7月5日に発表された6月の米雇用統計では、失業率が横ばいとなったものの、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数の伸びが+19.5万人と市場予想の+16.7万人を大幅に上回り、雇用改善の兆しが見られた。また、過去2ヵ月分が上方修正された上、労働参加率も上昇するなど、明るい材料が示された。この結果を受けて、米ドル/円は100.12円から101.12円まで上昇する動きとなった【図1参照】。ただ、企業の設備投資の抑制傾向を反映して、製造業部門の雇用者数の伸びが4ヵ月連続でマイナスとなるなど、依然として一部業種においては連邦歳出の強制削減の影響が残っている。
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前回指標発表時(7/5)の振返り 米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
他の通貨も動きがありました。
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米7月ADP雇用統計 前月比 (ADP発表)
事前予想 |
18.0万人 |
|
前回発表 |
18.8万人 |
---|
発表予定 |
7/31(水) 21:15(日本時間) |
---|
米7月雇用統計 非農業部門雇用者数変化 前月比 (米労働省発表)
事前予想 |
18.5万人 |
|
前回発表 |
19.5万人 |
---|
発表予定 |
8/2(金) 21:30(日本時間) |
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過去データをチャートで確認!
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成
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7月5日に発表された6月の米雇用統計では、失業率が横ばいとなったものの、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数の伸びが+19.5万人と市場予想の+16.7万人を大幅に上回り、雇用改善の兆しが見られた。また、過去2ヵ月分が上方修正された上、労働参加率も上昇するなど、明るい材料が示された。この結果を受けて、米ドル/円は100.12円から101.12円まで上昇する動きとなった【図1参照】。ただ、企業の設備投資の抑制傾向を反映して、製造業部門の雇用者数の伸びが4ヵ月連続でマイナスとなるなど、依然として一部業種においては連邦歳出の強制削減の影響が残っている。
【図1】米ドル/円 10分足
- 【図1】出所:総合分析チャート
非農業部門雇用者数は、4月分が+14.9万人から+19.9万人に上方修正され、5月分は+17.5万人から+19.5万人に上方修正された。6月分を加味すると、前月からの実質的な雇用者数の伸びは+26.5万人となった。9月以降+20万人が続いていた6ヵ月平均は、5月の結果で+20万人を割り込んだが、6月の結果を受けて6ヵ月平均値は+20.18万人に改善している【表2参照】。
民間部門の雇用者数は、前月比+20.2万人で、建設業、小売業、金融、企業向け専門職、観光・娯楽業、医療保険・教育などがプラスだった。一方で、製造業は自動車・同部品の増加を除けば耐久財、非耐久財はどちらもマイナスだった。また、政府部門は連邦と州・地方政府もマイナスとなっている。
6月の失業者数は+1.7万人と、5月の+10.1万人から伸び幅が減少したものの、2ヵ月連続の増加となり、失業率の改善を停滞させる要因となった。しかし、6月の就業者数は+16.0万人と、5月の+31.9万人、4月の+29.3万人から減少したものの、3ヵ月連続で増加となった。そして、就業者数に失業者数を加えた労働力人口も3ヵ月連続で増加となり、労働市場の全体の改善傾向も見られた。
【表2】統計結果と今回の市場予想
|
7月市場予想 |
6月 |
5月 |
4月 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
7.5 |
7.6 |
7.6 |
7.5 |
7.6 |
7.7 |
7.9 |
7.8 |
非農業部門雇用者数(万人) |
17.9 |
19.5 |
19.5 |
19.9 |
14.2 |
33.2 |
14.8 |
21.9 |
民間部門雇用者数(万人) |
18.5 |
20.2 |
20.7 |
18.8 |
15.4 |
31.9 |
16.4 |
22.4 |
製造業部門雇用者数(万人) |
0.0 |
-0.6 |
-0.7 |
-0.7 |
-0.4 |
2.3 |
1.4 |
1.3 |
- 【表2】出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
- ※市場予想は7月30日現在の平均値
失業率の改善速度がやや停滞しているのは、求職を再開した人が増えたことが主な要因となっているが、これは経済の改善が進んでいるというマインドが上昇しているからと考えられる。そして、労働参加率が2ヵ月連続で上昇していることや、6月の時間当たり賃金も、2011年7月以来最大の増加率となっていることは、労働市場にとっては良い傾向である。ただ、6月の雇用者数は37州で増加したものの、失業率は28州で上昇するなど、雇用回復に地域差があることや、例年夏場に改善のペースが鈍化する傾向があることから、今回発表される7月の市場予想は依然として控え目となっている【表2参照】。
6月の雇用統計の結果を受けて、マーケットではFRBが9月に金融緩和策の縮小を開始するとの見方が強まった。また、バーナンキFRB議長も下院の公聴会で、年後半に緩和策を縮小し始め、来年半ば頃に終了するという見通しを示している。このことから、9月のFOMCで縮小を示唆する可能性が高いと見られているが、バーナンキFRB議長は「今後の経済データに応じて縮小ペースを判断する」としており、7、8月の雇用統計の結果が非常に重要となるだろう。
今回(7月の雇用統計発表)は、失業率の改善はもとより、米金融当局者が「安定的に20万人以上の雇用増加の継続が好ましい」としたことが、緩和策縮小の基準になると考えられる。このことから、非農業部門雇用者数において6ヵ月平均で+20万件を今回維持するためには、実質+13.7万人以上であれば+20万人を維持できる。ややハードルが低いようにも思われるが、ただ例年夏場に改善のペースが鈍化する傾向があることから、注意も必要だろう。