前営業日トピックス
東京市場では、日銀の金融政策決定会合の結果を見極めたいとの思惑から様子見ムードが広がっており、序盤から小動きの展開となった。そして、トランプ大統領が中間選挙終了までは政府機関閉鎖を回避へとの報道を受けて、ドルが買われる場面もあったが、日銀の発表を控えており、上昇は一時的となった。そして、日銀の金融政策決定会合の結果発表では、「長期金利の上昇容認」を受けて円買いが強まったが、「政策金利のフォワードガイダンスを導入」を受けて円売りとなるなど、乱高下する動きとなった。そして、やや慎重さが見られたことから、海外との金利差拡大が意識され、円が売られた。
米国市場では、米中両国が貿易摩擦の回避に向けた協議の再開を模索しているとの報道が伝わったことで、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、相対的に安全な通貨とされる円を売ってドルを買う動きが強まった。しかし、その後に米中の貿易協議はほとんど進展していないとの報道が出たことから、株価が上げ幅を縮小し、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、序盤から小動きの展開が続いた。ただ、日経平均株価が下落して始まったことを受けて、ドル円・クロス円はやや軟調な動きとなった。仲値公示近辺では、月末を迎えた実需のドル買い・円売りが入り、堅調な動きも見られた。
(2)日銀の金融政策決定会合の発表を待つ中、トランプ大統領が中間選挙終了までは政府機関閉鎖を回避へとの報道を受けて、ドル買いとなる場面もあった。しかし、反応は一時的となった。そして、日銀の結果発表では、長期金利上昇を容認とのヘッドラインを受けて円高に振れたものの、政策金利のフォワードガイダンスを導入とのヘッドラインで円安に振れるなど、やや荒い値動きとなった。
(3)黒田日銀総裁の会見で、長期金利上昇の容認やフォワードガイダンスに関する発言を受けて、再び乱高下となった。日本の長期金利が低下した一方、米長期金利が上昇したことから、ドル買い・円売りがとなり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(4)米国市場では、米中両国が貿易摩擦の回避に向けた協議の再開を模索との報道を受けて、円売り・ドル買いが強まった。また、米FOMCの結果発表を控えているが、FOMCが漸進的な利上げの方針を維持すると見込まれていることも、ドルの押し上げ材料となった。ただ、その後に米中の貿易協議はほとんど進展していないとの報道を受けて、株価が上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
日銀の金融政策決定会合の結果発表を終え、今度は米FOMCを控えていることから、前日までの動きが一服し、発表まではやや限定的な動きとなるだろう。ただ、米国の利上げペースの加速期待も根強く、日米金利差拡大を意識した動き(日米長期金利の動きなど)となる場合には、ドルは底固い動きとなる可能性も考えられる。FOMCでは、利上げの可能性は低いものの、利上げペースの拡大のヒントが示されるのかが注目される。ただ、米要人からの利上げやドル高に関する牽制発言には注意も必要だろう。
8/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
7月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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18.6万人 | 17.7万人 |
前回は、市場予想を下回る結果となった。ただ、引き続き堅調な伸びが維持されたが、熟練労働者不足は依然として深刻であるとの見方が示された。今回は、前回から伸びが拡大すると予想されているが、イベントを控えていることなどもあり、反応はやや限定的だろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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59.3 | 60.2 |
前回は、市場予想を上回り、4ヵ月ぶりの高い伸びとなった。今回は、前回からの低下が予想されているが、依然として高い水準を維持することから、懸念要因にはならないが、鉄鋼・アルミ関連の混乱、サプライヤーの労働問題などが続く場合には指数にも影響するとの懸念もあり、今後の推移が注目される。 | ||||
翌3:00 | 米国 |
FOMC金融政策発表
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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0.0% | 0.0% |
前回、利上げが決定されたことから、今回は利上げの可能性はないと見られている。また、金利先物市場でも利上げ予想確率は1.3%と低く、マーケットでも利上げの可能性は非常に低いと見られている。ただ、声明などで年4回の利上げ(あと2回)の可能性が強まるのかが注目されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、下値のポイントとされていた半値押しのポイントで踏みとどまり、底固い動きとなった。そして、方向性を示すとされる一目均衡表の基準線が7/31から上昇に転換し、さらに上値の抵抗となっていた基準線を上抜ける動きとなった。このことから、一段の上昇も期待感も出てきている。
また、オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅の縮小が続いており、先行するラインが上向きに転じていることから、両線がクロスとなり、上昇のシグナルとなるのか注目される。
当面の上値の目標としては、前回高値の113.17であり、そこを上抜ける場合の上値目標の計算値は113.95、115.65となる。
上値のポイント
(1)111.95(前日高値)(2)112.25(レジスタンス)(3)112.61(重要レジスタンス)
下値のポイント
(1)111.71(本日安値)(2)111.43(基準線)(3)110.73(前日安値)