米3月雇用統計 結果まとめ
4/7(金)に発表された米3月雇用統計は次のような結果でした。
①非農業部門就業者数 | 昨年5月以来の9.8万人増に鈍化するも、3ヵ月平均で見ると17.7万人増と堅調さを維持 |
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②失業率 | 2007年5月以来の4.5%へ改善、完全雇用が意識される |
③労働所得(前期比) | 昨年10-12月期の+4.5%から1-3月期は3.9%に鈍化、昨年4-6月期以来の低水準 |
④労働者数の全人口に占める割合 | 2009年2月以来の60.1%と高水準 |
⑤広義の失業率(U-6) | 2007年12月以来の8.9%と低水準となり改善、労働市場の供給余力が縮小 |
⑥6月FOMCでの利上げ確率 | 雇用統計発表前の71%から66%へ低下したものの、金融政策の影響は限定的 |
⑦ドル円の推移 | 就業者数の鈍化を嫌気し一時110.14円まで下落後、NY連銀総裁の発言などで111円台を回復 |
非農業部門就業者数は昨年5月以来の9.8万人増に留まった一方で、失業率は2007年5月以来の4.5%まで改善するなど、完全雇用となっている現状では就業者数の鈍化に対しても過度に悲観する必要はないというのが一般的な見方になっているようです。
直近3ヵ月の就業者数の月平均は17.7万人という値は堅調さを維持しているともいえます。3月初旬にイエレン議長は、『長期的な傾向では、就業者数の伸びは月7万人増から12.5万人増で整合性がとれる』と述べており、3ヵ月平均ではイエレン議長の主張する値を上回っています。
米雇用統計 非農業部門 就業者数 推移 (万人)
- ※出所:米労働省
米 失業率推移 (%)
- ※出所:米労働省
米 時間給賃金 前年比/前月比 推移 (%)
- ※出所:米労働省
今回の雇用統計に関し、就業者数の業種別内訳を見ると、民間のサービス産業が2月の12.5万人増から6.1万人増と2012年6月以来の水準まで低下し、4/5に発表されたISM非製造業景況指数の鈍化と整合性のある結果となりました。この鈍化傾向が一時的な現象か持続性のある変化なのか注意が必要かもしれません。
米ISM非製造業景況指数
- ※出所:米ISM供給管理協会
雇用統計当日のドル円と今後の動きは?
ドル円は就業者数の鈍化を嫌気し、一時110.14円まで下落したものの、失業率の大幅な改善とNY連銀総裁による
「FRBのバランスシート縮小は年内か来年早期に開始される見通し」
「金融政策の優先手段は金利であり、バランスシート縮小ではない」
との発言でドル円は111.36円まで上昇し、111.05円で先週末の取引を終了しています。
ドル円は、先週末の東京市場で米軍によるシリアへのミサイル攻撃の一報で、110.14円まで下落した水準と同様に、雇用統計による就業者数の鈍化に対しても同水準で下げ止まっています。
先週末3/27の110.11円を下値にドル円は、何度となく110円割れを試すものの、110円割れは回避されています。
今週は、北朝鮮でも政治イベントが予定(4/11:最高人民会議、4/15:金日成生誕105周年=太陽節)されており、緊張が高まる場面も想定されます。
それでも尚、110円割れ回避の底堅い展開を継続し反発を強めるのか、あるいは110円を割り込みさらに昨年の大統領選以降の高値・安値(101.19-118.66)の半値(109円93銭)を下回るのか注目です。