今後のトルコはどこに注目!?
エルドアン大統領が支持するイスラム系与党・公正発展党(AKP)が13年ぶりの過半数割れとなった6/7の総選挙結果を受けて、金融市場は混乱しました。そもそも長期間に渡ったAKP単独政権の終焉に加え、次に待ち受ける連立政権の枠組みが明確に描けていないことなどが背景にあったようです。こうした中、選挙後召集された議会では議長選出に続き大統領が第一党であるAKP党首に組閣を命ずるといった手順を経て、45日以内の8月半ばまでに連立相手と交渉し新政権を発足するというシナリオが描かれていました。
しかし7/20、トルコ南部でのIS(イスラム国)が関与したとされる自爆テロ事件により30数名が死亡、100人以上が負傷を負うなどの被害を受ける事件が発生したことで事態は一変しました。このテロにトルコの非合法武装組織クルド労働者党(PKK)が関与したとされています。これに対し24日、トルコ軍はシリアとの国境沿いにあるIS(イスラム国)への空爆を開始したほかイラク北部にあるPKKに対しても空爆を開始するなど、エルドアン大統領が方針を大きく転換したことで事態は思わぬ展開を見せています。
直近の値動き(トルコリラ/円)
※出所:FX総合チャート(4時間足)
ダウトオール暫定首相は週末に、トルコ全土で590人のテロ容疑者を逮捕、ISやPKKに対し徹底抗戦の構えを見せており、シリア国境付近へ大量に兵士を派遣した一方で、26日にも新たなテロが発生するなど緊張の長期化が懸念されています。こうした事態を背景にトルコリラは対ドルで2.75ドルと6月の選挙直後の水準まで下落したほか株式市場も下落基調にあります。
一方で政局に目を向けると連立政権を巡る政党間協議が一向に進まず、一部には11月に再選挙が実施される可能性が高まっているといった見方も聞かれています。こうした政治空白の長期化懸念もトルコリラを圧迫、海外からの投資も縮小するとの懸念も聞かれるだけに、このような事態が続くことになればトルコ経済も大きな打撃を受けることになりそうです。
AKPが議長選出から45日以内の8月半ばまでに、連立相手と交渉し新政権を発足させるといったシナリオが難しくなりつつある現在、雲間から何らかの光を見出すまでトルコリラは軟調な地合いを継続することになるかもしれません。
新政権発足のスケジュールと今後の可能性
6/18 |
選挙委員会からの最終選挙結果公表 |
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6/23 |
議会招集 政策金利発表(金利7.5%据え置き) |
6/30頃 |
議長を選出 ⇒大統領が第一党であるAKP党首に組閣を命ずる |
議長選出から45日以内 (8月半ばまで) |
連立相手と交渉し新政権を発足 ⇒連立政権を巡る政党間協議が一向に進んでおらず、 加えて緊迫したトルコ情勢により新政権発足は難航 |
11月 |
新政権が発足されなければ11月に再選挙? |
過去の値動き(トルコリラ/円)
出所:FX総合チャート(週足)
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6/24 |
今後のトルコはどこに注目!?新政権発足までは何が起きるかわからない!? |
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6/10 |
トルコリラの底値を見極めよ!今後更なる展開も!? |
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