米11月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
12/8(金)22:30(日本時間)
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前回値: |
+26.1万人 / 4.1% |
事前予想: |
+21.0万人 / 4.1% |
12/8(金)発表の米雇用統計 予想を確認!
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月予想 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 20.7 | 14.5 | 21.0 | 13.8 | 20.8 | 1.8 | 26.1 | 21.0 |
失業率(%) | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.2 | 4.1 | 4.1 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.5 | 0.1 | 0.5 | 0.0 | 0.3 |
時間給賃金 前年比(%) | 2.5 | 2.4 | 2.5 | 2.6 | 2.6 | 2.8 | 2.4 | 2.7 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は12/4現在の予想平均値
先週11/28に行われた米議会上院での次期FRB議長の承認を求める公聴会で、パウエルFRB理事は「金利とバランスシートの規模を正常化させるに相応しい時期である」と発言したほか、「12月の利上げに向けて条件は整っている」との考えを明らかにしました。
翌29日の地区連銀経済報告(ベージュブック)でも「物価圧力は前回の報告より強まった」との見解が示されたほか、イエレンFRB議長からも「緩やかな利上げが妥当」「最近の低インフレは一時的な要因が影響している可能性」として、パウエル次期FRB議長とともに金融政策の正常化に問題はないとの考えを示しています。
米経済指標を見ても、7−9月期GDP改訂値が前期比+3.3%と速報値(+3.0%)を上回る3年ぶりの高成長となったほか、11月消費者信頼感指数も129.5と2000年11月以来17年ぶりの高水準を記録するなど、好調な経済を裏付けています。
NYダウも昨年末終値(19,762.60ドル)から先週木曜日には24,272.35ドルまで上昇、年初来の上昇率は実に23%近い高水準に達しています。
さらに12/2未明、米議会上院で税制改革法案が可決、法人税率の20%への引下げが実施される見通しが高まっています。下院は2018年からの実施案であるのに対し、上院は2019年からの実施案としてそれぞれ可決しており、今後上下両院での調整・折衝を経て本会議で採決され、トランプ大統領が署名して成立することになります。
法人税減税や所得税減税によって企業収益、時間給賃金の上昇が見込まれるだけに、労働市場の活況は今後しばらく継続すると見られています。今週末8日に発表される米11月雇用統計では以下の数値が予想されています。
非農業部門雇用者数(万人)の推移
- ※出所:米労働省
失業率(%)の推移
- ※出所:米労働省
2018年もしくは2019年からの実施が確実視される米税制改革から米企業収益の健全性が保たれると見られるほか、IT分野でもアップル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、インテル、ツイッターなどの米企業が世界中のサイバー空間を独占しています。法人税減税によってAI、ロボット、SNSなどの分野でより一層の投資拡大が見込まれますが、企業はますます優秀な人材確保に動かざるを得なくなるはずで、時間給賃金の上昇を通じてインフレ期待も高まりそうです。
米時間給賃金 前年比(%) 、 前月比(%)
- ※出所:米労働省
雇用統計が終われば来週12−13日のFOMCに焦点が移りますが、既に0.25%の再利上げを織り込んでいるだけに、雇用統計で想定外の下振れがない限り、波乱はないと思われます。FRBの政策金利が1.25〜1.50%へと引き上げられれば、既に『緩和的』の領域を離れ『正常化』に向かうことになります。来年2月からのパウエルFRB新議長の下、年3回の利上げが実施されることになり、2.00%〜2.25%となればいよいよFRBの金融政策は『引き締め』の領域に踏み込むことになります。
夏に大型ハリケーンに見舞われた影響で建設・住宅関連など復興に絡む雇用が増加したと予想される中、さらに税制改革法案が下院案どおりに2018年から実施された場合、インフレ期待の高まりも含めて労働市場の一段の逼迫が予想されるだけに、企業経営者がこうした先々の人手不足を想定して優秀な人材の確保に動くことになるのか、注目です。
また、11月雇用統計を境にして、12月末決算を見据えて、米企業の海外拠点からのドル資金の米国還流が見られるのか、さらにドル円は年末に115円台を見据えての一段高となるのか注目です。