4月雇用統計結果のポイント
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 22.7 | 31.2 | 5.6 | 18.9 | 26.3 |
失業率(%) | 3.9 | 4.0 | 3.8 | 3.8 | 3.6 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.4 | 0.1 | 0.4 | 0.1 | 0.2 |
時間給賃金 前年比(%) | 3.3 | 3.1 | 3.4 | 3.2 | 3.2 |
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
・就業者数は26.3万人増へ改善、2月の鈍化(5.6万人)は悪天候による一時的要因
・失業率は3.6%と1969年12月以来の49年4ヵ月ぶりの低水準まで改善
・建設、ヘルスケア関連が好調を維持した一方、製造業の雇用は低位での推移継続
・時間給賃金は前月比+0.2%、前年比+3.2%と予想比下振れ、低インフレ継続を確認
・労働参加率(前月63.0%⇒62.8%)は前月から低下、失業率の低下に影響した可能性
米4月ISM製造業・非製造業景況指数
5/1に発表された米4月ISM製造業景況指数は、52.8と2016年4月以来の低水準となり、4月雇用統計での製造業全体の就業者数は3.4万人増に留まり、3月(2.1万人増)、2月(1.9万人減)から改善しているものの、前年4月(6.0万人増)と比べても伸び悩んでいることを裏付ける結果となりました。
さらに、ISM非製造業景況指数も、2017年8月以来の55.5と前月(56.1)から低下するなど、先行きに不安を残す結果となりました。

- ※出所:ISM
米1‐3月期GDP
日本の大型連休入り直前の4/26に発表された米1‐3月期GDPは、前期比+3.2%と市場予想(+2.2%)を大きく上回る結果となりました。
しかし、輸出増や貿易赤字の改善に加え、米中貿易交渉の行方を懸念した在庫の積み増しがGDP上昇に寄与した一方、住宅投資や自動車などの耐久財消費が弱含んでおり、先行き懸念が見られる結果となりました。

- ※出所:US Bureau of Economic Analysis
インフレ懸念が一段と後退
そのほか、米2月ケース・シラー住宅価格指数も主要20都市の住宅価格指数が前年比+3.0%と前月(+3.5%)から低下、2012年9月以来の低い伸びに留まっており、低失業率や就業者数の改善にも米国経済全体で先行きに不透明感が見られます。また労働市場の堅調が続く中でも、時間給賃金が伸び悩んでおり、低インフレの状況が確認できます。
4/29に発表された米3月個人消費支出は、前月比+0.9%と前月(+0.1%)から改善した一方、個人消費支出デフレーター、コアデフレーターとともに前月から低下、インフレ懸念が一段と後退しました。
今回の雇用統計もこうした動きを裏付ける結果といえるだけに、FRBの金融政策の先行きに明確な道筋が見えないこともドル円上昇の足かせになっています。
さらに、米中通商交渉を巡り、対中関税引き上げが現実となれば米企業の設備投資にも影響が及び、GDPの約7割を占める個人消費にも悪影響が及びかねません。
インフレ期待が盛り上がらない状況になれば、先行きの労働市場に陰りが見られる可能性があるだけに、今後の動向が注目されます。