【10/28(金)発表】米7-9GDP 市場予想の+2.5%を上回るのか注目
今週末の28日(金)に米7-9月期GDP速報値が発表されます。今回の7-9月期GDP速報値は、FRBの年内利上げ観測に大きな影響を及ぼす可能性もあるだけに注目されています。
米GDP の過去の推移と予想値は?
※出所:米商務省
市場予想は前期比+2.5%と、前期の+1.4%から大幅に改善、昨年4-6月期(+2.6%)以来の高水準になると見込まれています。
しかし、アトランタ連銀が独自のデータで算出した予想は+2.0%、ニューヨーク連銀の予想は+2.2%といずれも市場予想を下回っており、昨年7-9月期以来となる+2.0%以上の成長を達成できるか微妙な状況かもしれません。
今月初旬にはIMFが2016年の米成長率見通しを+1.6%と7月時点の予想(+2.2%)から下方修正しました。米9月の新車販売台数が2ヶ月連続で前年実績を割り込んだほか、設備投資については4-6月期に3四半期ぶりにプラスに転じたものの+1.0%と伸び悩んでいます。
さらに輸出も4-6月期に4四半期ぶりにプラスに転じたものの反発力も鈍く、設備投資や輸出の回復傾向が続いていると仮定した上で、どの程度まで住宅投資や個人消費の低下を補うことができるのか注目です。
今回の7-9月期GDP速報値は、FRBの年内利上げ観測に大きな影響を及ぼす可能性もあります。そのため成長率のほか、GDP物価指数にも注目する必要がありそうです。物価指数はGDP算出に含まれる全ての財やサービスの価格変動を年率換算で示すもので、FRBの金融政策にも影響を及ぼします。
米大統領候補の直近の支持率も確認
※出所:ブルームバーグ
先週19(水)にクリントン候補、トランプ候補による第3回目TV討論会を終え、いよいよ11/8(火)の大統領選まで2週間となりました。
本来であれば金融界との癒着や格差是正といった国民が抱える政治への不満を吸い上げ、従来型の政治との決別を意識させる『変革者』として支持基盤の拡大を図ったトランプ候補ですが、当初の目論みは崩れ女性スキャンダルなどばかりを中傷される展開となり、クリントン候補優勢のまま終盤戦を迎えています。
本選では全体で538人の選挙人の内、270人以上の票を獲得した候補が新たな大統領に選出されますが、第3回TV討論会でトランプ候補が進行役からの「いかなる場合でも選挙結果を受け入れる用意があるか?」との問いかけに、「結果を見なければ判断できない」と米国の民主主義の根幹を否定する問題発言を行っています。
これまでの大統領選では、過半数確定後も、対立候補からの『敗戦』を認める電話連絡を持って「勝者」を決定してきた歴史があります。今回、予想通りクリントン候補が過半数を獲得しても、トランプ候補が選挙戦そのものに対し訴訟を起こす事態も否定できず、大統領選を巡るもう一つの注目点となりそうです。
また、大統領選と並行して行われる上院議会選挙の行方も注目です。仮にクリントン候補が勝利し、上院選でも民主党が共和党を上回る議席を獲得すれば、クリントン新政権による財政支出拡大策により米国経済の先行きも楽観的になる可能性もあるかもしれません。
今週末のGDPに続いて、来週のFOMC、さらに再来週には大統領選を控えており、いよいよ年末年始の相場の行方を左右する重要な局面を迎えつつあるようです。