米6月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
7/8(金)21:30(日本時間)
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前回値 |
+3.8万人 / 4.7% |
事前予想 |
+17.5万人 / 4.8% |
米労働省が6月3日に発表した5月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が前月比+3.8万人と、市場予想の16.0万人を大きく下回り、2010年9月以来5年8ヵ月ぶりの低水準となった。この結果を受けて・・・
前回発表時(6/3)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
米労働省が6月3日に発表した5月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が前月比+3.8万人と、市場予想の16.0万人を大きく下回り、2010年9月以来5年8ヵ月ぶりの低水準となった。この結果を受けて、FRBが早ければ6月にも追加利上げに踏み切るとの見方が後退し、ドル売りが優勢となり、ドル/円は106円台中盤まで下落する動きとなった。一方、失業率は前月から0.3ポイント低い4.7%に改善し、リーマン・ショック前の2007年11月以来8年6ヵ月ぶりの低水準となった。雇用者数の急減は、米通信大手企業でのストライキも一因となったようだ。
図:前回発表時の振り返り
※出所:FX総合分析チャート
民間部門は+2.5万人、政府部門は+1.3万人となり、業種別では、製造業が-1.0万人と2ヵ月ぶりに減少、建設業が-1.5万人、サービス部門は+6.1万人と伸び幅を大きく縮小、小売りは+1.1万人、企業・専門サービスは+1.0万人となった。また、1時間当たりの賃金は、+0.05ドルの25.59ドルで、前年同月比+2.5%と上昇傾向を維持した。そして、管理職を除いたベースでは+0.03ドルの21.49ドルだった。フルタイムで働きたいのにパートの仕事しか見つからない人なども含めた広義の失業率(U6)は、9.7%と前月から横ばいとなった。また、自発的離職率は10.7%と前月から0.1ポイント低下。失業期間が半年以上の長期失業者数は-17.8万人の188.5万人となり、失業者全体の25.1%(前月25.7%)を占めた。非農業部門雇用者数は、3月が+20.8万人から+18.6万人に、4月は+16.0万人から12.3万人にそれぞれ下方修正された。2ヵ月トータルで5.9万人の下方修正となった。
表:統計結果と今回の市場予想
|
6月市場予想 |
5月 |
4月 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
4.8 |
4.7 |
5.0 |
5.0 |
4.9 |
4.9 |
5.0 |
非農業部門雇用者数(万人) |
17.5 |
3.8 |
12.3 |
18.6 |
23.3 |
16.8 |
27.1 |
民間部門雇用者数(万人) |
17.0 |
2.5 |
13.0 |
16.7 |
22.2 |
15.5 |
25.9 |
製造業部門雇用者数(万人) |
0.0 |
-1.0 |
0.2 |
-2.9 |
-1.6 |
1.8 |
0.6 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は7/5現在の予想平均値
先月の米雇用統計では、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズの従業員によるストライキが雇用者数の急減につながっており、雇用者数の大幅低下は一時的との見方が大勢を占めている。そのため、6月の雇用統計では、雇用者数の伸びが改善するとの予想がコンセンサスとなっている。ただ、市場予想通りの結果となった場合でも、非農業部門雇用者数は安定的な伸びとされる+20万人を4ヵ月連続で下回る結果となり、6ヵ月平均でも15.5万人となることから、早期の追加利上げ期待が高まるとは考え難い。ただ、失業率が4.7%と2007年11月以来の低水準に下がり、労働市場に存在する需給の緩みが縮小し続けていることが示されていることから、失業率がこの水準を維持し、雇用者数の改善が3ヵ月程度続くようなら、追加利上げの期待感も再び高まる可能性も考えられる。今回は、ストライキの影響で急減した雇用者数が戻ったとして、前回の結果を受けて下落したドルの下落幅の内、どの程度を戻すのかが注目される。そして、追加利上げの期待分が高かったことを除けば、戻りは半分程度だろうか。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成