FOMCの議会要旨で注目の内容はあるか?
今週は、18日の午前3時(日本時間)に7月FOMCの議事要旨が公表されます。
7月29日に発表された米4−6月期GDP速報値は、前期比+1.2%と市場予想(+2.5%)を下回ったほか、1-3月期も確報値の+1.1%から+0.8%へ下方修正されました。
米GDP成長率(前期比 % 季節調整済み)
一方で7月の米雇用統計は下表の通り、就業者数の増加が2カ月連続で25万人を上回り、時間給賃金も前月比で+0.3%改善したことで7-9月期以降の米国経済も堅調に動くとの期待が広がったこともあり、FRBの年内利上げの可能性も高まりました。
今年1月以降の米雇用統計の詳細
実際、7月27-28日のFOMC声明骨子は以下の内容でしたが、議事要旨で更に深い内容が示されるのか注目です。加えてアトランタ連銀総裁(16日)、セントルイス連銀総裁(17日)、サンフランシスコ連銀総裁(18日)らの地区連銀総裁講演も予定されており、そこでの発言から来週26日のイエレン議長の講演へのヒントを得ることができるかもしれません。仮にイエレン議長の講演から年内利上げの可能性が一段と高まることになれば、長期債利回りの上昇が進むと思われます。先週11日のNY株式市場では、ダウ、ナスダックさらにS&P500が揃って史上最高値を更新しており、堅調な株式市場の反応も注目されます。米国の利上げ観測の一段の高まりがNY株式市場の上昇の足かせになってしまうのか、PER(株価収益率)が17倍まで上昇し高値警戒感も出始めており、NYダウの値動きやドル/円が本格的な反発基調に転じるのかを含めた市場動向を注視する必要がありそうです。
FOMC声明骨子の内容
◇FF金利誘導目標を0.25%〜0.50%で維持
◇経済見通しへの『短期リスク』は後退
◇雇用データは『労働力活用の一定の増加』を示す
◇緩やかな利上げに限って正当化する形で経済は展開
◇労働市場は力強さを増し、インフレは抑制を続けると予想
米10年債利回り推移(2015年8月〜2016年8月)
一方のドル/円は、予想を上回る好調な米7月雇用統計にもかかわらず、8日に上昇して付けた102円66銭を高値に、そこから更に積極的なドル買いに至っていないのが実状です。
本邦機関投資家による利金決済(米債の償還に伴う利息分の円転)の観測もあり、ドル/円は徐々に上値を切り下げる値動きとなりました。12日に発表された米7月生産者物価(下図)や、小売売上高が予想を下回ったことで、FRBの年内利上げ確率は発表前の50%から40%へ低下し、米国10年債の利回りも、2週間ぶりの低水準となる1.48%(終値1.51%)を付けました。加えて先々週、豪中銀や英中銀が政策金利を引下げ、世界経済の先行き不透明感を背景にした緩和政策が主流となる中で、米FRBだけが利上げに動けるのか疑問視されていることもドル/円の上値が抑えられる一因になったようです。今週発表される米消費者物価指数や鉱工業生産などの経済指標の結果も含め、8月26日の米ワイオミング州のジャクソンホールで開催の各国中央銀行総裁らを集めた経済シンポジウムでのイエレンFRB議長の講演が注目されます。