ドル円は昨年11/18以来の110円割れ
昨晩4/11(火)のNY市場でドル円は109円60銭まで下落、その後、今朝4/12の東京市場でも109円35銭まで円高が進んでいます(4/12 午前10時30分時点)。
ドル円は昨年の米大統領選直後の101.19円を下値に昨年12/15には118.66円まで反発しましたが、この高値と安値の半値水準にあたる109.94円を割込んでおり、この半値水準の回復が遅れることになれば、61.8%水準の107.86円が次なる下値目処として意識されるかもしれません。
米大統領選以降のドル円 (日足)
- ※出所:FX総合分析チャート
高まる地政学リスクで安全資産へ逃避、リスク資産売られる
北朝鮮情勢の緊迫化
朝鮮半島近海へ航行中の米艦隊と海上自衛隊との共同訓練実施の可能性が報道されるなど、ここ数十年、経験のない対外的緊張の高まりを背景にリスク回避志向が強まっており、安全資産とされる米国債券や金などへ資金が向かう一方で、リスク資産とされる株式市場は下落基調にあります。
北朝鮮は昨日の最高人民会議招集に合わせたミサイル発射実験や、新たな核実験といった挑発行為を控えているものの、米国や同盟国に対する批判を強めており、暴発する懸念は依然残ったままの状況です。
15日の金日成生誕105周年(太陽節)前後に、挑発行為に出るのか?また、その際に米国は軍事攻撃に出るのかが注目されており、経済よりも政治的動きに翻弄される金融市場となっています。
米10年債 利回り推移(%)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
日経平均も昨年12/17以来の18,500円割れとなる18,460円59銭(午前10時30分時点)まで下落し、年初来安値を更新しています。
日経平均は昨年11月の大統領選時の16,251円の安値から先月には19,668円まで反発したものの、この高値・安値の38.2%の18,363円、半値水準にあたる17,960円、さらに61.8%の17,556円までの下押し調整が進む可能性も視野に入れるべきかもしれません。
日経平均 日足
- ※出所:Quants Research Inc. チャート
先週末の米軍によるシリア攻撃を巡り、米ロ対立が深まる可能性も
先週末の米軍によるシリアへのミサイル攻撃以降、マクロ系ヘッジファンドを中心に日経平均先物売りと円買いを仕掛けているとの観測もあり、地政学的リスクの高まりと同時に円高・株安が進む構図が進行しています。
本日4/12にもティラーソン米国務長官とラブロフ露外相がシリア情勢を巡り会談を行う予定ですが、この会談を前にした昨晩、プーチン露大統領は米軍によるシリア攻撃について、「国際法に反した侵略的行為である」と批判しています。
さらにプーチン大統領は「米国が確固たる証拠もない中でイラクの大量破壊兵器保有の疑惑を基に攻撃を仕掛けた二の舞を繰り返すのか」と非難するなど、米露の対立深刻化もリスク回避志向を高めているだけに、本日の会談で両国の意見対立の溝を若干でも埋めることが出来るのか注目されます。