米4月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
5/6(金)21:30(日本時間)
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前回値 |
+21.5万人 / 5.0% |
事前予想 |
+20.0万人 / 4.9% |
前回の雇用統計では、中国など海外経済の減速に伴う輸出の不振などの影響が色濃く残っており、また先日発表された米国の第1四半期GDPでも、海外経済の減速などが影響し、前期から急減速。前期比年率+0.5%と2年ぶりの低成長となった。こうしたことから、今回の雇用統計ではやや強気な予想をし難い状況である。ただ、第2四半期に入り、米国経済は改善の兆しが見え始めており・・・
前回発表時(4/1)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
4/1に発表された3月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が、前月比+21.5万人となり、雇用情勢の順調な改善を示す+20万人を2ヵ月連続で上回る結果となった。しかし、失業率が0.1%上昇の5.0%となり、昨年5月以来10ヵ月ぶりの悪化となった。雇用者数が予想を上回る結果となったことを受けて、発表直後はドルが買われたものの、前回から雇用者数の伸びが鈍化したことに加え、失業率の悪化を受けて、ドルは反落する動きとなった。
一方で、その後に発表された米製造業関連の経済指標が市場予想を大きく上回る結果となったことから、ドルは堅調な動きとなった。しかし、雇用統計の結果が強弱交錯した結果となったことから、米金融当局の利上げを巡る金融政策を慎重に進めるとの観測が強まったことや、原油価格が約半年ぶりの安値水準まで下落したことを嫌気し、ドル/円は再び軟調な動きとなった。
図:前回発表時の振り返り
※出所:FX総合分析チャート
民間部門の雇用者数は+19.5万人、サービス業が+19.9万人、製造業は-2.9万人とマイナスが拡大、鉱業も-1.2万人とマイナスが続いた。一時雇用を含む企業・専門サービスは+3.3万人、建設業は+3.7万人と勢いが強まった。政府部門は+2.0万人となり、州政府が減少する一方、地方政府が大きく伸び、連邦政府もプラスとなった。そして、1時間当たりの賃金は、全体ベースで前月より+0.07ドルの25.43ドルとなり、管理職を除いたベースでは前月より+0.04ドルの21.37ドルとなった。また、自発的離職率は10.5%と前月から0.8ポイント上昇。失業期間が半年以上の長期失業者数は、前月より+4.8万人多い221.3万人と全体の27.6%(前月27.7%)を占めた。
表:統計結果と今回の市場予想
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4月市場予想 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
11月 |
10月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
4.9 |
5.0 |
4.9 |
4.9 |
5.0 |
5.0 |
5.0 |
非農業部門雇用者数(万人) |
20.0 |
21.5 |
24.5 |
16.8 |
27.1 |
28.0 |
29.5 |
民間部門雇用者数(万人) |
19.0 |
23.0 |
23.0 |
18.2 |
25.9 |
27.9 |
30.4 |
製造業部門雇用者数(万人) |
-0.5 |
-2.9 |
-1.8 |
1.8 |
0.6 |
3.0 |
2.0 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は5/6現在の予想平均値
追加利上げが見送られた4月のFOMCでは、世界経済および金融情勢のリスクに関る文言は削除された一方で、国内景気の成長率鈍化への懸念も指摘された。前回の雇用統計では、中国など海外経済の減速に伴う輸出の不振などの影響が色濃く残っており、また先日発表された米国の第1四半期GDPでも、海外経済の減速などが影響し、前期から急減速。前期比年率+0.5%と2年ぶりの低成長となった。
こうしたことから、今回の雇用統計ではやや強気な予想をし難い状況である。ただ、第2四半期に入り、米国経済は改善の兆しが見え始めており、6月のFOMCでは追加利上げに踏み切るとの期待もある。そのため、今回の雇用統計の結果が追加利上げを後押しするような結果になるのか、又は再び慎重な見方が強まる結果となるのか注目される。
非農業部門雇用者数は、安定的な雇用者数の伸びとされる+20万人を上回れば前回同様に好感される可能性もあるだろう。また、前回悪化した失業率や、製造業や鉱業関連の雇用者数、労働時間が改善すればドルの押し上げ要因となるが、再び悪化するようなら、ドルの上値を圧迫する要因となる可能性もあるだろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成