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資本性証券とは?
BIS規制とは(バーゼルU)
1988年7月、主要国の銀行監督当局からなる委員会(バーゼル銀行監督委員会)において、銀行の健全性と安全性を強化する目的で、「自己資本の測定と基準に関する国際的統一化」に関する合意(バーゼル合意=BIS規制)がなされました。その後、リスク計測の精緻化、銀行自身による自己資本戦略の策定、開示の充実などの一部見直しにより新BIS規制(バーゼルII)が策定され、2007年3月期から適用されました。
BIS規制(バーゼルU)では、銀行の自己資本比率(リスク量に対する自己資本の比率)の測定方法、及び達成すべき最低水準の国際統一基準が規定されており、国際業務に従事する銀行は8%以上、海外営業拠点を有しない銀行では4%以上の自己資本比率を維持することが求められています。
BIS自己資本比率(バーゼルU)の計算に使われる自己資本には、通常の資本項目(=基本的項目)に加え、有価証券・不動産の含み益、一般貸倒引当金、一定の条件を満たす劣後債務(一般の債務に比べ法的弁済順位が劣後する債務)(=補完的項目、準補完的項目)を算入することが認められています(但し、基本的項目の額が上限)。
BIS自己資本比率(バーゼルU)= |
自己資本の額(基本的項目+補完的項目+準補完的項目−控除項目) |
≧ 8%(4%) |
信用リスク+市場リスク+オペレーショナル・リスク |
基本的項目(Tier1) |
通常の資本項目(資本金、準備金、剰余金など)、優先株、一定の条件を満たす優先出資証券等 |
---|---|
補完的項目(Tier2) |
有価証券・不動産の含み益、一般貸倒引当金、一定の条件を満たす劣後債務(永久劣後債務、期限付劣後債務など)等 |
準補完的項目(Tier3) |
一定の条件を満たす期間2年以上の短期劣後債務等 |
控除項目 |
金融機関同士で意図的に株式や劣後債務などを保有している金額等 |
銀行は一定の条件を満たす優先出資証券または劣後債をBIS規制(バーゼルU)上の自己資本に算入することができます(このような証券を資本性証券といいます)。銀行は、BIS自己資本比率(バーゼルU)を向上させるため、市場にてこうした資本性証券の発行を行っています。
BIS規制(バーゼルU)上の資本構成(1)
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クーポン |
金利/配当の繰延 |
償還期限 |
コール償還 |
一般的な特徴 |
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普通株 |
- |
配当停止可能 |
なし |
- |
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優先出資証券 |
あらかじめ設定 |
配当停止可能 |
なし |
有り |
|
あらかじめ設定 |
金利繰延可能 |
なし |
有り |
|
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あらかじめ設定 |
不可 |
通常10〜15年 |
設定可能 |
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預金・社債など |
- |
不可 |
通常5〜20年 |
- |
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BIS規制(バーゼルU)上の資本構成(2)
![]() |
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- ※法的弁済順位とは、発行体が破綻等となった場合において、債権者などに対する残余財産の弁済順位をいい、弁済順位の高いものから弁済されます。
- ※上図は資本性証券の特性の一部を単純化して示したものであり、すべてのケースにあてはまるとは限りません
負債・資本と利回りの関係

- ※上図は資本性証券の特性の一部を単純化して示したものであり、すべてのケースにあてはまるとは限りません。
バーゼルVにより健全性が高まる金融機関
2013年より新たな自己資本規制「バーゼルV※」が開始し、段階的に導入され、2019年1月に完全実施予定です。

- ※バーゼルVとは、バーゼル銀行監督委員会(主要国の金融監督当局で構成する委員会)が2010年9月に公表した、国際的に業務を展開している銀行の健全性を維持するための新たな自己資本規制のことです。リーマン・ショックを契機とする世界的な金融危機の経験を踏まえ、2004年に公表された自己資本規制(バーゼルU)の内容を見直し、より金融機関のリスクを反映させた新たな枠組みのことです。バーゼルVでは、自己資本規制の強化に加え、流動性規制の導入等の見直しが行われました。バーゼルVについては、今後制度が変更される可能性があります。
ポイント1 より質、量ともに高い自己資本比率が要求され、銀行の健全化が向上。 特に、「グローバルなシステム上重要な金融機関(G(グローバル)-SIFIs」は更にカウンターシクリカルな(景気変動抑制的な)資本バッファーとして、普通株等Tier1又はその他の完全に損失吸収性のある資本での積み増し(0〜2.5%程度)が要求されています。
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ポイント2 Tier1、Tier2の定義が厳格化。 バーゼルVでは、従来型の資本性証券(優先出資証券、優先株式、永久劣後債務、期限付劣後債務等)の多くは、自己資本への組入れ可能額が段階的に減額される予定です。 従来型の資本性証券を償還させ、新型の資本性証券等への起債動機が働きやすい局面になり、従来型の資本性証券に対するコール償還(期限前償還)への動機が高まると考えられます。 |

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