日銀金融政策 決定会合 |
発表日程 |
1/29(金)昼頃 時間未定 |
高まる追加緩和期待 日銀はどう出る!?
ドラギECB総裁が3月理事会での追加緩和の可能性に言及した1/21、参院決算委員会に出席した黒田日銀総裁は、『必要ならば躊躇なく政策調整をする』と発言したほか、年初から昨年の後半同様に『必要と判断すれば思い切った対応の用意』といった発言を繰り返しています。加えて、菅官房長官も『日銀総裁はためらいなく追加緩和を含めて対応すると述べている』と政府からも暗に緩和期待が示されています。こうした背景もあってか、海外勢を中心に日銀への何らかの追加緩和期待が高まっており、ドル円の下値支援材料になっているようです。
欧米株価、原油価格の上昇により、ヘッジファンドを中心に日本株先物が買戻されたことで、先週末の日経平均は941円も上昇、ドル円も反発に転じました。さらにドル円のオプション市場でも、日銀金融政策決定会合での追加緩和観測が高まり、一段と円安が進むとの見方も増えており、スプレッドが急拡大しています。裏を返せば、市場の日銀追加緩和策に対する期待感が膨らんでいるだけに、現状維持となれば失望も大きく、黒田総裁が会見でどのように述べても、『逃げ腰⇒限界』との憶測を呼び、ドル円は1/20に付けた115円97銭を下回り、ECB前の状態まで円高が加速するのではとの警戒も聞こえてきています。
景気浮揚や消費喚起のために政府・日銀がやるべきことは、追加緩和により円安・株高の流れを作り、消費者心理を好転させることだとされています。しかし日経平均株価は既に、2014年10月の第2次異次元緩和実施による株価上昇分を全て帳消しにしてしまいました。大幅な株高・円安を導き難い市場環境にあるとされる中で、追加金融緩和の効果に対し、市場はやや疑心暗鬼になっているとも言われています。
- 出所:SBIリクイディティ・マーケット
日銀の追加緩和策に関しては、年間80兆円規模の国債購入枠の拡大には否定的な見方が多い一方で、一説には前回12月会合での3000億円のETF購入枠拡大を追加緩和ではなく、「補完的措置」と敢えて説明を加えたことが、市場からの失望を買っただけに、追加緩和としてのETF枠の拡大に改めて言及するのではないか、との声も聞かれています。さらに付利(日銀に預入れている銀行資金に対する利息付与)の引下げもしくは撤廃することで銀行貸出しを増やし、景気を刺激するとの案も浮上しているようです。
消費喚起、景気浮揚を確実にするための対策は、追加緩和よりも、2017年4月からの消費税増税の見送りを決定することが大切との論調も聞かれる中、いずれにしても週末の日銀の対応に注目が集まっています。
安倍政権誕生(2012年12月)以降の日銀の金融緩和
第1弾 | 2013/4/4 | 『異次元緩和』 |
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第2弾 | 2014/10/31 | 『黒田バズーカ』 |
第3弾 | ?? | ? |
- 出所:SBIリクイディティ・マーケット
気になるFOMC!利上げ観測に大幅修正も!?
米FOMCに関しては、イエレン議長の会見もなく、単に声明文の発表に留まるのですが経済の状況についてどのような認識が示されるのか注目されます。1/14早朝(日本時間)のベージュブック(地区連銀経済報告)では『賃金圧力は抑制され、全体の物価圧力も限定的である』としてインフレ期待が上昇していない状況に言及しました。低インフレが続く中で12月の米FOMCで示された年4回の利上げペースが下方修正される可能性もありそうです。
FRBメンバーの最近の発言も『不安定な状況が数週間続けば金融政策への見解を変更する必要があるかもしれない(1/11 アトランタ連銀総裁)』、『3月の利上げについて今後の状況を見極める必要がある(1/14 セントルイス連銀総裁)』など慎重な発言が増えています。その一方で、1/15に発言したNY連銀総裁は、『経済見通しについて前回会合から殆ど変化していない』との認識を示すなど今一つメンバーの間にまとまりがないのが現状のようです。それでも声明文では世界経済の不透明感に言及し、緩和色の強い内容になるとの観測が一般的のようです。
そしてもう1つの注目材料である米10-12月期GDP(1/29発表)に関しては、前期比年率+0.8%と前期(+2.0%)から大きく減速すると予想されていますが、+0.6%や+0.1%と予想以上の低下を見込んでいる大手米銀も見られます。こうした数値もある程度考慮した上でのFOMC声明になるのか注目されます。仮に予想以上に減速し、マイナス成長となれば、利上げ観測に大幅な修正が見込まれるだけではなく、米国経済の減速も含めNY株式市場は再度大きな調整局面を迎える可能性もあるだけに、今週は円高・株安、リスク回避の状況が再燃される事態に舞い戻ってしまうことにもなりかねない大きな節目となるかもしれません。
過去の米ドル/円の値動き
- 出所:FX総合分析チャート 日足
「日銀金融政策決定会合」とは
日銀金融政策決定会合とは、日本銀行の最高意思決定機関である「政策委員会」が、「金融政策」に関する事項を審議・決定する会合のことです。原則として毎月1〜2回開催されます。大きな変更があった場合には、マーケットに与える影響が大きいので注目されています。