米小売売上高と消費者物価は力強さに欠ける結果
4月米小売売上高のポイント
①個人消費の回復が確認されたが、力強さに欠ける内容
②小売業の構造変化、ネット販売の普及(ネット販売を含む無店舗販売は前月比+1.4%の伸び)
③JCペニーやメイシーズなど大手百貨店の決算は振るわず、大型店舗は苦戦している模様
④新車販売は減速(前年同月比-4.7%)、新車買い替え需要は息切れか?
⑤小売企業は、年内3500店舗の閉鎖を計画、雇用悪化も懸念される
米小売売上高 前月比(%)の推移
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット社
米4月小売売上高は前月比+0.4%と市場予想(+0.6%)を下回った一方で、前月分は速報値の-0.2%から+0.1%へ上方修正され、2月(-0.3%)からの2ヵ月連続のマイナスは回避されました。個人消費の回復は確認できた一方で、全体的に力強さに欠ける結果となりました。
4月米消費者物価指数は?
小売売上高と同時刻に発表された米4月消費者物価指数の前月比は+0.2%、前年比が+2.2%とほぼ予想通りの結果となりました。原油・ガソリンなどエネルギー価格の上昇が寄与した面が強く、エネルギーや食料品を除くコア消費者物価指数は前月比+0.1%、前年比+1.9%に留まっています。
5/5に発表された4月米雇用統計では失業率が4.4%となり、2007年5月以来となる約10年ぶりの改善となったものの、時間給賃金の伸びは前年比+2.5%と昨年8月以降最低を記録し、雇用の改善が賃金の上昇につながっていない現実が明らかになりました。賃金の上昇が緩やかなものに留まっていることが個人消費の力強さに欠ける結果に影響しているのかもしれません。
米消費者物価指数 前月比(%)の推移
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット社
5/18発表の日本の1-3月期GDP結果で日経平均2万円越えと円安は進むか?
先週一週間のNY株式市場では、アップル株(5/8[月]の149ドルから5/12[金]の156ドルへ上昇)の高値更新に呼応するようにナスダックが連日史上最高値を更新した一方で、ダウは0.5%下落しました。
先週はトランプ大統領がコミーFBI長官を更迭したことで共和党内からも非難の声が高まりました。政治的混乱から議会運営に支障が生じることになれば、税制改革法案の成立の遅れや個人消費の上昇期待が後退する懸念が広がりそうです。
ドル円は5/10に114円38銭まで上昇しましたが、5/14に北朝鮮のミサイル発射といった挑発行為によって地政学リスクが意識されたこともあり、週明け15日のシドニー・ウエリントン市場では113円14銭まで下落する場面が見られています。
それでも、米金利先物価格から算出した6月FOMCでの利上げ確率は、97.5%(5/15現在)と依然として高水準を維持しています。
5/18(木)は日本の1-3月期GDP発表でドル円はどうなる?
5/18(木)に発表される日本の1-3月期GDP速報値が市場予想(前期比年率+1.9%)通りとなれば、11年ぶりの5四半期連続のプラス成長となります。日経平均がGDP速報値を好感して2万円台回復への足掛かりとなれば株高を背景に一段の円安が進む可能性があり注目です。
さらに同日発表されるネット企業の買収を進めてきた米小売大手ウォルマートの2-4月期決算にも注目です。前述の米小売売上高が予想を下回る値だっただけに、今後の消費動向や米利上げを占う上でも、市場予想(純利益:前年同期比5%減収の29億ドル)を上回るかどうかポイントになりそうです。
ドル円は今年の年初来高値(118円60銭・1/3)と年初来安値(108円13銭・4/17)の半値水準を維持し、先週上抜けることができなかった114円60銭(高値からの38.2%水準)を回復できるか注目されます。
米ドル/円 日足
- ※出所:FX総合分析チャート