9月米雇用統計 結果を確認
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 5.0 | 20.7 | 14.5 | 21.0 | 18.9⇒13.8 | 15.6⇒16.9 | -3.3 |
失業率(%) | 4.5 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.2 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.1⇒0.2 | 0.5 |
時間給賃金 前年比(%) | 2.6 | 2.5 | 2.4 | 2.5 | 2.5⇒2.6 | 2.5⇒2.7 | 2.9 |
※出所:米労働省
10/6(金)に発表された米9月雇用統計の非農業部門就業者数は、市場予想(8.5万人増)を下回り、2010年9月以来7年ぶりのマイナスに転じる3.3万人減少となりました。
テキサス州を中心に莫大な被害を出したハービーや、フロリダを中心に被害を及ぼしたイルマの二つの大型ハリケーンの影響によって被害地域の小売業や娯楽関連施設などが休業に追い込まれたことが大きく影響しました。
実際、サービス業の就業者数は4.9万人も減少し、2009年12月以来の弱い結果となり、娯楽関連、宿泊関連では飲食サービスの10.5万人減少を含めて11.1万人も減少する結果となりました。
9月雇用統計の調査対象期間(9月14日週)にハリケーンの影響により一時的にせよ、雇い主が労働者に対して賃金を支払っていなければ定義上は就業者としてカウントされないため、就業者数がマイナスに転じるまで減少したという一時的な要因が影響しました。一方、失業率は2001年1月以来の低水準となる4.2%と前月の4.4%から改善しました。
通常、雇用統計では就業者数の調査は雇用主に対して行う一方、失業率は家計調査に基づいて各世帯への聞き取りが基本にあるため、就業者数が減少した一方で失業率は低下(改善)するという一見矛盾した結果になりました。
加えてパートタイマーなど正社員を希望しながらもパートタイマーに甘んじている人などを含めた広義の失業率も8.3%と、こちらも2007年6月以来10年3か月ぶりの低水準と良好な結果になっています。
非農業部門 就業者数 推移 (万人)
- ※出所:米労働省
失業率 推移 (%)
- ※出所:米労働省
さらにFRBの年内追加利上げに最も影響を及ぼすとされ注目された時間給賃金は前月比+0.5%と前月(+0.2%)から改善、昨年1月以来の高水準まで改善しました。さらに前年同月比でも+2.9%と改善したほか、8月分が+2.7%、7月分も+2.6%へそれぞれ2.5%の速報値から上方修正されています。
今回ハリケーンの影響を最も大きく受けた小売業や娯楽業などはもともと相対的に低賃金業種の一つであり、こうした低賃金業種の雇用減少が時間給賃金上昇の押し上げにつながるなど特殊要因が寄与した可能性も否定できません。
米時間給賃金 前年比(%) 、 前月比(%)
- ※出所:米労働省
今回の雇用統計の結果を受けて、大手米系証券は12月利上げ確率を雇用統計前の75%から80%へ引上げるなど、市場は12月利上げを織り込みつつあります。
10/2に発表された米9月ISM製造業景況指数は60.8と2004年5月以来13年4ヵ月ぶりの高水準となりました。
ハリケーンによる影響で「入荷遅延指数」が大幅に上昇したことが影響しており、今回の雇用統計も含めて大型ハリケーンが経済指標を大きく押上げたという特殊要因を今後、どのように消化していくのか、今週末13日に発表される米9月消費者物価指数や9月小売売上高の結果を精査する必要がありそうです。