米7月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
8/7(金)21:30(日本時間) |
前回値 |
+22.3万人 / 5.3% |
事前予想 |
+21.8万人 / 5.3% |
現状では、やや春先に雇用者数の伸びが減退したものの、5、6月はまずまずの結果(非農業部門で安定的な伸びとされる+20万人を上回る)となっており、7月の市場予想も・・・
前回発表時(7/2)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
7/2に発表された6月の米雇用統計は、失業率が市場予想を下回る5.3%となり、2008年4月以来7年2ヵ月ぶりの低水準に改善したものの、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想を下回る結果となったことや、4、5月分の非農業部門雇用者数の結果が合計で6万人下方修正されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落する動きとなった。また、注目されていた賃金の伸びが引き続き低調だったことや、労働参加率が1977年10月以来の低水準となるなど、イエレンFRB議長が示していた利上げに関する「決定的な証拠」とは程遠いとの見方が広がったことも影響し、ドル/円は発表直前の123.62から122.95まで下げる動きとなった。その後は、米国の独立記念日による3連休を控えて、小動きの展開が続いた。
図:米ドル/円 5分足
※出所:FX総合分析チャート
非農業部門雇用者数の3ヵ月の平均は、景気回復の目安とされる+20万人を下回っていたものの、4ヵ月ぶりに+20万人を上回り(6月+22.3万人)、雇用情勢の回復が示される結果となった。そして、雇用者数では、サービス関連の小売りや運送、教育・健康、一時雇用を含む企業向け専門職も引き続き好調な結果だったが、それ以外の業種は全般的に振るわなかった。また、フルタイムで働きたいのにパートの仕事しか見つからなかった人や、求職活動を諦めた人を含めた広義の失業率(U6)は0.3ポイント低下の10.5%だった。そして、失業期間が半年以上に及ぶ長期失業者は212.1万人と-38.1万人となり、全体の25.8%(6月28.6%)を占めた。
失業率に関しては、2008年4月以来7年2ヵ月ぶりの低水準に改善しており、表面上は「堅調な改善」と見ることができる。しかし、失業者数が昨年12月以来の大幅な減少となったものの、労働力人口、就業者数がマイナスとなり、労働参加率が1977年10月以来の低水準に低下したことで、失業率の改善は一時的に職探しを諦めた人の数が増加(職探しをしない人は失業者数にカウントされない)したことが原因と考えられ、労働市場にとっては歓迎できない失業率の改善であった。
表:統計結果と今回の市場予想
|
7月市場予想 |
6月 |
5月 |
4月 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.3 |
5.3 |
5.5 |
5.4 |
5.5 |
5.5 |
5.7 |
5.6 |
非農業部門雇用者数(万人) |
+21.8 |
22.3 |
25.4 |
18.7 |
11.9 |
26.6 |
20.1 |
32.9 |
民間部門雇用者数(万人) |
+21.3 |
22.3 |
25.0 |
18.9 |
11.7 |
26.1 |
20.2 |
31.9 |
製造業部門雇用者数(万人) |
+0.5 |
0.4 |
0.7 |
0.0 |
0.6 |
0.3 |
1.7 |
1.9 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は8/4現在の予想平均値
米雇用統計の結果は、米国の利上げ時期を読み解くカギとなっており、マーケット参加者が注目している。CMEフェドウォッチによると、6月の雇用統計の結果を受けて2015年12月の利上げ予想確率は49%と、雇用統計発表前の57%から低下している。50%割れとなったことで、この時点では2016年1月の利上げ開始がやや有力視されている。
イエレンFRB議長が、利上げ時期に関して「過度に重きを置くべきでない」と苦言を呈すほど、マーケットでは米国の利上げ時期に注目が集まっている。特に、労働市場の回復を示す「決定的な証拠」を利上げ条件の一つに挙げていることから、米雇用統計の結果で一喜一憂する動きもみられる。
現状では、春先にやや雇用者数の伸びが減退したものの、5、6月はまずまずの結果(非農業部門で安定的な伸びとされる+20万人を上回る)となっており、7月の市場予想も+20万人を上回る伸びが予想されている。この点から、雇用者数の伸びが最低ラインと考えられる+20万人を超える結果となれば、大きな懸念にはならないだろう。ただ、9月の利上げを意識する場合には、+20万人台後半の伸びプラスαが必要だろう。
プラスαとは、懸念の残る賃金の伸び、労働参加率である。最近では、雇用者数の伸びと同様に注目されており、これらの指数が改善を示せば、やや後退したとされる9月の利上げの可能性も意識されるだろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成