8月米雇用統計 結果を確認
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非農業部門 雇用者数(万人) | 21.6 | 23.2 | 5.0 | 20.7 | 14.5 | 21.0 | 20.9⇒18.9 | 15.6 |
失業率(%) | 4.8 | 4.7 | 4.5 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.3 | 4.4 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.2 | 0.3 | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.1 |
時間給賃金 前年比(%) | 2.6 | 2.8 | 2.6 | 2.5 | 2.4 | 2.5 | 2.5 | 2.5 |
※出所:米労働省
9月は過去に、9.11のNY貿易センタービルに対するテロ、2008年リーマンショック、古くはプラザ合意など『波乱の多い9月』といった印象があります。
9/3には北朝鮮が6度目となる核実験を実施し、9/9の北朝鮮建国記念日に向けては、さらなる挑発行動の警戒感が高まっています。エスカレートしている軍事的挑発に対し、トランプ米大統領の忍耐強さが試される事態になっており、一触即発のリスクも日増しに高まっているようです。
こうした政治リスク主導の様相が強まる金融市場ですが、先週末に発表された米8月雇用統計では時間給賃金の伸び悩みなど低インフレの長期化が懸念される結果となりました。
8月雇用統計結果のポイント
①就業者数の増加は予想を下回ったほか、7月分も20.9万人から18.9万人へ下方修正
②直近3ヵ月平均は18.5万人増と労働市場は堅調
③失業率は4.4 %へ悪化、労働参加率(前月62.9%⇒62.9%)は変わらず
④建設業は今年2月以来、製造業は2013年7月以来の雇用者増となり堅調
⑤時間給賃金は前月比+0.1%、前年同月比+2.5%となり、賃金上昇率の鈍さを確認
⑥時間給賃金の鈍化で、FRBの年内利上げ観測が後退
⑦労働所得(労働時間x時間給)は前月比-0.1%、所得低下が一時的か要確認
非農業部門 就業者数 推移(万人)

- ※出所:米労働省
米時間給賃金 前年比(%)、 前月比(%)

- ※出所:米労働省
FRBは3月に続き6月に今年2度目となる利上げを実施した際、イエレン議長は「低インフレは一時的」、「物価が上昇しないのは携帯電話料金や処方箋などの特殊要因が関係している」と発言し、物価上昇率が伸び悩む状況は一時的との認識を強調していました。
しかし、8/31に発表された個人消費支出価格指数(コア)が前年比+1.4%に留まるなど、FRBの掲げる物価目標(2.0%)を下回る状況が続いています。
米個人消費支出価格指数(コア) 前年比(%)

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
こうした中で時間給賃金も一向に上向く気配がみられません。当然FRB内部でも低インフレを問題視しているものの、その明確な理由を把握しきれていないようです。
FRBは今月20-21日にFOMCを開催しますが、バランスシートの縮小が開始されると見込まれている一方、今回の雇用統計の結果を受けてFRBの年内利上げは一層難しくなったとも言われています。
9/5から米国議会が開催、債務上限問題も焦点に
レーバーデーの休場明けの9/5からは米国議会が再開されます。
今月末が期限となる債務上限問題や、税制改革の行方が注目されますが、議会初日にも採決が予定される、ハリケーンハービー被災者支援に関する救済法と債務上限問題と組み合わせる法案の提出も一部では予想されています。
一方、イギリス議会も9/4から再開されており、こちらはEU離脱交渉が進捗していないことが議会運営の障害になる可能性が高く、ポンドの動きも注目されます。
9/20-21のFOMCでは市場の予想通り、バランスシート縮小を開始するのか、FOMCの結果次第ではドル円の108円割れの可能性もあり、波乱の9月となってしまうのかその動向に注目です。