トランプ大統領就任から1年、11月中間選挙へ不安も・・・
1/19 「つなぎ法案」が可決されず、政府機関が一時閉鎖
トランプ大統領就任1周年を祝う予定だったパーティーは、暫定予算案を巡る「つなぎ法案」が可決されなかったことで、政府機関の閉鎖によって中止に追い込まれ、大統領は終日ホワイトハウス内で過ごすことになりました。
2016/11/07(米大統領選投票日直前)のNYダウは18,259ドルでしたが、先週末は26,071ドルと当時から約42.8%も上昇、昨年1/20の大統領就任時(19,827ドル)に比べても約31.5%上昇しており、株式市場の活況が、40%に満たない大統領支持率の逆風を弱める効果を示すなど、トランプ政権の大きなサポートとなっています。
年明けにNYダウが25,000ドルを上回った場面では「次は3万ドル!」と豪語したトランプ大統領ですが、米GDP成長率も昨年1-3月の+1.2%成長から4-6月期(+3.1%)、7-9月期(+3.3%)と2四半期連続で+3.0%成長を上回るなど、世界同時好況の恩恵にあずかっており、必ずしも株式市場の堅調地合いの要因がトランプ効果ではないとする冷ややかな見方も聞かれています。
さらに2016年の大統領選で共和党が議会両院で過半数を確保したことで「ねじれ」が解消、政権運営がスムーズに進み、様々な法案が可決・成立するだろうとの期待感も追い風となり、株式市場の上昇に一役買ったとされています。
こうした点が「アメリカ第一主義」「保護主義」「強硬的な外交姿勢」といった世界的に不評を買っている政権にあっても、閣僚の退任やロシア疑惑などに対処してこられた一因かもしれません。
NYダウ(週足)
- ※出所:Quants Research Inc.
政治不安はリスク要因
共和党と民主党は、①軍事・国内支出に配分する予算、②子供の頃に親に連れられて不法入国した若者を保護することを目的とした付帯条項などを主な相違点として挙げていますが、「大統領から上院議長への電話による協力要請もない」といった批判も聞かれています。
昨年クリスマス前に可決成立した税制改革法案によって上振れが期待される2018年の企業収益ですが、政治的な不安定さが広がれば、北朝鮮や中東に対してより強硬的な外交政策を展開する可能性もあり、リスク要因が新たなに増えることにもなりかねません。
先週末の調査では、今年11月の中間選挙で共和党が敗れる確率が60%に達しているとも報じられています。
さらに年初から既に約5.5%も上昇を続けているNYダウが米長期金利の上昇(先週末の10年債利回りは一時2.66%台)から、調整局面を迎えるようなことにでもなれば、トランプ大統領の盤石な支持基盤すら大きく揺るぎかねないだけに注意が必要です。