英国民投票のまとめ〜結果は「EU離脱へ」〜
英国のEU離脱の是非を問う国民投票の開票を前にして、23日のNYダウが230ドルもの上昇となったほか、欧州株も全面高となるなど、市場は英国民投票でのEU残留派優勢を既に織り込みつつありました。
さらに24日日本時間の午前6時に国民投票が締め切られた直後、英独立党のファラージ党首が各種出口調査を受け「どうやら残留しそうだ」と敗北を宣言しています。24日の日経平均は残留支持派優位との見方から円安の進行とともに、プラス圏で取引を開始し一時は150円高まで上昇する場面が見られました。
このように安心感を反映して市場はリスク・オンに傾きドル円は一時106円85銭まで上昇したほか、ポンドも対円で160円17銭、対ドルでも1.5028ドルまで上昇するなど、離脱回避への安心感を象徴する動きとなりました。
しかしながら開票が進むに従ってEU離脱派の優勢が伝わると、ドル/円、ポンド/円を中心に徐々に上値が切り下げられたものの、大票田のオックスフォードなどで残留支持票が伸びたことから、開票率20数パーセントの段階では、残留支持派の優勢が保たれ、開票結果に一喜一憂する神経質な値動きとなりました。
こうした状況が一変したのは、開票途中のイングランド地区で離脱支持票が予想外となる100万票以上もの差をつけて票を伸ばし、昼前には離脱派勝利との見方が広がったことからドル円は99円00銭まで下落、ポンド円も早朝の高値から27円近い急速な円高が進みました。
英国のEU離脱が確実視され、午後の取引で日経平均は1,000円以上急落し、一時年初来のザラ場安値(2月12日:14,865円) を下回る14,864円まで下げ幅を拡大したほか、NYダウ先物も600Pts以上下落、さらに英FT先物も下落しました。さらには債券先物市場でも米10年債利回りが安全資産への債券買いを背景に利回りが大幅に低下しました。
英キャメロン首相は国民投票の結果を受けて10月の党大会での辞任を表明したほか、残留派が優勢となったスコットランドでは、英国からの独立やEU加盟の存続を主張して2014年に続き、英国からの独立を問う国民投票の実施を検討しています。
今回の国民投票の結果を分析すると、キャメロン首相率いる保守党支持層で離脱支持が残留支持を上回った一方、労働党支持層では逆に残留支持が離脱支持を上回っていたことが明らかになりました。さらに年齢層で見ると若年層が圧倒的にEU残留を支持した一方で、50歳以上を境にして高齢になるに従って離脱支持が大幅に残留支持を上回る結果となりました。例えばEUで決められた加盟各国が順守すべき法律として以下のような規制があります。
・卸売段階でバナナ一房4本以上
・掃除機の消費電力は900ワット以下
・ミネラルウォーターに「脱水症状に効果ある」との広告掲載を禁じる
・労働時間は時間外労働を含め週48時間以内に制限、年に一度2週間の連続休暇義務
など、そもそも憲法そのものが存在しない英国において、こうしたEUが定めた規制に対し、何故守る必要があるのか、といった不満が高まっていたことも年配層からの反発をかった一因かもしれません。さらにシリアやトルコなどからの移民以外にも欧州各国から高賃金を求めて英国に就労する労働者の増加に対する反発が想像以上に強まっていたのかもしれません。英国内では国民投票のやり直しを求める署名が集まっていますが、キャメロン首相は一度きりを公約としていただけに、離脱交渉は進んでいくと思われます。
残留支持・離脱支持年齢別内訳
EU離脱までの今後の見通し
EUとしては英国以外の加盟各国のEU離脱の動きを何としても封じ込めるような規制の緩和と強化をバランスよく進める必要があるかもしれません。
例えばEUが検討している金融取引税の導入が決定した場合でも、今回の英国の離脱によって英国の金融機関において金融取引税は対象外となる一方で、仏や伊などの各国では金融取引税が課せられることになるなど、EU内に留まる各国にとって難しい課題も数多く残されています。
一方で英国はこれまで通り、独自の金融・財政政策のほか、これまでEUの規制に縛られてきたことから解放されるメリットも生じるかもしれません。となれば、EUは残留のメリットをより強く打ち出す必要があるだけに、欧州の政治的枠組みをいかにして発展する方向に向かうのか知恵を出していく必要があります。今回の英国のEU離脱はリーマンショックのような経済的危機ではなく、欧州の政治的な危機と捉えることができます。しかしながら、対応次第では欧州経済に大きな打撃となるだけに今後のEUを巡る政治的交渉に注目する必要がありそうです。
EU離脱までの流れ
参考
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