米10月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
11/7(金)22:30(日本時間) |
前回値 |
+24.8万人 / 5.9% |
事前予想 |
+23.5万人 / 5.9% |
10月3日に発表された9月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数の伸びが+24.8万人となり、急減速した前月から持ち直す結果となった。そして、市場予想の+21.5万人も上回っており雇用が力強い回復基調に・・・
動画で雇用統計を確認!
前回発表時(10/3)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
豪ドル/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ファンダメンタル分析とは?ニュースで聞くような経済指標を読んで相場を分析すること。特に重要な指標をいくつかご紹介! |
動画で雇用統計を確認!
雇用統計直前予想レポート
10月3日に発表された9月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数の伸びが+24.8万人となり、急減速した前月から持ち直す結果となった。そして、市場予想の+21.5万人も上回っており雇用が力強い回復基調にあることが改めて示された。また、失業率は5.9%となり、前月の6.1%から0.2ポイント低下した。失業率が5%台に下がるのは、リーマン・ショック前の2008年7月以来6年2ヵ月ぶりとなった。これらの結果を受けて、ドル/円は大きく上昇する動きとなった。
図:米ドル/円 10分足
※出所:総合分析チャート
民間部門の雇用者数の伸びは+23.6万人、サービス部門が+20.7万人となり、業種別では一時雇用を含む企業向け専門職が引き続き好調で、小売りや観光・娯楽、教育・健康も大きく伸びた。また、製造業が+0.4万人、建設も+1.6万人となった。一方、政府部門は+1.2万人、連邦、地方が減少する一方、州が大きく伸びた。雇用者数の伸びは、全体的にバランスよく拡大する結果となった。そして、7月の非農業部門の雇用者数の伸びは、従来の+21.2万人から+24.3万人に、8月は+14.2万人から+18.0万人にいずれも上方修正された。
失業期間別にみると、半年以上に及ぶ長期失業者数は-0.9万人の295.4万人となり、失業者全体の31.9%(前月31・2%)を占めた。それ以外の5週以下や、15週以上26週以下も減少したものの、5週以上14週以下は増加した。 また、労働参加率が低下しているほか、週の労働時間は34.6時間と前月から+0.1時間増えたものの、時間当たりの賃金が24.53ドルと0.01ドル減少するなど、FRBが雇用改善を示す指標として注目している賃金上昇の動きは鈍い。そのため、雇用の「質」の改善には課題が残っていると言えるだろう。
表:統計結果と今回の市場予想
|
10月市場予想 |
9月 |
8月 |
7月 |
6月 |
5月 |
4月 |
3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.9 |
5.9 |
6.1 |
6.2 |
6.1 |
6.3 |
6.3 |
6.7 |
非農業部門雇用者数(万人) |
23.5 |
24.8 |
18.0 |
24.3 |
26.7 |
22.9 |
30.4 |
20.3 |
民間部門雇用者数(万人) |
22.3 |
23.6 |
17.5 |
23.9 |
26.0 |
22.8 |
27.8 |
20.0 |
製造業部門雇用者数(万人) |
1.0 |
0.4 |
-0.4 |
2.4 |
2.1 |
1.5 |
0.9 |
0.4 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は11月4日現在の予想平均値
8月の非農業部門雇用者数は、+14.2万人(その後上方修正)となり、市場予想の23.0万人を大きく下回る結果となったことで、雇用情勢に対する不安も台頭した。しかし、前回9月の結果が全体的に堅調な結果となり、結果的に8月は季節的要因で、一時的な悪化だったことが証明される内容となった。このことから、10月の市場予想も比較的堅調な結果が予想されている。また、FRBが先週のFOMCの声明において、労働市場に関する見通しを上方修正したことも、今回の雇用統計に対する期待感を押し上げる一因となっている。
そして、FOMCで量的緩和策の終了を決定したことで、今後は利上げの時期が注目となっており、FRBも市場参加者も、雇用統計の結果を受けて利上げ時期を推し測ろうとすることから、結果に対しては特に敏感に反応する可能性も考えられる。
雇用者数の伸びは、直近6ヵ月平均で+24.5万人、3ヵ月平均で+22.3万人となっており、このペースを維持できれば、特に問題視されないだろう。また、失業率では、FRBの今年第4・四半期の失業率の見通しが5.7%-6.1%であることから、現状では予想通り推移していると言える。しかし、引き続き賃金は低調な伸びが続いており、FRBが望む水準に達していないことが唯一の懸念材料でもある。そして、それが個人消費に直結することから、FRBは特に重要視している。このことから、低調な伸びが続く賃金や、同じく低迷している労働参加率が改善すれば、より一層のドルの押し上げ要因となる可能性もあるだろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成