10月1日から16日間続いた政府機関の一部閉鎖の影響で発表が延期されていた9月の米雇用統計は、10月22日に発表された。9月の米雇用統計では、失業率が前月から0.1ポイント低下の7.2%となり、2008年11月以来、4年10ヵ月ぶりに低い水準となった。しかし、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数は、+14.8万人と市場予想の+18.0万人を下回る結果となり、米国の雇用は回復を続けているものの、依然勢いに欠けていることが示された。そして、米FRBが、雇用情勢を見極める姿勢を維持し、量的金融緩和の縮小開始判断を当面、先送りするとの見方が強まり、米ドルが主要通貨に対して下落。米ドル/円は、98.26円から97.83円まで下落する動きとなった。・・・
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前回指標発表時(10/22)の振返り 米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
他の通貨も動きがありました。
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米10月ADP雇用統計 前月比 (ADP発表)
今回発表 |
13万人 |
|
前回発表 |
16.6万人→14.5万人 |
---|
発表時間 |
10/30(水) 21:15(日本時間) |
---|
米10月雇用統計 非農業部門雇用者数変化 前月比 (米労働省発表)
事前予想 |
12万人 |
|
前回発表 |
14万8千人 |
---|
発表予定 |
11/8(金) 22:30(日本時間) |
---|
過去データをチャートで確認!
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成
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10月1日から16日間続いた政府機関の一部閉鎖の影響で発表が延期されていた9月の米雇用統計は、10月22日に発表された。9月の米雇用統計では、失業率が前月から0.1ポイント低下の7.2%となり、2008年11月以来、4年10ヵ月ぶりに低い水準となった。しかし、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数は、+14.8万人と市場予想の+18.0万人を下回る結果となり、米国の雇用は回復を続けているものの、依然勢いに欠けていることが示された。そして、米FRBが、雇用情勢を見極める姿勢を維持し、量的金融緩和の縮小開始判断を当面、先送りするとの見方が強まり、米ドルが主要通貨に対して下落。米ドル/円は、98.26円から97.83円まで下落する動きとなった【図1参照】。
ここ2ヵ月は、過去分の雇用者数の伸びが大きく下方修正されていることから、過去分の雇用者数の修正に対する警戒感も出ていた。しかし、9月の統計発表では、7月分の雇用者数が+10.4万人から+8.9万人に下方修正されたものの、8月分は+16.9万人から+19.3万人に上方修正され、2ヵ月分を均すと0.9万人の上方修正となった。そして、失業率が3ヵ月連続で改善していることや、ある程度雇用者数の伸びに対するネガティブな見方があったことなどから、米ドル/円の下げ幅は限定的となり、その後値を戻す動きとなった。【図1参照】
【図1】米ドル/円 10分足
- 【図1】出所:総合分析チャート
ただ、7月分の雇用者数の伸びが、雇用改善の目安とされる+10万人を割り込むなど、ここ3ヵ月の雇用者数の伸びは平均で+14.3万人となり、前3ヵ月平均の+18.2万人から後退している。そして、夏から秋にかけて雇用改善が足踏みしていることが明らかとなり、米国の金融政策を考えた場合、緩和策の縮小時期はさらに先送りされる可能性を高めた内容となった。また、FOMCでの投票権を保有する金融当局者が、緩和策縮小開始時期に関して「10月末の会合での緩和縮小は厳しく、雇用や経済成長の証拠を確認するため、あと数ヵ月はかかるだろう」と発言したことが改めて材料視されたことが、その後の米ドルの下げにつながったと考えられる。
【表2】統計結果と今回の市場予想
|
10月市場予想 |
9月 |
8月 |
7月 |
6月 |
5月 |
4月 |
3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
7.3 |
7.2 |
7.3 |
7.4 |
7.6 |
7.6 |
7.5 |
7.6 |
非農業部門雇用者数(万人) |
12.0 |
14.8 |
19.3 |
8.9 |
17.2 |
17.6 |
19.9 |
14.2 |
民間部門雇用者数(万人) |
12.5 |
12.6 |
16.1 |
10.0 |
19.4 |
18.7 |
18.8 |
15.4 |
製造業部門雇用者数(万人) |
0.5 |
0.2 |
1.3 |
-1.7 |
-0.7 |
-0.5 |
-0.7 |
-0.4 |
- 【表2】出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
- ※市場予想は11月5日現在の予想平均値
前回発表(10月22日)された9月の米雇用統計後のFOMCでは、「改善が持続的になる証拠を待つために、債券購入規模を維持する」としたものの、「雇用市場の状況を示す指標は一段の改善を示しているが、失業率はなお高い」、「景気と労働市場の見通しに対する下振れリスクは昨秋以降小さくなっている」とした。これを受けて、雇用市場に対する楽観的な見方も一部で出て、米ドルが上昇する場面もあった。しかしながら、夏以降明らかに、雇用者数の伸びが鈍化していることや、10月1日から16日間続いた政府機関の一部閉鎖の影響が10月の米経済指標にも出ていることから、今回発表される10月の雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数の伸びで今年最低の予想となっている。そして、米金融緩和策の縮小開始時期は、年明け1月〜3月になるとのややハト派的な見方も出ている。このことから、弱い統計結果が出て下振れした場合でも、前回同様に下値は限定的となる可能性が考えられる。一方、予想より強めの結果が出る場合には、やや変動幅が大きくなる可能性を想定している。