米7月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
8/4(金)21:30(日本時間)
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前回値: |
+22.2万人 / 4.4% |
事前予想: |
+18.0万人 / 4.3% |
8/4(金)発表の米雇用統計 予想を確認!
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月予想 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 21.6 | 23.2 | 5.0 | 20.7 | 15.2 | 22.2 | 18.0 |
失業率(%) | 4.8 | 4.7 | 4.5 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.3 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.2 | 0.3 | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.3 |
時間給賃金 前年比(%) | 2.6 | 2.8 | 2.6 | 2.5 | 2.4 | 2.5 | 2.4 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は8/1現在の予想平均値
米 非農業部門雇用者数(万人)、失業率(%)の推移
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米 時間給賃金(%)の推移
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
今回の雇用統計注目ポイント
① 米4-6月期GDPで示された雇用コスト指数は前期比+0.5%となり前期(+0.8%)から鈍化したが、雇用統計で発表される時間給賃金は改善するか
② 米GDPでは個人消費や設備投資、輸出の改善が確認された一方で、住宅投資は人手不足の影響から低下した。
業種別の雇用状況にも注目
③ 7-9月期以降も引き続き経済活動は緩やかな拡大が期待されるが、個人消費に影響する賃金や失業率、企業の設備投資の伸びは継続するのか
④ FRBが実施するバランスシート縮小の早期開始を容認する内容となるのか
今週末8/4(金)に米雇用統計が発表されます。
前月に発表された6月の失業率は4.4%(5月4.3%)となり、労働市場は完全雇用に近く、この傾向は7月(予想:4.3%)も続くと予想されています。一方で時間給賃金は前年比+2.4%予想に留まっており、FRBが掲げる2%の物価目標達成のための理論値である「前年比+3.3%〜3.5%」には、いまだ遠い状況が続いています。
米GDPでは好調な個人消費、設備投資を確認。雇用統計前に発表される個人消費支出にも注目!
① 成長率は前期比+2.6%と3四半期ぶりの高水準、前期は+1.2%へ下方修正
② 個人消費は前期(前期比+1.9%)から+2.8%へ改善
③ 企業の設備投資も前期比+5.2%と5四半期連続でプラス、輸出も好調
④ 人手不足や土地不足から住宅投資は3四半期ぶりのマイナス
先週末発表された米国の4-6月期GDP速報値は、4-6月期の雇用コスト指数が1-3月期の前期比+0.8%から+0.5%へ鈍化したことが確認され、時間給賃金の伸び悩みが顕著になっています。
一方で、4-6月期GDPは前期比+2.6%と1-3月期の+1.2%から改善、3四半期ぶりの高成長となりました。
米国GDP 前期比(%)
- ※出所:米商務省
個人消費は前期比+2.8%と成長を牽引、 NYダウ、ナスダック、S&P500指数がそろって史上最高値を更新しており、堅調な株価と住宅価格の上昇といった資産効果もあって、消費マインドの改善に大きく寄与したと考えられます。
また、企業の設備投資も前期比+5.2%と5四半期連続のプラスとなったほか、ドル高傾向にもかかわらず輸出も前期比+4.1%と2四半期連続でプラスとなりました。
一方、住宅投資は3四半期ぶりのマイナスに転じたものの、人手不足や土地の不足が影響していることから、労働市場の堅調地合いは今後しばらく継続すると見ていいかもしれません。
これだけ労働市場が良好な環境にあるにもかかわらず、時間給賃金の上昇率は鈍化傾向にあり、なかなか物価上昇につながらないのが現状です。
イエレン議長はFOMCを前にした半期に一度の議会証言で、現状の低インフレについて触れ、「インフレを非常に注意深く見守っている、数ヶ月は注視する」と発言しました。
6月FOMC後の会見では「インフレ指標の低迷は一時的な物価鈍化が影響している可能性がある」と発言していましたが、警戒を強めるトーンに変化しています。
こうした中、8/1(火)にはFRBがインフレ指標の一つとして注目する6月の個人消費支出価格指数(コア)が発表され、市場予想(前年同月比+1.3%)を上回る+1.5%となったほか、前月分も+1.4%から+1.5%へ上方修正されました。今週末の雇用統計、時間給賃金といったインフレ指標についても予想を上回る結果となるか注目されます。
米 個人消費支出価格指数(コア) 前年比(%)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
来年の2月にFRB議長の任期を終えるイエレン議長は、バランスシートの縮小開始を「比較的早期に開始する」道筋を付けたものの、2%の物価目標達成は叶わないまま後任に引き継ぐことになりそうです。
堅調な経済に支えられ労働市場も完全雇用に近い状態にありますが、インフレ率だけが低水準のままに留まっています。イエレン議長は「労働市場はかなり逼迫、賃金圧力が加わる可能性もある」とみているだけに、今週末の雇用統計をはじめ、一連の指標発表を辛抱強く見守る必要がありそうです。