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日本株投資のワンポイントは世界最大NYダウ市場の「犬戦略」に学べ!

2015/4/13

米国株への投資戦略に“ダウの犬”戦略と呼ばれるものがあります。これは1年に1回程度ダウ工業株30種平均(NYダウ)を構成する30銘柄を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄に機械的に投資するというものです。
この戦略の背景には、“米国を代表する銘柄としてNYダウの30銘柄に選ばれているのだから事業内容はしっかりしているはず。配当をしっかり払っていて、配当利回りが高いなら相対的に割安な状態にあり、いずれ株価も上昇するはず”という考え方があります。

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ダウの犬を日本株に応用するならどの株価指数を使うべき?

日本の株価指数で、NYダウと同様なプロセスで銘柄を選び株価指数を算出しているものといえば日経平均があります。しかしながら日経平均は225銘柄もあって、NYダウの30銘柄ほど絞り込まれている訳ではありません。一方、TOPIXは東証一部のほぼ全銘柄が対象なので、ダウの犬戦略には使えません(全銘柄でも算出はできますが、絞り込まれていないので)。JPX400も同様に銘柄数が多すぎる上に、機械的に選出している側面があるのでこの戦略には不向きです。
“日経30銘柄平均”のような指数があればNYダウにもっとも近いはずなのですが、存在しないので代替案としてTOPIX Core 30(以下「コア30」)を利用します。これはTOPIXのサブ指数で、時価総額や流動性を考慮して選出されている東証一部上場の30銘柄です。

“コア30の犬”戦略

まず、全30銘柄の直近の実績配当を調べ、それを計測時点の株価で割って配当利回りを計算します。予想配当率で計算するのが望ましいのですが、過去に遡ってどの時点の配当を用いるか検証しにくいので、直前の配当が翌期も支払われるものとして試算します。なお、2012年初における関西電力のように翌期の配当減がかなりの確率で予見されていた場合にはできるだけ反映するものとします。
銘柄を入れ替える時期については、日本企業は現時点では3月決算が多いので、前期の決算と配当金額が固まる5月末頃がよさそうです。そこで、2012年5月末から2014年5月末の3年間の5月末にコア30を構成していた銘柄の配当利回りを計算し、高い方から10銘柄及び5銘柄に投資したものとしてその後の1年間のパフォーマンスを試算しました(図表1、2015年は4月8日まで、配当を除いた株価リターンで比較)。

図表1:TOPIX Core 30の犬のパフォーマンス

図表1:TOPIX Core 30の犬のパフォーマンス

※ロイターデータよりeワラント証券が作成

結果は、相場が大きく上昇した時はTOPIXや日経平均の方が良く、相場が動かなかった2013年5月から2014年5月のような局面では、配当利回りに裏打ちされた堅実な銘柄といえる“コア30の犬”戦略が良い結果となったようです。
なお、上位10銘柄と5銘柄では、わずかながら常に5銘柄の方が好結果となっていました。5銘柄で済むなら、投資コストも投資に必要な金額も少なくなるのでそれにこしたことはありません。であれば、本家の米国株でのダウの犬戦略では上位10銘柄となっていますが、日本株でのコア30の犬戦略では上位5銘柄とした方がよさそうです。

構成銘柄と現時点の“コア30の犬”銘柄

図表2は直近3年の“コア30の犬”の構成銘柄と、2015年4月8日時点の“コア30の犬”銘柄です。
KDDI、三井物産、NTTドコモが毎年入っている“皆勤”銘柄、キヤノンとみずほFG、武田薬品がそれに準ずる常連銘柄で、配当利回りが高い銘柄といえます。

図表2:TOPIX Core 30の犬戦略 実績配当利回り上位5銘柄の推移

 

2012年5月

2013年5月

2014年5月

 

 

2015/4/8

1

9433 KDDI

9433 KDDI

9433 KDDI

 

1

9433 KDDI

2

4502 武田薬品工業

9437 NTTドコモ

4502 武田薬品工業

2

8031 三井物産

3

8411 みずほFG

4502 武田薬品工業

7751 キヤノン

3

7751 キヤノン

4

8031 三井物産

7751 キヤノン

8031 三井物産

4

8411 みずほFG

5

9437 NTTドコモ

8031 三井物産

9437 NTTドコモ

5

9437 NTTドコモ

※ロイターデータよりeワラント証券が作成

eワラントには、株価等が上昇すると収益が見込める「コール」と、株価等が下落すると収益が見込める「プット」の2種類があります。「プット」を利用すれば、相場下落時にも収益が得られます。

■コールの銘柄を選んだ理由

コア30の犬戦略では数ヶ月から1年程度保有してその間に割安と思われる高配当利回り銘柄の価格が上昇することを狙うものです。
このため、eワラントを使う場合には取引可能な銘柄の中で、できるだけ満期までの期間が長く、権利行使価格が低いコールを用いることが効果的と思われます。

■プットの銘柄を選んだ理由

今後数ヶ月以内に相場全体が大きく下落し、その際にTOPIX Core 30の犬戦略が機能せず、高配当利回り銘柄がより大きく下落すると考えるのであれば下記3銘柄のプット購入も効果的と思われます。

投資に活かすには

本来のダウの犬戦略の趣旨を考えれば、定性的に選ばれた指数を母集団とするのが理想的です。このため、日経平均に採用されている225銘柄のうち、構成比率順に50銘柄程度選出し、上記と同様の手順で「50銘柄の犬」戦略にしたり、「eワラント原資産に採用されている日本株の犬」戦略にしたりするバリエーションができそうです。
また、日本株全体がこれから何年にも亘って30%や50%も上昇し続けることは、日本経済の潜在成長率から考えて容易ではないと思われます。そうであれば、緩やかな相場変動下に強そうな“コア30の犬”をそのまま用いて5銘柄に集中投資する手法も一案と思われます。この場合、図表2のような主要銘柄であればeワラントが存在するので、まずは権利行使価格が低くて満期が長い(レバレッジが低い)コール5銘柄を少額で保有することも効果的と思われます(eワラントは配当は受取れませんが、予想配当金が価格算出に用いられ、その分コールの価格が安くなっています)。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)

eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)

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