ドル円はどう動く?G7サミット、イエレン議長会見・米雇用統計
今週5/26-27、伊勢志摩でG7先進国首脳会議(G7サミット)が開催されます。今回のサミットでは、(1)財政出動など世界経済のテコ入れに向けた経済対策をはじめ、(2)新興国へのインフラ投資 (3)租税回避問題 (4)中国の海洋進出 (5)英国のEU離脱問題 (6)イスラム国への対応や中東問題 (7)欧州の難民受入れ などをテーマに議論が交わされる予定です。
今回の伊勢志摩サミットで議長を務める安倍首相は、7月の参院選を前に強力な財政出動をベースにした成長戦略を打ち出すと同時に、来年4月からの消費税増税の先送りを決断すると言われています。しかし一方で、G7各国がそれぞれの国内事情を優先する結果、世界経済の緩やかな成長持続に向けた強いメッセージを打ち出すことさえ難しいとされています。
財政出動をめぐる各国の状況
日本 |
サミット議長国として世界経済の下支えに向け、各国に財政出動を求める |
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フランス |
オランド大統領は財政出動による需要拡大に理解を示している |
米国 |
今秋に大統領選を控え、財政政策に対し不透明な状況 |
英国 |
6/23のEU離脱を巡る国民投票を控え、機動的な財政出動は厳しい |
ドイツ |
昨年財政黒字化を達成しているが、難民受入れによる内需刺激など、財政出動をはじめとする景気対策は不要との立場を強調? |
共同声明は2月のG20の声明を微調整しながら、「それぞれの国内事情に配慮しながらG7各国が協調して世界経済の緩やかな成長に向けたあらゆる政策を講じる」といった玉虫色の決着をみることになりそうです。果たして、こうした声明を失望と期待のどちらに解釈するのか、サミット終了後の金融市場の反応が注目されます。
さて、第2次安倍政権が発足した2012年12月以降、ドル円は92円58銭を下値に昨年6月には125円86銭まで円安が進み、同様に日経平均株価も政権発足前の8,600円台から昨年の20,900円台へ上昇しました。
アベノミクス以降のドル円の週足
出所:SBIリクイディティ・マーケット
上記ドル円の週足チャートからも明らかなように、安倍政権発足以降昨年12月までの3年間に渡りドル円は52週移動平均を下値サポートにしながら円安基調を継続してきましたが、昨年12月の日銀政策会合での補完的措置(ETFの3,000億円買入枠増額=追加緩和ではない)実施にも円安・株高へ反応したのは一時的に過ぎず、その後円高・株安に反応しドル円は先述の52週移動平均を割込んでしまいました。さらに、今年1/29にマイナス金利を導入したことが決定打となりドル円は短期間に実に10円以上も円高が進み、日経平均株価も14,800円台へ下落しました。ここで市場は金融政策の限界、さらにはアベノミクスの効果的な成長戦略が打ち出されないことに対する失望によって海外投資家らの日本株売り越しを招くことになりました。
伊勢志摩サミットは今一つ盛り上がりに欠けることになったとしても、イエレン議長の発言や米国の雇用統計をはじめとする経済指標次第ではドル円の反発が期待できるだけに、少なくともサミット終了後の安倍首相会見が失望を招くことだけは避けたいものです。
直近の値動き(米ドル/円 日足)
出所:FX総合分析チャート