12月6日に発表された11月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が+20.3万人となり、市場予想の18.1万人を上回る結果となった。一方、失業率は前月から0.3ポイント低下の7.0%となり、2008年11月以来5年ぶりの低水準に改善した。また、民間部門の雇用者数の伸びは+19.6万人、製造業部門は+2.7万人といずれも市場予想を上回る結果となり、雇用情勢の改善基調が改めて確認された。
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前回指標発表時(12/6)の振返り 米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
他の通貨も動きがありました。
ファンダメンタル分析とは?ニュースで聞くような経済指標を読んで相場を分析すること。特に重要な指標をいくつかご紹介! |
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米12月ADP雇用統計 前月比 (ADP発表)
今回発表 |
20万人 |
|
前回発表 |
21.5万人 |
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発表時間 |
1/8(水) 22:15(日本時間) |
---|
米12月雇用統計 非農業部門雇用者数変化 前月比 (米労働省発表)
事前予想 |
19.5万人 |
|
前回発表 |
20.3万人 |
---|
発表予定 |
1/10(金) 22:30(日本時間) |
---|
過去データをチャートで確認!
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成
雇用統計直前レポート
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12月6日に発表された11月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が+20.3万人となり、市場予想の18.1万人を上回る結果となった。一方、失業率は前月から0.3ポイント低下の7.0%となり、2008年11月以来5年ぶりの低水準に改善した。また、民間部門の雇用者数の伸びは+19.6万人、製造業部門は+2.7万人といずれも市場予想を上回る結果となり、雇用情勢の改善基調が改めて確認された。
そして、2日前に発表されたADP雇用統計が市場予想を上回る結果となるなど、雇用関連の経済指標の改善が続いたことから、11月の統計結果に対する期待感が高まっており、発表直前から米ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなっていた。そして、発表された結果が予想以上の結果となったことを受けて、米ドル/円は一段の上昇となった。ただ、発表前から上昇していたこともあり、上昇後は一旦利益確定の動きから下げる動きも見られた。
【図1】米ドル/円 10分足
- 【図1】出所:総合分析チャート
9月の非農業部門の雇用者数は、+16.3万人から+17.5万人に上方修正されたものの、10月は+20.4万人から+20.0万人に下方修正された。ただ、直近4ヵ月の雇用者数の伸びは平均で+20.4万人となり、望ましいとされていた20万人を超える伸びが続いている。また、政府部門が+0.7万人、建設業が+1.7万人、民間サービス業が+15.2万人など、小売り、運輸、教育・医療、観光・娯楽など、情報と金融を除けば全ての業種で伸びる結果となった。
そして、失業率の改善や、雇用者数の安定的な伸びが続くなど、雇用改善が見られたことなどから、12月のFOMCでは、1月からの金融緩和策の縮小が決定された。
【表2】統計結果と今回の市場予想
|
12月市場予想 |
11月 |
10月 |
9月 |
8月 |
7月 |
6月 |
5月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
7.0 |
7.0 |
7.3 |
7.2 |
7.3 |
7.4 |
7.6 |
7.6 |
非農業部門雇用者数(万人) |
19.5 |
20.3 |
20.0 |
17.5 |
23.8 |
8.9 |
17.2 |
17.6 |
民間部門雇用者数(万人) |
19.5 |
19.6 |
21.4 |
16.8 |
20.7 |
10.0 |
19.4 |
18.7 |
製造業部門雇用者数(万人) |
1.5 |
2.7 |
1.6 |
0.8 |
1.5 |
-1.7 |
-0.7 |
-0.5 |
- 【表2】出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
- ※市場予想は1月7日現在の予想値
昨年は、米国の雇用統計がQE3(量的金融緩和第3弾)の縮小時期を判断する材料になっていたことから、金融市場では緩和策の縮小時期に関する思惑が加わった動きとなっていた。ただ、昨年12月のFOMCで、注目されていた緩和策の縮小が発表されたことから、今後の雇用統計前後のパフォーマンスは低下するとの指摘もある。しかし、今後は緩和策の縮小ペースと、政策金利の引き上げ時期が米国経済のポイントとなる。実はこの舵取りが非常に難しく、米雇用市場との関連も深い。緩和策の縮小は金利上昇を招きやすく、金利上昇は労働市場の回復を損ね、経済成長を減速させる恐れがある。そのため、慎重な判断が必要となり、米雇用統計などの指標結果が引き続き重要な判断の材料となる。このことから、今年もある程度のパフォーマンスが期待できるだろう。
今回の統計は、追加縮小の有無を判断する材料になる。しかし、緩和策の縮小決定直後の統計発表であることから、即追加縮小に結びつくとは考えにくい。そのため、引き続き雇用者数の伸びが安定しているか、失業率は徐々に改善しているかがポイントになるだろう。
数字的には、非農業部門雇用者数の伸びが、以前から当局者が安定的で望ましい伸び幅としている+20万人を単月で上回るか、5ヵ月平均で20万人を上回るかに注目したい。一方、失業率は6%台に低下するかどうかに注目したい。そして、両方ともクリアできるようなら、やや一服感との雰囲気も一掃されるパフォーマンスも期待できるのではないか。