米4月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
5/4(金)21:30(日本時間)
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前回値: |
+10.3万人 / 4.1% |
事前予想: |
+18.5万人 / 4.0% |
5/4(金)発表の米雇用統計 予想を確認!
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 21.6 | 17.5 | 17.6 | 32.6 | 10.3 | 18.5 |
失業率(%) | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.0 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.3 | 0.4 | 0.3 | 0.15 | 0.3 | 0.2 |
時間給賃金 前年比(%) | 2.5 | 2.7 | 2.8 | 2.6 | 2.7 | 2.7 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は5/1現在の予想平均値
4月雇用統計の注目点
5/4に発表される米4月雇用統計を前に、原油高や鉄鋼・アルミの輸入規制による原材料価格の高騰を背景にインフレ警戒感が高まっており、米10年債利回りは先週一時3.03%台へ上昇しました。
こうした中で、日本時間5/3午前3時に発表されるFOMCの声明文が、6月の利上げを確実視し、年4回の利上げの可能性を高めるか注目されます。
さらに、雇用統計では、前月に予想外の鈍化となった非農業部門の就業者数が、直近3ヵ月平均で毎月20万人増のペースが維持されるのか注目されます。
また、税制改革などトランプ政権の景気刺激策によって今後の米国の経済成長率を高めていくとの予想が聞かれる中、賃金上昇圧力が高まっていくと見られています。
今回、時間給賃金(前年比)が市場予想(2.7%)を上回り、賃金インフレへの思惑を高めるのか、債券・株式市場はもちろん、為替市場の反応が注目されます。
雇用統計発表時点では、既に4/30発表の個人消費支出コアデフレーターのインフレ指標の結果に加え、FOMC声明文も公表されていることから、雇用統計が年3回の利上げ見通しから年4回へ変更の可能性を示唆するのか、あるいは確率は低いものの利上げ加速ムードを抑制し、適温相場への回帰を促すことになるのか、注目されます。
◇注目点
- 前月の就業者数の鈍化からの回復を確認し、直近3ヵ月20万人増のペースを維持するか
- FOMC後の雇用統計結果が、6月利上げや年4回利上げを強く後押しする結果となるか
- 原油価格や鉄鋼・アルミなど原材料価格の上昇に加え、賃金インフレへの警戒も高めるか
- 米長期金利の上昇が一段と進み、NY株式市場の調整を強めることにつながるのか
- ドル円の110円台回復への足掛かりとなるか
非農業部門雇用者数(万人)の推移
- ※出所:米労働省
失業率(%)の推移
- ※出所:米労働省
就業者数の鈍化は一時的?
先週発表された米週間新規失業保険申請件数は、20.9万件と前週の23.3万件から大幅に改善が進み、1969年12月第一週以来、48年ぶりの水準となりました。
さらに、失業保険継続受給者数も、前週から2.9万人減の183.7万人へ改善しており、今回発表される就業者数が3月の10.3万人から増加する見通しを裏付けることになりそうです。
前回の就業者数の内訳で著しい減少となった物品生産部門や建設業などの分野での就業者数が、どの程度増加に転じるのかがポイントとなるかもしれません。
3月の雇用統計は、過去12ヵ月で2番目の低水準となりましたが、直近3ヵ月平均が20.1万人増となっており、17.1万人増となれば直近3ヵ月平均で20.0万人増が維持され、労働市場の堅調持続を確認する一つの目安となります。現時点での就業者数予想は18.5万人であり、これを上回っています。
ちなみに、前月まで直近一年間の毎月就業者の月平均は18.4万人増ですが、20.0万人増となるには39.4万人増が必要となります。
しかし、失業率が昨年10月以降6ヵ月連続で4.1%とほぼ完全雇用の状況下、今回の失業率予想は4.0%への改善が見込まれるなど、労働市場は引き締まりを継続しているだけに、18.0万人前後であれば特に材料視されることはないと思われます。
米時間給賃金 前年比(%) 、 前月比(%)
- ※出所:米労働省
FOMCの注目点は?
シカゴCME取引所が投資家の見通しを反映する先物価格に基づいて将来の利上げ確率を算出するFEDウォッチによると、5月FOMCでの利上げ確率は僅か7.0%に過ぎず、現状維持が大勢の見通しとなっています。
しかし、声明文では『年3回』の利上げ見通しが『年4回』の可能性を一段と示唆する内容となるのか注目されます。
ちなみに、FEDウォッチによると、6月のFOMC(12日〜13日)での利上げに加え、8月(7月31〜8月1日)、9月(25日〜26日)、11月(7日〜8日)、12月(18日〜19日)の4回の内、一回の利上げに留まるとの見通し以上に、2回の利上げ予想が有力視されています。
また、年4回の利上げ見通しの可能性が高まる声明文となった場合の長期金利の動向にも注目です。
金利高が企業の資金調達コストの上昇に影響を及ぼし、株式市場の割高感につながる可能性もあるだけに、株式市場の動向に注意が必要です。