急速な円高進行にブレーキを掛けることができるか?
ドル円は106円か115円か
年明け以降続く世界的株安の流れは先週も続き、休場となった上海、台湾、ベトナムを除き主要22の市場で全面安となりました。中でも週間の下落率が11.1%と最大だったのが日経平均株価ですが、年初来でも21.4%とギリシャ株式市場の28.0%に次ぐ2番目の下落率となっています。その最大の要因として挙げられるのが急速な円高進行ではないかと思います。
年初来の日経平均株価の値動き

- 出所:SBIリクイディティ・マーケット
アベノミクス相場が開始された2012年12月以降のドル円は、右肩上がりの円安で推移してきました。しかしながら、年初から急速に進む円高・ドル安の流れの中、長期波動を見る上で一つの指標となる24ヵ月移動平均線をアベノミクス相場開始以来初めて下回ってしまいました。このまま今月の取引を終えることになれば、ドル円の更なる円高の進行も懸念されており、先週末の海外市場では、当局が円売り介入したとの憶測も聞かれるなど市場はより神経質な値動きになっています。
仮に更なる円高が進んだ場合、2011年10月の75円32銭と昨年6月の125円86銭とのフィボナッチ38.2%水準となる106円55銭が一つの目安として有力視されるだけに、警戒感が高まっています。2014年10月に日銀が第2次異次元緩和を実施して以降、ドル円は115円台を下値に125円台まで上昇しており、125円台と115円台はそれぞれ黒田防衛ラインの上限・下限として意識されていました。こうした観点からも、ドル円が115円台を回復できるのかが、目先の上値のポイントとなるかもしれません。
過去の値動き(米ドル/円)

- 出所:FX総合分析チャート(月足)
施策次第でたちまち反転する可能性も!?
今週2/16より施行されたマイナス金利の影響も依然はっきりとせず、ドル円は心理的なサポート水準とされた115円台が、本邦実需筋らの想定レートにもなっていることから当面の上値メドとしてそれ以上の円安調整への抑制要因になるかもしれません。当局への信認も大きく揺らいでおり、自立的な円安反発は相当難しいと認識している市場参加者も多く、一部欧米の金融機関の中にはドル円の今年12月末予想を120円から95円まで引き下げています。
こうした中、今月2/26-27に中国・上海で開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議で何らかの政策協調を打ち出すことができるのかに注目が集まります。106円台を目指すような円高が加速するのか、あるいは115円台を回復させて反転の契機になるのかが最大の注目となりそうです。しかしながら、G20開催まで10日間もあり、G20開催前に更なる円高を仕掛ける動きを警戒する必要もあるだけに、今週の衆院予算委員会での安倍首相や黒田日銀総裁、麻生財務相などの要人発言にも注目です。当然、発言のみならず財政出動や来年4月から予定されている消費税増税の実施延期など、世界的株安・信用リスクといった事態への対応策(示唆も含め)が示されるようなことになれば、相場がたちまち反転に向かうかもしれません。
直近の値動き(米ドル/円)

- 出所:FX総合分析チャート(1時間足)