米11月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
12/4(金)22:30(日本時間) |
前回値 |
+27.1万人 / 5.0% |
事前予想 |
+20.0万人 / 5.0% |
今回19.2万人以上となれば3ヵ月平均で+20万人を超えることになる。そうなれば、利上げ消極派の懸念が緩和される材料に・・・
前回発表時(11/6)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
11/6に発表された10月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が2014年12月以来最大の伸び幅となる+27.1万人(市場予想+18.5万人)となり、減速が続いた8月、9月から一転して、3ヵ月ぶりに+20万人(堅調さの目安とされる)を大きく上回る結果となった。また、失業率は、前月の5.1%から0.1ポイント改善の5.0%に低下し、2008年4月以来の低水準となった。そして、注目されていた時間当たり賃金は、+0.09ドルとなり、前月比で+0.4%、前年比で+2.5%と、2009年7月以来の大幅な伸びとなった。この結果を受けて、12月の米FOMC(12/15-16)で利上げが決定されるとの見方が強まり、ドル/円121.91から123.26まで大きく上昇する動きとなった。
図:米ドル/円 5分足
※出所:FX総合分析チャート
民間部門の雇用者数は、+26.8万人となり、前月の+14.9万人から大きく持ち直した。建設業は+3.1万人と2月以来の大幅な伸び、サービス業も+24.1万人と5月以来の大きな伸び幅となった。ドル高による輸出減少が逆風となり、減少が続いていた製造業は横ばい。原油安が打撃となっている鉱業関連は-0.4万人と小幅ながらマイナスが続いた。そして、一時雇用を含む専門・企業向けサービスは+7.8万人と好調だった。
フルタイムで働きたいのにパートの仕事しか見つからない人や、求職活動を諦めた人も含めた広義の失業率(U6)は9.8%と前月から0.2ポイント低下した。また、失業期間が半年以上の長期失業者は、前月比+3.8万人の214.2万人となり、全体の26.8%を占めた。なお、非農業部門雇用者数は、9月が+14.2万人から+13.7万人に下方修正されたものの、8月は+13.6万人から+15.3万人に上方修正され、2ヵ月で合計1.2万人の上方修正となった。
表:統計結果と今回の市場予想
|
11月市場予想 |
10月 |
9月 |
8月 |
7月 |
6月 |
5月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.0 |
5.0 |
5.1 |
5.1 |
5.3 |
5.3 |
5.5 |
非農業部門雇用者数(万人) |
20.0 |
27.1 |
13.7 |
15.3 |
22.3 |
24.5 |
26.0 |
民間部門雇用者数(万人) |
19.0 |
26.8 |
14.9 |
12.5 |
19.5 |
21.8 |
25.2 |
製造業部門雇用者数(万人) |
0.0 |
0.0 |
-0.9 |
-1.9 |
1.1 |
0.1 |
0.6 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は12/1現在の予想平均値
前回の結果は、市場参加者の大半を驚かせる結果となり、マーケットでは、12月の利上げ期待が一段と高まった。CMEフェドウォッチによると、市場が織り込む12月の利上げの確率は70%となり、発表前日の58%、1ヵ月前の5%からそれぞれ上昇した。そして、失業率はリーマン・ショック前の低水準まで低下しており、多くのFRB当局者が完全雇用と見なすとされる5.0%となった。一部では、雇用は飽和状態に近づきつつあるとの見方もあるものの、労働市場が堅調に推移していることが示されたことから、今回の結果に対するハードルはそれほど高くなく、安定的な雇用の目安とされる20万人を割り込んだとしても、ある程度の結果が維持されるなら、それほど悲観的な見方にはならないと考えられる。
今回発表される11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の20万人を超えるかどうかに注目したい。3ヵ月平均では、前月発表前の時点で+16.7万人、発表後は18.7万人に上昇しており、今回19.2万人以上となれば3ヵ月平均で+20万人を超えることになる。そうなれば、利上げ消極派の懸念が緩和される材料になりえるだろう。また、賃金の伸びに関しても、前回並みの結果が維持されるなら、比較的好感されるだろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成