8月の雇用統計は市場予想を下回り、9月FOMC利上げの可能性は?
9月2日に発表された米8月雇用統計は就業者数(15.1万人増)、失業率(4.9%)、前月比時間給賃金(+0.1%)がいずれも市場予想を下回る結果となりました。それでも就業者数の3ヵ月平均は23.2万人増と今年1月(23.9万人増)以来の高水準を維持するなど、失業率が4ヵ月連続で5.0%を下回る完全雇用に近い状況が続きました。就業者数増の多少の鈍化は許容範囲として捉える必要があるかもしれません。
米雇用統計非農業部門 就業者数(万人)
(出所: 米労働省)
例年8月の就業者数は、後に上方修正されやすい傾向にあり、実際過去5年間の8月の修正分は平均約7万人も増加しています。今回についても上方修正を考慮する必要があるかもしれません。
4月以降 の米雇用統計詳細と、9月利上げの可能性
2016年4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
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非農業部門 就業者数 (万人) | 14.4 | 2.4 | 27.1 | 27.5 | 15.1 |
失業率 (%) | 5.0 | 4.7 | 4.9 | 4.9 | 4.9 |
時間給賃金 前月比 (%) | 0.4 | 0.2 | 0.1 | 0.3 | 0.1 |
週平均の労働時間は34.3時間(前月比-0.1時間)と2014年2月以来の低水準となり、時間給賃金の伸び悩みと共に、総労働所得は前月比-0.1%と6ヵ月ぶりの減少に転じたことから、今後の個人消費支出や小売売上高など消費関連指標が注目されることになりそうです。
今回の雇用統計を受けて9月利上げの確率は前日の24%から21%へ僅かながら低下したものの、日本時間8日午前3時に発表される地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)や6日のサンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁の講演が予定されています。
さらには9日のボストン連銀ローゼングレン総裁の講演も控えており、今回の雇用統計がどのような形でベージュブックや連銀総裁の発言に反映されるのか、依然として燻り続ける9月利上げの判断に向けた大きなヒントを投じることになるかもしれないだけに注目されます。
8月ISM製造業景況指数 振り返り
(出所: 米ISM供給管理協会)
9月FOMCでの利上げは遠のいたと予想するエコノミストの中には、9月1日に発表された米8月ISM製造業景況指数が景気の拡大・縮小の節目とされる50.0を6か月ぶりに下回る49.4へ低下するなど、米国経済の先行きに完全に強気になりきれないとの判断もあるようです。
それでも9月6日に発表される米8月ISM非製造業景況指数が予想を上回る良好な結果となれば再度9月FOMCでの利上げ観測が高まる可能性があるかもしれません。
チャートはどう動く? 雇用統計時のドル円の反応
こうした状況下、ドル円は一目均衡・日足の雲の中に入り、雲の上限を上抜け出来るか、さらに昨年12月以来、9か月ぶりに200日移動平均(17,064円)を上抜けている日経平均とあわせて、円安・株高の流れが本格化するのか注目です。