加緩和については、市場からの催促が大きくなり始めていることに加え、株価上昇への支援や円安地合いにある為替相場の支えとなる必要もあるだけに、前回以上に実施のタイミングや緩和内容の選択に難儀しているようです。米FOMCと日銀金融政策決定会合の開催を前に、12/4に開催された石油輸出国機構(OPEC)の減産目標設定などが不調に終わり、加えて中国の貿易収支が5ヵ月連続して減少したことで中国経済の減速懸念の高まりが重なり、原油価格が2009年以来となる34ドル台(2015/12/14現在)にまで下落しています。またしても世界経済の先行き不安が高まっている状況ではありますが、今のところ米FOMCでの利上げが見送られるとの見通しにまでは至っていません。日経平均の現物市場が12/14の午前中に18,800円を割り込む水準へ下落したのが気掛りですが、米ドル/円が120円を大きく下回るような円高基調に変化するようなことが重ならない限り、当局も最終手段として追加緩和は温存すると思われます。
足許の景気についても、12/8に発表された2015年7-9月期の国内総生産(GDP)改定値が前期比年率0.3%増、年率換算で1.0%増となったことで2四半期連続のマイナス成長を回避したほか、さらなる円安を望む声も限られており、基本的には追加緩和の実施が差し迫っている状況でもないと思われます。黒田総裁も11月末の講演で、「物価の基調が変われば、躊躇なく追加緩和であれ何であれ、政策を調整する」と述べており、2%物価目標の2016年後半への先延ばしも達成が難しいとされながらも、消費者物価指数は大幅な落ち込みにはなっていません。ただし、今週の米FOMCで利上げが宣言された後に金融市場が大きく混乱したり、上述したように日経平均のさらなる大幅下落やドル円が120円を大きく下回り118円を割り込むようなことがあれば、追加緩和の実施が急浮上することもあるかも知れません。仮に、追加緩和の実施が急浮上した場合、昨年10月の緩和時に購入額が3兆円規模に増えた株式上場投信(ETF)の買い取り残枠が40億円余り(2015/12/10終了時点)しかなく、オペレーション上からも注目しておく必要がありそうです。さらに付利の引き下げなどの手段が残されていることにも留意しておく必要があるでしょう。
黒田総裁は「原油価格の下落は一時的」との判断を繰り返し述べていますが、最近の動向を踏まえて物価見通しを変更することになるのか注目です。
過去の米ドル/円の値動き
- 出所:FX総合分析チャート 日足
「日銀金融政策決定会合」とは
日銀金融政策決定会合とは、日本銀行の最高意思決定機関である「政策委員会」が、「金融政策」に関する事項を審議・決定する会合のことです。原則として毎月1〜2回開催されます。大きな変更があった場合には、マーケットに与える影響が大きいので注目されています。