前営業日トピックス
東京市場では、7/30からの米中通商交渉を前に、合意には来年の大統領選まで長期間を要するとの観測報道を背景に日経平均株価が下げ幅を拡大したことや、月末に向けた実需のドル売り観測などもあり、仲値公示にかけてドル売り・円買いが優勢となった。仲値公示通過後は、日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、米国債利回りが上昇したこともあり、アジア市場に続き、海外市場のドル/円は底固い動きが続いた。米国市場では、月末のロンドンフィキシングに絡むまとまったユーロ買い・円売り観測のほか、合意無き離脱への懸念を背景に、ポンドが対ドル2017年3月以来の安値まで下落した。ドル/円はストップロスも巻き込んで108.90まで上昇し、7/10以来の高値を付けた。ただ、FOMCを控え109円台への回復に至らなかった一方、108.70台を下値に底堅い値動きを続けた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)7/30の日銀政策会合や、7/31のFOMCを控えていることから、全体的に様子見ムードの中、月末のドルの需給を中心に小動きの展開となった。日経平均株価が下げ幅を拡大したことや、スポ末(スポット取引の決済が月末となる)で仲値公示にかけて実需のドル売り観測を背景に加え、米中通商問題の長期化懸念、ドル/円は108.42まで下落した。
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(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、米10年債利回りが2.0581%から2.0685%まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、英国の合意なきEU離脱に対する懸念を背景に、やや上値の重い動きが続いており、ポンド/円の戻りは限定的だった。
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(3)アジア市場から続いた堅調な流れを継続する中、その後、ロンドンフィキシングに絡むまとまったユーロ買いや円売り観測、合意無き離脱への警戒感を背景に、ポンドが対ドル2017年3月以来の安値まで下落した。ドル/円はストップロスも巻き込んで108.90まで上昇し、7/10以来の高値を付けた。
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(4)FOMCやパウエルFRB議長の会見での発言内容を見極めたいとの思惑も強く、終盤までは積極的な売買が手控えられ、小動きの展開が続いたものの108.70台を下値に堅調な値動きを続けた。
本日のトピックス
正午前後にには、日銀金融政策決定会合の結果発表が予定されている。追加緩和に踏み切るとの見方があるものの、緩和期待がそれほど高いというわけではない。ECBがハト派姿勢を強めたことや、FRBが0.25%の利下げに踏み切ることが確実視されていることから、日銀もフォワードガイダンスの修正やETFなどの買い入れを増加させるとの見方もあるが、日銀の追加緩和姿勢が弱ければ、相対的に円が買われる可能性も考えられる。さらに、黒田日銀総裁の定例会見も予定されていることから、発言の内容にも注目したい。
米国市場では、FOMCを控えて様子見ムードもあるが、FRBが金融政策を判断する上で重視しているPCEコア・デフレーターでは、金融当局の目標に向けて上昇する兆候が示されるのか、さらに消費者信頼感指数では、消費者のマインドの改善が見られるのか注目したい。
7/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月PCEコア・デフレーター(前年比)
個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)の名目PCEを実質PCEで割ったもの。PCEデフレーターから、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたものがPCEコアデフレーターであり、米国のFRBが金融政策を判断する上で重視している物価指標。消費者物価指数と比較されるが、PCEデフレーターはより調査対象が広いことから、物価動向を反映しやすいとされている。
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1.7% | 1.6% |
前回は、市場予想を上回り、3月に付けた低水準から上向きに転換した兆候が示された。今回は、一段の伸びが予想されており、予想通りの結果なら今年1月以来の高い伸びとなり、金融当局の目標に向けて加速しつつある兆候が示されることになる。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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125.0 | 121.5 |
前回は、市場予想に反して大幅低下となり、2017年9月以来の低水準となった。米国の通商問題を背景に、米景気の楽観的な見方が後退したことが示された。現況指数は8.1ポイント、期待指数は10.9ポイントの低下となったことが影響した。7月は、通商問題の進展期待から米株価も上昇していることから、信頼感指数の改善も予想されている。特に、前回10ポイント以上の低下となった6ヵ月先の見通しである期待指数の結果に注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.4% | 1.1% |
前回は、市場予想を上回り、昨年12月以来の低い伸びとなった4月の結果から持ち直しが見られた。西部地区が引き続きマイナスとなったが、他3地域の契約数が前回から伸びたことが影響した。今回は、前回から伸び幅が縮小すると予想されているが、2ヵ月連続のプラスとなるようなら、2018年6月以来のとなることから、結果が注目される。 |