日経平均株価は波乱の動きとなっています。12/1(火)に20,012円と、8/20(木)以来の2万円大台を回復しましたが、12/15(火)には18,562円の安値を付けました。その後は12/18(金)に一時19,869円と急回復しましたが、同じ日の終値が18,986円と急速に値を消す、まさに激動の展開となりました。
株式市場では一体何があったのでしょうか。今後年末から年明けにかけて、どう考えるべきなのでしょうか。今回の「225の『ココがPOINT!』では、日経平均株価のこうした動きを整理しながら、当面の展望につなげてみたいと思います。
「4人の魔女?」が相場をかく乱? |
日経平均株価が波乱の動きを続けています。図1に示したように、12/1(火)に20,012円と、8/20(木)以来の2万円大台を回復しましたが、12/15(火)には18,562円の安値を付けました。その後は12/18(金)に一時19,869円と急回復しましたが、同じ日の終値が18,986円と急速に値を消す、まさに激動の展開となりました。
この波乱の動きは、「4人の登場人物」をポイントとして整理するとわかりやすいかもしれません。「4人の登場人物」は、(1)米国のFOMC、(2)日銀の金融政策決定会合、(3)米国の先物・オプション売買最終日、(4)ヘッジファンドです。
東京株式市場に大きな影響を与えることが多いNY株式市場ですが、12月に入ってからは上値の重い展開が続いていました。9年半ぶりの利上げが想定されていたFOMCや、米国の先物・オプション売買最終日(12/18)が控えていたため、買い持ち高を増やしにくい環境にあったことが要因でした。NYダウは12/1(火)の高値17,895ドルから12/14(月)には17,138ドルまで4%超下落しました。しかし、買い持ち高が調整されたためか、同安値を示現した後のダウ平均は上昇に転じました。
ご存知の通り、米国時間12/16(水)まで開催されていたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、9年半ぶりの利上げが発表されました。また、今後の政策金利の引き上げについて、FOMCメンバーの見方を平均すると「四半期に1回0.25%ずつ利上げされ、2016年・年間では計1%利上げされる」との見通しが示唆されました。これらは、市場関係者に何ら意外感を持たせる内容ではなく、むしろ「重要イベントが無事通過」と捉えられ、12/16のNYダウは上昇。結局、12/14〜12/16のNYダウは3営業日続伸で計483ドルの上昇となりました。
しかし、原油価格が下げ止まらなかったことに加え、ヘッジファンドの換金売りが続いたこともあり、12/17(木)のNYダウは反落に転じました。その流れを引き継いだ12/18(金)の日経平均ですが、日銀金融政策決定会合の結果が「ETF買取り3,000億円追加」を第一報に伝えられたこともあり、短期的かつ急速な先物買いを招き入れる結果となりました。日経平均株価は後場の12時50分に付けた19,312円を安値に、12時55分には19,869円(前日比515円高)まで急騰しましたが、日銀の政策が補完的なものにとどまるという事実が浸透するにつれて値を消し、大引けでは18,986円(前日比367円安)とマイナス圏に沈んでしまいました。
同じ12/18のNY市場では原油安や、ヘッジファンドの換金売りが続いたことでNYダウは367ドル安と続落してしまいました。週明け12/21(月)の東京市場で、日経平均株価はNY株安の余波にゆさぶられる形で続落となっています。
ちなみに、冒頭でも触れた12/18(金)における米国市場の先物・オプション最終売買日は、4種類の最終売買日が重なることからクアドルプル・ウィッチング(Quadruple Witching=「4人の魔女」)と言われ、要注意日と言われています。12/18のNY市場の波乱はまさに「4人の魔女」により助長された格好ですが、日米の株式市場を全体でみれば、まさに、(1)〜(4)という「4人の魔女」にかく乱され、波乱となったと言えるかもしれません。
図1:日経平均(日足)の動きと重要な出来事
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。
「一目均衡表」から日経平均の先行きを占う |
図2の「一目均衡表」でみる限り、日経平均株価は弱い形になっています。(図中の数字は下の箇条書きの数字に一致します)
(1)遅行スパンは日々線の上から下に突き抜け、「売りシグナル」が点灯したこと。
(2)転換線が基準線を上から下に突き抜け、「売りシグナル」が点灯したこと。
(3)2本の先行スパンが交錯した「要注意日」である12/14(月)に日経平均が急反落したこと。
(4)12/21(月)に日経平均株価が下落し、「クモ」の中にもぐり込んでしまったこと。
なお、タイムスケジュール的には、前項で述べたような重要日程を通過したことで、イベントリスクは低下してきたように思われます。ただ、12/23(水)に東京市場が休場(天皇誕生日)、12/24(木)および12/25(金)に多くの海外株式市場が休場ということもあり、市場参加者の減少が見込まれます。日経平均株価は一目均衡表のクモの中で19,000円前後を推移する展開と言えるかもしれません。
図2:日経平均(日足)一目均衡表〜日々線が向かうのはクモの中?それとも?
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。
【ココがPOINT!】年明けに空気が一変する可能性も |
年内は目立った上昇を見込みにくくなってきた日経平均株価ですが、年明けには一転して明るいムードになり、上昇する可能性もありそうです。米国で7年間続いてきた政策金利(下限)ゼロの状態が、プラスの数字が付くようになるというのはやはり、大きな変化であり、それがもたらす変化を市場が警戒してきたことは致し方のない所だと思います。その意味で、非常に重要なイベントと考えられてきたFOMCを無事通過したことは市場にとって安心材料ですが、時はすでにクリスマス休暇の季節になっていますので、相場が前向きに転換し始めるのは年明けにズレ込む可能性が大きそうです。
12月に日経平均株価上昇の頭を押さえつけてきたNYダウですが、ドル高による企業業績の悪化や原油価格の下落が逆風になってきました。事実直近の2015/7〜9月期にドル・インデックスは前年同四半期比で17%上昇、WTI先物は同52%の下落となりました。
ただ、図3にあるように、ドル・インデックスはすでにピークアウトの様相を呈しています。米国が利上げ局面になり、市場参加者の多くがドル高を懸念していますが、前年との比較という意味ではピークアウトした感が強くなっています。米利上げに向けて、ドルはほぼすべての通貨に対してすでに上昇し、利上げはいったん織り込まれた形です。また、原油価格の下落も前年比という意味ではボトムアウトが近い状態です。もともと、米家計や多くの企業には好材料とみられる原油価格の下落ですが、エネルギー企業への悪影響も今後は限定的となる可能性がありそうです。
新年になり、2016年の米企業業績見通しが示唆される場面で、これらが反映されるようになってくれば、米国株式市場は上昇に向けてアクセルを踏む形になりそうです。同様に日本経済・株式にとっても、原油安の悪い面の織り込みが一巡に向かい、いい面の効果が出てくるとみられます。日経平均株価は1月に2万円を再度トライする可能性がありそうです。
図3:前年との比較では「ドル」「原油」が「ピークアウト」または「ボトムアウト」の様相
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
ドル・インデックス相場、WTI先物、ドル・円相場の四半期平均相場が前年同四半期比で何%増減しているかを折れ線で示しました。なお、2015/10〜12月期は、12/21までの平均レートを使って計算した暫定値になっています。
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