米3月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
4/6(金)21:30(日本時間)
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前回値: |
+31.3万人 / 4.1% |
事前予想: |
+20.0万人 / 4.0% |
4/6(金)発表の米雇用統計 予想を確認!
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月予想 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 27.1 | 21.6 | 17.5 | 23.9 | 31.3 | 20.0 |
失業率(%) | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.0 |
時間給賃金 前月比(%) | -0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.3 | 0.15 | 0.3 |
時間給賃金 前年比(%) | 2.3 | 2.5 | 2.7 | 2.8 | 2.6 | 2.7 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は4/2現在の予想平均値
雇用統計の注目点
4/6に発表される米3月雇用統計は、好景気と低インフレの共存が株高をもたらした「適温相場」の持続につながる結果となるのか、終焉に向かう契機となるのか、先行きを占う上で注目されます。
・低インフレと好景気が共存する「適温相場」継続か、終焉に向かうのか
・時間給賃金(前年比)が+2.8%以上であれば、FRBの年4回利上げ予想? ドル高・株安!
・時間給賃金(前年比)が伸び悩めば、低インフレ、緩やかな利上げ基調確認? ドル安・株高!
・ドル円は107円台回復に向かうか、105円割れへの円高懸念再燃となるか
・FRBのインフレや景気見通しに影響、先行きを占う上で重要な指標との位置付け
非農業部門雇用者数(万人)の推移
- ※出所:米労働省
失業率(%)の推移
- ※出所:米労働省
時間給賃金への関心強い
3/9に発表された2月雇用統計では、時間給賃金(前年比)が0.15%と市場予想を下回ったほか、1月の数値も速報値の2.9%から2.8%へ下方修正されたことから過度なインフレ加速への懸念が後退し、米長期金利は低下、NY株式市場も落着きを取り戻しました。
また、就業者数は2016年7月以来の高水準となる31.3万人増と市場予想を大きく上回り、1月分、12月分もそれぞれ上方修正されました。3ヵ月平均も24.2万人増と20万人を大きく上回る堅調な結果となりました。
米労働市場はほぼ完全雇用の状態が続き、失業率も昨年10月以降5ヵ月連続で4.1%の低失業率を維持しています。3月の失業率は4.0%へ一段の低下が予想されており、労働市場の堅調地合い継続は疑いの余地がないように思われます。
それだけに、時間給賃金への関心が強く、前年比2.7%の予想に対し、これを上回る2.8%以上の結果となれば、再度過度なインフレ加速への懸念、さらにはFRBの年4回の利上げ観測(現状年3回の利上げ観測)が高まることとなり、NY株式市場は波乱含みの展開になるかもしれません。
「適温相場」の様相を強めるのか、過度なインフレ加速懸念となるのか注目されます。
米時間給賃金 前年比(%) 、 前月比(%)
- ※出所:米労働省
3月FOMCでのパウエルFRB議長の会見内容は?
『インフレ率は今後数ヵ月で上昇』(12月FOMC:インフレ率は今年上昇)へ変更されたものの、インフレ見通しに関する文言の変更はこの点のみに留まりました。
また現状の景気認識に対して、家計支出や設備投資の伸びが昨年10-12月期から減速したものの、経済見通しはここ数ヵ月で強まったとし、先行きのGDP予想を上方修正しました。
今回の雇用統計がこうしたFRBの見通しに変化をもたらすのか注目されます。
また、パウエルFRB議長は、FOMC後の会見で経済見通しの強まりを示す一方、緩やかなインフレ上昇、緩やかな利上げを示唆しており、1月雇用統計(2/2発表)で見られた過度なインフレ加速への懸念は後退しています。
さらに、米国・中国を中心に通商政策を巡る市場の動揺に関して、「米中の通商関係悪化の見通しは議題に上がらなかった』ことを明らかにしています。
そのほか、
「経済見通しはここ数ヵ月で強まった」
「賃金の伸びみられないことに驚き」
「インフレ低迷は昨年からの通常でない物価下落を反映」
「インフレ率は2%を上回る可能性もあれば下回る可能性もある」
「利上げに関して中立的な立場の方針」
「中立金利は極めて低い水準にあると判断」
「通商政策の変更が見通しに影響するとは考えず」
などの認識を示しました。
どうなる!?「適温相場」の今後は・・・
こうした中で、今回の雇用統計では時間給賃金を中心に世界的な好景気と低インフレが共存する「適温相場」の様相が再度高まるのか、あるいは終焉が近いとの判断に傾くのか、NY株式市場や債券市場の反応が注目されます。
同時に、ドル円は先週一時的な回復に留まった107円台を再度試すことになるのか、あるいは105円割れへ向かい、あらためて円高進行へのリスクが高まることになるのか注目です。
仮に時間給賃金(前年比)が+2.7%と市場予想の範囲に留まり、就業者数、失業率ともに過度なインフレ加速を連想させるような結果とならない場合でも、あらためてドル円の上値の重さが意識されることも十分予想されます。
4月末の南北朝鮮会談、5月中に実施が見込まれる米朝首脳会談など、政治イベントを中心にファンダメンタルズから離れた材料によって上下に振れる政治相場の様相を高めることになるだけに、ファンダメンタルズが相場の中心にあるということを確認できるか、注目です。