今週は注目のFOMCと日銀政策会合
日銀金融政策決定会合 |
発表時間 |
7/29(金)昼頃(時間未定) |
FOMC 政策金利 |
発表時間 |
7/27(水)27:00(日本時間) |
直近の米ドル/円の値動き
出所:FX総合分析チャート 日足
良好な結果が続く米経済指標 FOMCの判断は?
先週21日に一時107円49銭まで上昇していたドル円は、黒田日銀総裁が「ヘリコプターマネー」に対し否定的なコメントをしていたとの報道を契機に105円42銭まで反落したものの、今週末の日銀金融政策決定会合での緩和期待や政府の大型の財政出動を中心にした経済対策への期待から106円台を回復しています。
先週末、中国・成都でのG20財務相・中央銀行総裁会議では、英国のEU離脱について「世界経済の不確実性が増している」として影響を懸念し、英国とEUが引き続き密接なパートナーとしての影響を最小限に留めることが期待されました。また日米財務相会談では、足元の為替相場が比較的安定して推移していることもあり、麻生財務相は「為替に関する発言はなかった」として現状の為替水準に異論がなかったことが確認されています。
こうした中で開催されるFOMCや日銀政策会合ですが、市場ではFRBが現状の金融政策を維持する一方、日銀は政府の財政出動を含めた経済対策と足並みを揃えて、緩和策を実施するとの予想が一般的なようです。
6月末時点でのFF金利先物から見た米国の年内利上げ確率はゼロまで低下していましたが、ISM製造業や雇用統計などの米6月分の経済指標が良好だったことを契機に、先週末時点では9月あるいは11月のFOMCの利上げ確率は約20%、12月利上げの確率は約50%まで回復しています。米債券市場での10年債利回りが1.5%台後半で推移している状況は依然として年内の利上げを織り込んでいるようには見えないものの、明らかにドル買いの根拠の一端になっているようです。
欧州や中国経済の先行き鈍化懸念がある一方で、米国内経済は底堅く回復傾向が明らかとなりつつある中で、今回のFOMC声明が英EU離脱の影響を含めて先行きの米国経済に対しどのような認識を示すことになるのか注目されます。
FOMC後の29日には米国の4-6月期GDP速報値が発表されます。前期の+1.1%成長から+2.6%成長への改善が予想されるほか、8/5に発表される7月雇用統計も6月の数値に及ばないまでも、労働市場の改善に再び自信が持てる結果となれば、9月FOMCを含めた早期利上げ観測が高まるかもしれません。市場の一部からは利上げに前向きな『タカ派』的な声明文が発せられるとの予想も聞かれるだけに、NY株式・債券市場の反応に注目です。
日銀政策会合と一目均衡表にみる注目ポイントとは?
一方28-29日の日銀政策会合については、先週末のG20会合で黒田日銀総裁は「ヘリコプターマネー」に関し、日銀による国債の直接引き受けは禁じられているとの認識を示しながら金融緩和政策の下での財政政策は景気に対する相乗効果が大きいとして政府の財政政策を支援する考えを明らかにしています。さらに政策会合について『物価目標の早期実現に必要とあれば追加的な金融緩和措置を講じる』と表明しており、追加緩和策に対する期待もドル円の下値支援材料となっています。
年初からのドル円・日足の一目均衡表
出所:FX総合分析チャート 日足
上記チャートは、ドル円の年初からの日足・一目均衡表です。ご覧のとおり、今年の1/29と5/30に日足の雲の上限の上抜けを試みましたが、いずれも超え切れずにその後に下落した経緯があります。先週21日も107円49銭まで上昇したものの、雲の上限(107円72銭)を上抜くことができずに下落してしまいました。
8月初旬にも政府から示されるとされる財政出動を伴う景気対策を前にして今週の日銀政策会合で緩和策(上場投資信託(ETF)の買入れ額の増枠やマイナス金利の深堀り?)が実施され、円安への基調転換を図れるのか。同時にドル円の一目均衡の日足・雲の上限を上抜けできるのか。年初から続いた円高基調の転換に向けた一歩になるのか注目されます。ちなみに29日の日足の雲の上限は105円台半ば付近に低下することもあり、雲の上限を上抜くことが容易になっているだけに、今回の政策会合を契機に上抜き昨年末以来続く、円安基調に変化をもたらすことになるか注目です。